第17話天網恢々疎にして漏らさず
杉岡と中島瞳は居酒屋『夜明け』のカウンターで飲んでいた。
杉岡はホッピーで中島は一杯目からハイボールを飲んでいた。
「主任と一緒にお酒飲めて嬉しいです」
「へぇ、嬉しいかなぁ~」
「でも、主任!海上木材課の女子の間では主任がゲイだって言う子がいるんですよ!七瀬先輩と付き合っているとか……」
「な、なんのことぉ~。僕はそんな趣味ないよ!」
「信じていいんですか?」
「う、うん」
「良かった~。わたし、主任の事がずっときになっていて、あの~お付き合いされてる女性とかいらっしゃるんですか?」
「ま、ま~、いるよ!」
「あぁ~遅かったか~」
中島はバイトの店員に、ハイボール濃い目でと注文した。
「き、君は酒強いね。どこの出身なの?」
「わたしですか~?わたしは九州です」
「僕も九州なんだ。明日は休みだし、じゃんじゃんやっとくれ」
2人は梯子した。中島はデキあがっている。
広い座敷席がある『三嶋屋』で、芋焼酎をロックでのんだ。季節は夏だが、味噌おでんが旨い店なのだ。
「主任、彼女の写真とかあります?」
「あ、あるよ!」
杉岡はスマホに保存されているユミの写真を見せた。
「彼女さん、大学生なんですか?」
「ま、まぁ~」
杉岡は染みた大根にからしをたっぷり乗せて、口に運んだ。そして、すかさずロックで流し込む。
「わたし、浮気する男性は嫌いなんですけど、主任とは浮気したいな~」
「ば、馬鹿者!こっちは大変な思いをして恋愛してるんだ!」
「怒んないでくださいよぅ、ただ言っただけなんですから。もしかして、七瀬先輩と付き合っているんじ……」
「ないないない、それはない」
「でも、七瀬先輩は後輩思いなんですが、恋愛の話しになると、いっつも主任の話しばかりしてるんですよ!あの、腐男子は」
「ふ、腐男子をバカにするな!そういう、偏見は辞めなさい!」
「もしかして、主任も腐男子だったりして、アハハハ」
杉岡はロックを飲み干し、再び芋焼酎のロックを注文した。
2人は、世間話や会社の恋愛話をして泥酔した。
杉岡が腕時計を見ると、12時半を回っていた。
終電を逃した2人は、タクシーで杉岡のアパートへ向かった。
酒豪の中島は、シーバスのロックを飲んでいる。
「主任も、飲みましょうよぅ~」
と、しつこく言うので仕方なく杉岡もロックを飲み始めた。
杉岡はトイレに向かった。
すると、
キャー
と言う叫び声が聴こえてきた。慌てて、部屋に戻ると、中島はBLマンガ数冊を眺めていた。
「し、主任。やっぱり、腐男子ですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます