第12話 さらなる絶望へのカウントダウン 1・・・


しかしこの時、桜子に起こっている緊急事態なんて知るよしもなかった・・・


数日後、桜子から手紙がきた。


“連絡が遅くなってゴメン!急に引っ越す事になって、エレジーちゃん驚かせちゃったね!”


なーんだ、ビビるやんけ・・・(笑)


ホッと胸を撫で下ろした。


次の週、手紙に書かれていた新しい番号にかけたら、いつもの桜子の声が聞けて安心した。


そして、1年間の養成期間が無事終わり卒業。1年振りに会う桜子。


あー、早く会って、セックスしてーー!


もうすぐ起こる衝撃的な告白も知らず、呑気にヤル事しか考えていなかった。



(おっ、いたいた!・・・ん?)



しかし、待ち合わせ場所にいる桜子を見た私は、若干・・・いや大きな違和感を感じた。桜子は大人しめな格好をする子ではなかったけれど、めちゃくちゃ派手な格好もしない、今時の普通の女の子だった・・・はず。


しかし、待ち合わせ場所にいた桜子はめちゃくちゃ派手で、パンツが見えそうなくらい短いスカートを履いていた。



(ま、ま、まぁ、久しぶりに会う俺の為に、刺激的な格好をしてくれているんだろう・・。)



元来、お気楽で脳内お花畑の私は大して気にもとめなかった。



「パンツ見えるで、自分。(笑)」



「そう?」



この桜子の反応にも違和感を感じた。どこか上の空というか、何というか・・・


桜子が今住んでいる場所に着いた。


あれ?えらい安っぽいアパートに引っ越したんやな・・


高級住宅地にあったマンションから、安っぽいアパートに越している事に金が厳しいのかな?と思った。


部屋に入るなり、我慢できなかった私は桜子に抱きついた。情熱的に唇を重ねる私に反して、どこか無機質な反応の桜子。そんな事お構い無しに、桜子の体を貪るように求めた。


・・・しかし・・・反応がない。


それはまるで人形を抱いているようだった・・・


おかしい・・何かがおかしい。


もう、若干の違和感は確信に変わった。私は桜子の身体から離れた。



「桜子、お前、なんかあるやろ。」



「・・・。」



「俺に何か隠してる事あるやろ?」



「・・・・・。」



「どうしたんよ?何があったんよ?おかしいやん、お前・・・。」



桜子は、泣き出した。



「エレジーちゃん、ゴメン・・。私・・ゴメン・・・もう、ダメ。私・・・」



え?



ウソでしょ?



順風満帆だったんじゃないの?



次に発した桜子の言葉。


それは、浮気とかそんな生易しいレベルではなかった・・・

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