第2話 追放された後

 こうして俺は二年間一緒にやってきた仲間達から追放を言い渡されたのだった。


「分かった…俺の所為で迷惑かけて済まなかった。すぐにでも出ていくよ」


 出ていこうとする俺に対してレオが怒鳴りながら口にした。


「…待てよ! タルタル! お前の持っている金を全部置いていくんだ!」


「なっ!? レオ! 流石にそれはあんまりじゃないか? 確かにタルタルのスキルの所為でユラは大怪我をしたけど俺達は昔からずっと一緒だっただろ? それに俺達だって少なからずタルタルのスキルで恩恵は受けてただろ?」


「恩恵? 確かに受けてたな! だが! こいつのスキルの所為でユラが大怪我したんだぞ? 治療費だって必要だろ? それに装備まで奪ってないだろうが! 充分温情は与えてる筈だぞ!」


「レオ! それでも酷だ、食べるものも、休む場所も無しで追放なんて一緒に過ごしてきた幼馴染に対して酷いぞ!」


 食って掛かるサンダーに対して暫しレオは無言を貫く…


「……」

「……」

「……」

「……」


 暫く誰も口を開かず沈黙が続いた。

 沈黙の中、ユリシアはせわしなく周りを見回し、レオはこちらを睨み黙り続け、サンダーは苦々しい顔をして皆の顔色を窺っていた…


「…分かった」


 レオが口を開き言葉を続ける


「金貨1枚だ…金貨1枚だけは持っていって構わない」


「分かった…今までありがとうな、それと迷惑かけてすまん」


 三人は声もなく、こちらを見るだけだった…

 そして、金貨一枚以外全てレオに渡し、俺はレオ達の元から離れたる…そんなタルタルは重い気分のままだった…


「はぁ…取り敢えず泊まる場所を探すか…」


 呟き、宿を探す事にしたのだが、宿を探して歩いているとタルタルは後ろから声を掛けられた。

 振り返ってみるとそこにはサンダーの姿があった。


「お~い! タルタルって…お前相当へこんでるな…」

「…」

「無言はやめてくれ怖いぞ…まあいい…おいタルタルこれを持ってけ」


 サンダーは徐に懐を探ると中からお金の入った革袋をタルタルに投げた。

 タルタルは中身を確認すると中には金貨五枚と銀貨数枚が入っていた。


「金貨一枚だけじゃすぐに困るだろ? だから持ってけ」

「サンダーすまんな…でも良いのか? こんなに大金」

「あぁ…構わんぞお前のおかげで結構稼がせてもらったしな…それにお前も幼馴染だし、あんな追放劇だと忍びないからな」

「そうか…ありがとう大事に使うよ」

「なあタルタルあいつらも、今はユラの大怪我だけに目が行って、頭に血が上ってるだけだと思うんだ。だから余り悪く思わないでくれよ?」

「…あぁ…でもケガさせちゃったのは事実だからな…」

「俺からはそれだけだ…じゃあ俺は行くから、またあいつらが落ちつく頃にまた会おうぜ」


 そういい手を軽く振るとサンダーは来た方へと向かい歩いて行った。


「ありがとうな…サンダー…さて…宿屋を探すか」


 再び宿屋を探し歩き始めた。

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