第6話タルタルとアランとギルドマスター

 パーティを追われた次の日


 タルタルは朝を重い気分で迎える、しかし何もせず動かなければ、お金も底を尽いてしまい身動きも出来なくなるので仕方なく動き出す。


「はぁ…それにしてもどうしたものか…宝箱ドロップはミミックが出る可能性があるからなぁ…迂闊にモンスター退治とか出来ないし、どうしよう。まあそもそも俺は弱すぎて一人でモンスター退治は無理だし、かといっていきなり普通の仕事が見つかる訳で無し」


 タルタルは色々考えてはみるものの一向にいい考えは浮かばなかった。

 結局いくら考えてもいい考えが浮かばないなら、それこそ冒険者ギルドの依頼を見て考えればいいと思いなおしギルドへと向かう事にした。

 ギルドへ向かう途中、タルタルは空腹だったので肉串1本と3つ林檎を買い再びギルドへと向かった。


「林檎は残しておくか…」


 一人呟き再び歩き出す。

 暫く歩を進めると冒険者ギルドに着く、扉を開き依頼の紙が貼られた場所までに向かった。

 そこで依頼の紙を見ていると後ろから声を掛けられた。


「やあ! おはようタルタル君」


 タルタルが振り返るとそこには見覚えのある男が…

 昨日ミミックに襲われた時に助けに来てくれた男の姿があった。


「あなたは昨日の…助けに来てくれただけではなく薬までありがとうございました」


「はははは構わんよ昨日も言ったが、困ってる時はお互い様だからな助け合いは大事だろ?ところでタルタル君…少し付き合ってくれないかね? 時間はなるべく取らせないつもりだ」


「それは構わないのですが、俺名前言いましたっけ?」


「まあそれは今はどうでもいいじゃないか、ほらこっちだ立ち話もなんだ…ついて来てくれないか?」


 男はすたすた歩いて冒険者ギルドの二階へと進んでいく


「ほら早く早く」


 男はにこやかに手招きをしている


「でもそこから先はギルド関係者しか入れない区域では?」

「大丈夫だ問題ない」


 仕方なく男についていくとある部屋の前につく

【マスタールーム】


「あなたはギルドマスターなんですか?」


 その問いに男はきょとんとした顔をした

 しかしすぐ噴き出して笑いだす


「あははははは! 違う違うギルドマスターは爺さんだ、まあいいから入れ」


 男はそういうとノックもせずにドアを開け、ずかずかと部屋へと入ってく、それに続き一緒に入っていった。

 部屋に入るとそこには長い髭の老人が座っていた。

 そしてこちらを一瞥する。


「この子が件の少年か? アラン」

「えぇそうですギルマス」


 ギルドマスターはこちらを品定めしているような目で見ている。


「少し質問させて貰うが構わないかね?」

「ええ構いませんが」


「君は冒険者ギルドを抜ける予定があるかね?」


 ギルドマスターからの意図の読めない質問に首を傾げるタルタル


「いえ…今のところは冒険者ギルドを抜ける予定はありませんが」


 その答えに笑みを浮かべるギルドマスターとアラン


「これなら投獄しなくて済みますな、処刑も免れるでしょう」


 物騒な言葉にタルタルは肝を冷やした。

 タルタルは何故ギルトを抜けると投獄されたり、処刑されるかが分からなかった。


「…タルタル君、君は分かっていないようだから言っておくと君のスキル宝箱ドロップってあるだろ? あれでミミックが現れただろ? あれをギルドから離れた場所で放置しておくことは危険すぎて出来ないって判断なんだ。何かの拍子にミミックが村に出た場合損害は計り知れないだろ?」


 言われてから気付く…

 そんな事になったら無関係の人間が巻き込まれる

 想像しただけでも怖くなった


「確かにそうですね…あれ? ところでスキルの事は話してませんがどうして知ってるんです?」


「あ~その事なんだがなレオ君とユリシア嬢からいきさつを聞いたんだ、ミミックの出現なんてこの辺じゃ起きない事だし普通はあり得ないからな、スタンピードの兆候もなかったし、それならとミミックの出現現場にいた本人達に直接聞いたんだ」


 レオ達に聞いたのか…それを聞き気分が沈む、多分恨んでるんだろうな…

 そんな様子を察したのかアランさんが


「おいおい色々手回しして欲しい、助けてやってくれってレオは言ってたんだぜ? そんな顔すんな」


 え?レオ達は俺を恨んでるんじゃないのか?


「ゴホン! まあとりあえずじゃ…ギルドに残るという事じゃから今後の君の扱いについて話すとしよう…」


 ギルドマスターの話を要約するこうだった

 ・精密鑑定によるスキルの再鑑定、解析(ギルドマスター)

 ・実際のスキル発動でスキルの傾向を調査(同行者はアラン)

 ・調査した傾向をギルドの研究員による解析(王都の研究員)

 ・全部が済み安全だと見做された場合、今後はどう行動しても問題なし…との事


「さてさてそれじゃあ鑑定をしないといけないのじゃが…はぁ…鑑定と違い精密鑑定は疲れるんじゃがなぁ…」


 ぶつぶつと文句を言いながらもギルドマスターは鑑定を始めた。

 結果をギルドマスターは書きだしていく…結果は…


 名前 タルタル

 Lv 14


 力  22

 体力 13

 魔力 3

 魔耐 6

 敏捷 13

 幸運 77(+77)


 スキル

 宝箱ドロップLv2

 一日二回ドロップ

 宝箱の品質グレードアップ


 資質


 ※部分は精密鑑定により判明

 ※超大器晩成

 ※戦士


 ※部分は精密鑑定により判明

 ※運補正(+77)

 ※スキル主による意思により若干の中身補正

 ※宝箱出現率アップ       

 ※特定条件により中身変更    ※条件は鑑定レベルが足りず不明

 ※特定条件により宝箱の魔物化  ※条件は鑑定レベルが足りず不明


 こんな感じだった。

 スキルのレベル上がってたんだな

 そう思ってた本人をよそにそれ(書き出された紙の中身)を見た、ギルドマスターとアランさんは同情の目を向けてきた。


「「タルタル君…君弱すぎるな」」


 二人の話を聞く限り同レベル帯で比べて低い能力だったらしい…

 その話を聞いて少し悲しくなった。


「ま、まあ大器晩成の資質があった事じゃし…今後に期待すればよい」

「そ、そうだぜ! と、とりあえず今日はもう用は済んだし、今日はとりあえずスキルの検証に行こうぜ」


「…そうですね」



 こうして暗くなった気持ちのままスキルの検証をしにアランさんとダンジョンへ向かうのだった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る