第16話策士策に溺れる

倉橋は杉岡と課は同じだが、彼は内勤専門で、杉岡は現場と内勤の両方を受けもっている。

杉岡は大量の書類と格闘している倉橋に、缶コーヒーを渡し喫煙所へ誘った。

「杉ちゃん、昨日どうだった?」

「飲んだ勢いなのか?最後までしちゃった!」

「ほう、それで」

「もしかしら、僕はゲイかも」

杉岡は落胆した。

「先ずは、成功だな。杉ちゃん、実は僕はバイなんだ!」

「……なんですって!」

「七瀬は羨ましいな~。今、僕は結婚して嫁さん一筋なんだけど、その前は男も女も関係無かったんだ」

「へ、へぇ、先生、今僕はゲイだのバイだの言われてますが、ユミちゃんどころじゃ無くなってしまい、バカな作者かみさまが、僕を変態にしようと言う方向へ進むように、しようとしてます」

「杉ちゃん、この前言ったでしょ?恋愛に性別は関係ないと」

「う、うん」

杉岡はハイライトを吸いながら、缶コーヒーを飲む。


倉橋はマルボロに火を着けてから話した。

「海上木材課の中島って子知ってる?」

「あぁ~聴いた名前。中島瞳だろ?かわいい女の子って認識してるけど」

「そいつ、杉ちゃんを狙ってるよ!」

「だから?」

「だからじゃないよ!バカのJAPANのマネ出来ないからね。今夜、誘いなよ!『夜明け』に」

「いいや~、ま、まさかぼくをバイにする計画?」

「そうだ」

「せ、先生、わたくし腐男子からゲイになり、そしてバイですか?」

「そうそう。ならばユミちゃんと上手く行くよ!」

「じゃ、今夜、中島を誘うよ」

倉橋は杉岡に書類を渡した。

「この書類、海上木材課の資料だから、さりげなく、中島に渡して誘いなよ」

「大丈夫かな?先生!」

「大丈夫。作者かみさまが付いてるから、きっと中島とヤれると思うよ!」

「……」


船舶課とは違い、和気あいあいと仕事している海上木材課の中島に資料を渡した。

この会社一の、美女新人だ。

「な、中島、今夜空いてる?」

「え?主任何かあるんですか?」

「久々に、新人と飲みたくてね」

中島は顔を紅く染め、

「ぜ、是非、宜しくお願いします」

「後、この飲み会は内緒でね」

「分かりました」

「じゃ、仕事終わったら通用口で待ってるかさ。残業しないでね」

「はいっ」

実は中島瞳は、爆弾女なのであった。

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