幼馴染達に追放された冒険者 スキル宝箱ドロップは微妙?
北比良南
第1話 追放
「おい! タルタル! お前は今日限りで追放だ!」
「そうよ! あんたの所為でユラは大怪我したのよ!」
「すまんなタルタル…今回ばかりは、庇いきれん」
こう口にするのは、レオとユリシアとサンダーだ…
冒険者パーティを組んでる幼馴染達からの追放宣言だ。
そして話の流れで察するだろうが、ユラは大怪我を負った為にこの場にはいない
今は診療所で治療を受けている最中だ。
実際自分のスキルが原因であった為「追放」されるのは覚悟していた。
それだけの事があったからだ…
…事は数時間前に遡る
その日、俺達はモンスター依頼を受けるのと宝箱ドロップのスキルによる宝箱ドロップを狙い村の近くの洞窟へと向かっていた。
「なあタルタル最近宝箱の中身が良くないし、鍵も掛かってることが多くなってきたけど、どうにか開けれないのか?」
「う~ん残念だけど分かんない」
「それにしても宝箱ドロップのスキルって案外不便なのな~一日一回しか出ないし、モンスター倒した時ランダムだし、開けれず時間経過で宝も消えるし、鍵も掛かってたりで面倒過ぎ!」
レオがそう文句を言うとサンダーが
「とは言っても、恩恵も大きいからなお前だって分かるだろ?最初の宝箱を開けた時に金貨が100枚も入っていたんだぞ? 最近は少ないと言ったって銀貨30枚入っていたりしてたじゃないか…レオは贅沢過ぎるんだ。大体お前はいつも取り分が多いだろう?文句ばかり言うなよ」
「え~サンダーはそういう考えなの?楽に沢山稼げた方がいいじゃ~ん!」
「ユリシアと同じで私もそう思います。最近あんまり宝箱の中身が少ないから、欲しい物が余り買えないので…」
「おいおい…お前達も最近レオと同じで贅沢ばかりで堕落してきてないか? 」
サンダーが呆れながら口にする…
「え~だってせっかく宝箱ドロップなんてスキルがあるんだよ? 有効に活用して贅沢したいじゃん!」
「そうだぞサンダー! 俺達は孤児院出の人間だから、いくら金があっても足りないんだ!そもそもだタルタル! お前のスキルがもっと機能していれば、もっと楽が出来るんだよ!なのになんだ? 最近宝箱ハズレばっかりじゃねえか!」
その発言にサンダーと俺は、顔を見合わせると呆れ果ててしまった。
どうやらレオと女性陣二人から察するにはそういう考えらしい…
そんな態度の3人に苦笑いをしていると一行の前にゴブリンが姿を現した。
「おい! タルタルお前が倒せ! 宝箱はお前が倒さないと出ないだろ!」
「早く早く! ゴブリンを倒してよ!」
「頑張ってください! タルタルさん」
そう口にして動こうとしない3人
その中で手伝ってくれたのは、サンダーだけだった・・・
結局サンダーの手助けがあり、悪戦苦闘したものの、なんとかゴブリンを倒すと宝箱が姿を現した…
「おっ! 今日はついてるないきなり出たぞ、後は鍵が開いてくれればいいんだが…」
「お宝ですわ~」
喜んだ様子のユラが宝箱へ駆け寄る。
そしてユラが宝箱に手を付けた瞬間!
宝箱が口を開けてユラに噛みつく!
そして上がる悲鳴。
宝箱はミミックだった!!
「きゃああああああああああああ!」
運が良く嚙み千切られはしなかったものの、ユラは夥しい量の血を流している。
「おい! タルタル! どういう事だよ!」
「わかんないよ!」
「お前達今は言い争ってる場合じゃないだろ!」
「そうはいっても、俺達E級冒険者じゃあC級冒険者クラス相当のミミックなんてどうにも出来ないぞ!」
揉めてる間にもミミックは距離を詰めてくる。
そんな中ミミックは急に討ち取られることになる…
俺達が騒いでた事が幸いしたのだ…異常を察し丁度依頼で洞窟に来ていた他の冒険者が助けに来てくれたのだ。
「大丈夫か? 君達!」
助けに来てくれた冒険者は辺りを見回すと血だらけのユラに気付く…
「これは酷いな…取り敢えずこの薬を使ってくれ」
「助けに来てくれただけではなく薬までありがとうございます」
「いや気にしなくていい困った時はお互い様だ。ほら!早く薬を使ってあげるといい」
そう言い薬を渡すと依頼がまだあるからと、その冒険者は去っていった。
こうして貰った薬を使いユラの傷の応急処置を済ませると重い空気のまま帰路へとつくのだった…
その帰りの道で…
「タルタルお前の所為だからな」
「タルタルの所為だからね」
「…」
怒りを向ける2人と傷の所為で無言のまま睨むユラだった…
これが顛末であった…
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