第14話 夏休み4
ユイ達が帰った後、レンとタクミはのんびりしながら話をしていた。
「何て言うか、ユイさんは濃い凄い人だったね」
「まあ、そうだな。それにしてもレンは怒ってないんだね」
「今の僕は何も頑張っていないからね。ここで働いたお金でタクミ君と一緒にイメチェンするのが楽しみだからね」
「確かに。俺も早くこの髪はどうにかしたいからな~」
「僕達も陰キャ卒業になるかな?」
「どうだろうな、なんだかんだで俺はアニメや漫画が好きだから」
「あ、僕も。でも、見た目は変えれたらいいな」
「レンは凄い変わるよ。もともと綺麗な顔してそうだし」
「それを言うならタクト君もカッコイイ顔してるよ」
「プハハ。なんでお互い褒め合ってるんだ。まあでもこんな会話もいいな」
「うん。それにしてもユイさんは綺麗だったね」
そう、ユイの容姿は金髪美少女でモデル並みのスタイルをしている。しかし、見た感じ胸はあまりなさそうである。ただ、お人形かと思われる程に綺麗で白い肌が透き通って見える。極めつけはスカートからヒラリと見える長くて白い足に見惚れるばかりであった。
そんな容姿のユイだからこそ、タクトやレンは実は彼女に悪い印象は持っていなかったのだ。
考えて見てほしい。毎年海の家でお手伝いをしているユイが誰よりも白くて綺麗な肌をしていることを。夏に荒れた肌をケアし、綺麗な肌を維持する大変さを。
タクト達は男なので、どのくらい大変か判らないが、努力していることだけは分かる。だからこそ今の二人は努力をしている彼女を責めることはない。
「ただな~、ミナミさんとは気が合わないかもな~」
「確かに。ミナミさんは外見だけで判断する人は嫌いだろうからな~」
「でも、せっかく一緒に働くなら仲良くしたいし、一緒にできるだけ頑張ろう」
「了解」
二人がやる気をだして、陰キャな二人が拳を合わせた瞬間にユキとミナミが部屋に入ってきた。
「ねぇ、何やってるの?」
「男の誓い?てか、入る時はノックぐらいしてほしいんだけど」
「むしゃくしゃして気分転換にお風呂に入ってきたのよ。それでも気分が収まらないから来たのよ。それなのに貴方達は楽しそうね?」
「楽しいかは分からないが、俺達は怒ってないからな」
「初対面の人にあんなこと言われてムカつかないの?」
「まあ、今の俺達はなにもいい返せる要素はないからな。ここで働いたお金で頑張ってイメチェンする予定だったのが、さらにやる気になったよ」
「はぁ~、私だけ怒ってバカ見たい」
「俺らの為に怒ってくれてありがとな」
「別に貴方達の為じゃないわよ」
ミナミは照れながら頬を赤くしている。
「それでもお礼がいいたくて…有り難う」
「僕も、ミナミさん有り難うございます」
ミナミはさらにモジモジとしながら照れている。
「ミナミの機嫌も直ったことだし、混む前にお風呂入ってきた方がいいよ」
「わかった、有り難う。入ってくるよ、レン行こう」
「うん」
タクト達がお風呂に向かう後ろ姿を見てミナミは呟いた。
「誰かのために怒るのも悪くないわね」
その声が聞こえていたのかユキも相槌をうった。
「人のために動けるみっちゃんが私は大好きだよ」
「もう~。私達は戻りましょう」
ミナミは照れながら足早に戻っていった。
そのころお風呂場では…。
「はぁ、気持ちい~~~」
温泉に浸かり景色を見ながらつい言葉が漏れる。
「温泉なんていつぶりだろう。レンは?」
「僕も久しぶりだよ。アルバイトも初めてだし、凄く今充実してるって思ってる。これも全部タクト君のおかげだね…、有り難う」
「おいおいどうした?今日はお礼を言ってばっかしだな」
「確かに。でも、イジメられっ子の僕がこんなに幸せでいいのかってふと考えるんだ」
「いいに決まってるだろ。人の価値観はそれぞれだが、人間が共通して一つだけ平等なことがある。それはなんだか分かる?」
タクトから質問されレンは必死に考えている。
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