第15話 性病
ん?股間が異常に痒かった。
どれくらい痒いかというと、人と話していて、その話している人間がよそを見ている隙にも股間を掻いてしまうくらい。とにかく、初めて経験する痒さ。痒い場所は陰毛の中。
いんきんは経験あるけど場所が違う。調べたら“毛ジラミ”だった。どうやら、桜子からうつったらしい。後にも先にも、性病はこれだけ。
まさか、女からうつされるとは・・・
毛ジラミは陰毛を全て剃ってしまえば治るとの事だった。桜子とは、いつもラブホテルに行っていた。自分が桜子を抱き続けないと、嫉妬で気が狂いそうだったから。
ラブホテルでプレイの一環みたいに笑いながら剃毛した。本当は毛ジラミ自体も、他の男と寝た結果だから激しい嫉妬の大波だったけれど・・・
それでもやっぱり、ついつい桜子に聞いてしまっていた。
「お前を何回も指名してきた奴おるん?」
「嫌な男でも感じてしまうん?」
「何度もイってしまう事あるん?」
はぁ~・・・
聞いてて、自分が嫌になってしまう・・・
結果、どんな答えだろうが傷付いてしまう事に変わりはなかったのに・・・
その質問の度に、桜子が嫌そうに答えているのは、わかっていた。じゃあ聞かなきゃいいのに。自分でも、そんな事はわかっている。
桜子も苦しいだろうが、私自身も一杯一杯だった・・・
器のデカイ男なら、耐えられるのかもしれない。でも、私にはムリだった。
ちょうと同じ時期。
プロ野球の巨人の河原選手という方を私は自分の希望だと思っていた。重病を患っている人が、窓から見える木の葉っぱに自分を重ねて、散らない間は頑張ろうみたいな。
何故かというと、河原選手はソープ嬢と結婚したからだ。きっと好きって気持ちと、今までいろんな男に抱かれてきたという嫉妬。清濁合わせ飲むじゃないけど、相反する感情を抱く苦しみ。
河原選手も私と同じ苦しみと葛藤しながら結婚という選択をしたのだろう。ある意味、風俗嬢と結婚したモデルケースというか、先輩としてみていた。
数ヶ月、Hちゃんの家で居候させてもらい、落ち着きを取り戻した桜子。いろんな葛藤はあるけれども、桜子と結婚する。
その気持ちに変化はなかった。
正式に桜子の両親に挨拶をする為、秋田県まで行く事になった。両親も田舎の気のいい方で、快く賛成してくれた。
そして、いろんな準備の為、桜子は秋田県、私は兵庫県で、しばらく生活する事に。
毎日、電話で連絡を取り合っていた。
すべてが順調。
なんの問題もなく、結婚へ。
・・・いくはずだった。
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