第3話コーヒールンバ

「ねぇ、杉岡さん、これから毎朝、一緒の席でコーヒー飲んでもらえます?」

杉岡は、これは美人局だと思った。

「田中さん、悪いが美人局には引っ掛からないよ!」

「え、まだ何にもしてないじゃないですか?」

「き、君はまだ若い。もっと他の男とくっついた方がいいよ!」

「杉岡さん、まだ、20代ですよね?」

杉岡はチューチュー、ストローでアイスコーヒーを飲んでいる

「ぼ、僕は35だ!」

「うっそ~、イケメンだし、この前ここで、ジャケット脱いだら、細マッチョでしたよ!こんな、男性はモテてますよね?」

「僕は、毎朝ここで、週刊紙のヌード見ながらニヤついている。変態だよ、女は必要ないよ!それこそ、ユミさんにはお似合いの男性いるでしょ?」

ユミは笑顔で答えた。

「私、47歳なの」

「えぇー」

杉岡の声は店内に響いた。

「ユミさん、冗談はさて置いて、まだ大学でしょ!」

ユミは財布から、免許証を見せた。

「あらっ、本物の47歳だ!どうして、若く見えるの?」

「それは、おいおい」

杉岡は腕時計を見た。安物のG-SHOCKは08:20を表示していた。

「ごめん、時間が。仕事行ってくる。また、明日ね?」

「はい」

杉岡はユミのコーヒー代も払った。


杉岡はパソコンの前で、項垂れていた。

あのかわいい女の子が、47歳だなんて!

同僚の倉橋が杉岡の顔を覗いた。

「杉ちゃん、元気ないね~。どうしたの?」

杉岡は、かくかくしかじかと、話しをした。

「杉ちゃん、恋愛に年齢は関係ないじゃん」

「ちょっと待ってよ、まだ、その女の子をまだ好きって感情はないよ!」

「ま、そのうち沸くさ、恋愛感情が!」

「そうかな、ありがとう倉橋君」

杉岡は、夜中の船の書類と格闘しながら、ユミの事を考えいた。


もしかしたら、これが恋なのか?


仕事は朝の4時に終わった。今日はあの子とは会えないな。

杉岡は睡眠薬を飲んで自宅で爆睡した。

1日経って水曜日の朝、喫茶店へ行った。

1人で官能小説を読んでいると、ユミは少し遅れ杉岡の正面に座った。

「杉岡さん、昨日居なくて心配しました。あっ、難しそうな小説ですね?」

「あ、ドストエフスキーの罪と罰だよ!」

杉岡は官能小説を隠す為に表紙をすり替えているのだ。

「どんな、内容ですか?見せて下さい」

「こ、これは面白くないから」

と言うが、ユミは引き下がらない!

押し問答の末、ユミが杉岡から罪と罰を強引に奪い表紙が外れた。

「『女を満足感させる為の、48手を学べ』……杉岡さん、朝からこんなの読んで楽しいの?」

「ん、まぁ~」

「溜まってるなら、私がヌイてあげましょうか?」

杉岡はその言葉に、固まった!

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