第19話ど~なってんだ?

杉岡はめまいを感じながらも、目の前の七瀬に声をかけた。

「七瀬、何してやがる?」

「出張帰りに、同僚と飲んで近くだったので寄ってみました」

「ば、馬鹿者!夜中の2時過ぎだぞ」

「ま、立ち話はあれなんで、部屋へどうぞ」

「七瀬、そりゃ世帯主の僕の台詞だよ!今日は帰れよ~」

「ま、まさか、彼女さんが部屋にいるんですか?会いたいな~、大学生の彼女なんですよね?」

「き、今日は大事な話しをしてるんだから、帰ってくれないか?」

「わ、分かりました。また、後日」

七瀬は諦めた様子で、アパートの階段を降りていった。

「ふぅー、危なかったぜ!ユミと中島と飲んでることが知られたら、結果は火を見るより明らかなり。だぜ」

「え~、お前なにしてんの?」

階下が騒がしい。……し、しまった!七瀬の野郎、ゲスト2人を発見したのか?

恐る恐る、階段を降りた。


中島と七瀬が会話している。

「……終わった」

七瀬は杉岡の顔を見て、

「先輩、中島も彼女さんも一緒じゃないスかっ!また、先輩、イヤらしい事を考えていますね。僕っていう、セックスフレンドがいるのに!」

その会話を聴いていた、ユミが杉岡に、

「おい、君。まさか、このかわいい男の子としたの?」

「い、い~や~」

「彼女さん、先輩のあそこってスゴいですよね。あそこも、鍛えられてるって感じしますよね?」

「ほらっ、この子、こんなこと言ってるよ!君と一度はじっくり話さないとね。みんな、コイツん家に集合」


四人は杉岡の部屋に集まり、何次会か分からぬ飲み会を開始した。

テーマは、「どうする?日本経済と杉岡の性癖」で、ある。

「日本経済はさておき、君の性癖はどうにかならないの?」

杉岡は中島にアイコンタクトを送るが、中島はコンタクトを外していた。裸眼の視力は左右0.2だ。

「君、七瀬くんて、言ったっけ?」

「はい、彼女さん。コイツから話し聴いてないの?」

「何の事でしょうか?彼女さんの話しはありましたよ。大学生の彼女がいらっしゃると」

ユミは深いため息をつき、ウイスキーのロックを一気飲みした。

まだ、飲み足りないのか新しいロックを作り始めた。

「皆さん、勘違いしないで下さい。杉岡主任はユミさんの事を第一に思っています」

「な、中島~、ありがとう」

「しかし、性癖はバイです。わたしも、今夜狙われていましたが、理由を聴くと切ないくらい、ユミさんの事を一途に考えいます」

「ユミちゃん、コイツは私がいながら男の子とナニするし、ホントに私の事を思ってるの?」

「はい」

「根拠は?」

「ありません」

「何なんだよ、中島ちゃん。説得力ないな~。ビシッて決めてよ!」

中島は軽く咳払いし、話し始めた。

「杉岡主任は穴さえあればいいのです」

「……」

「……」

「……は?」

「いっけね。あたし、変な事言っちゃいましたね。勘違いしないで下さい。恋愛に性別は関係ないのです。主任はユミさんと言う彼女がいますが、トランスジェンダーなのです」

「せ、先輩、ホントっスか?」

杉岡は首を縦に振る。


「じゃ、ユミちゃんは僕の恋敵だね。僕は荒っぽい腰の振り方する先輩を心から愛してるんだ。でも、相手か悪かった。女子大生には負けるよ!」

「私、47なの」

「ユミちゃん、こんな時冗談はやめようや!」

ユミは免許証を見せた。

七瀬は目を見開き、

「これマジ?」

「マジ。で、私は男なんだ」

「えぇ~、僕は酔ってんのかな~。頭が回転しない」

杉岡は久々に口を挟んだ。

「好きになった人がただ、男だっただけだ。七瀬、悪い。僕はユミしかいないんだ!」

七瀬は柿の種を頬張りながら、

「じゃ、たまに遊んで下さい」

「それは、ユミに申し訳ない」

「君~、散々悪さして申し訳ないはないでしょ!責任を持ちなさい!」

「ごめんよ、七瀬」

七瀬はこの後、爆弾発言をするのである。

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