第16話 クエスト

「半日でかぁ。うーん、これだと1日かかりそうだし…」

「どうしたの?」

「いや、これをやってみたいと思ったけど…1日かかりそうで…」

「別に半日じゃなきゃ駄目、と言うわけではないから…1日のでもそれをやりたいならそうすればいいんじゃない?」

「じゃあ、このクエストにしようかな…」

 俺がアリーに見せたのは『道路の掃除』というクエストだ。

「なんでこれ?もっと楽なクエストも有ったのに…」

「一番最初に目がいったのも有るけど、掃除という物をやってみたいから」

「あぁ、なるほど…」


 その後、俺とアリーは『道路の掃除』というクエストを選んだ。

 この町は小さく1日あれば終わりそうだ。でも、その仕事のわりにはお金が小銀貨6枚と安く、誰もやりたがらない理由が良くわかる。

 それから受付に行ってクエストを受けにいった。

「これ、お願いします」

「では、カードを出してください。はい、確認しました。お気をつけて」

「アリー、これからどこに行けばいいの?」

「この紙には『町長さんの家に行って話を聞くこと』と、書いてある」

「と、言うことはユリアさんの所に戻る形になるね」

 さっき別れたかと思えれば、また行くことになるとは思わなかった。

「すいませーん」

 俺は声をかけてユリアさんが来るのを待った。

「はい、あれ?ランティス様、アリーどうしたの?」

「あ、クエストを受けに来たんですけど…」

「クエスト?」

「『道路の掃除』というクエストです」

 そう伝えたらタギはあぁと、納得したのか

「って、まさかあれを受けに来たんですか!?」

「タギ、大きい声だして何かあったの?」

 ユリアさんが、奥から顔をだした。

「あれランとアリーどうしたの?」

「あのクエストを受けたみたいです」

 その後、ユリアさんから詳しい説明を聞いた。

「この町はそんなに大きい訳ではないけど、たまに掃除をしないと町が汚なくなるの」

「まぁ、確かにそうですね」

 俺は納得しながら、続きを聞き

「だから、ギルドに依頼を出しているの。それでも受けてくれる人はそんなにいないけど…」


 ユリアさんとタギは、私達に竹箒たけぼうきと麻袋を渡してきた。

 ユリアさん達によると、

「竹箒は道路に落ちてあるゴミを集め、袋はその集めたゴミを袋に入れる。最後に袋ごと私達の所に持って来て、そしたら依頼終わりだから」

 その説明を聞いてクエストを受けに行った。

 仕事をしながら、アリーに声をかけた。

「ねぇ、いろんな依頼が壁に張ってあったけど…だいたいこんな感じ?」

「物によるね。町中の仕事はそんなでもないけど…外に行って魔物討伐したり、薬草採取はこんな感じが多いよ」

「じゃあ、今回は珍しい依頼なんだ…」

 そんな会話をしながら

「そうだね、この依頼はやりたがる人がいないから」

「お金が少ないから?」

「それも有るけど、同じ値段なら楽な方にするでしょう?」

「まぁ、確かに…」

「だから、ランがあの依頼を受けるとは思わなかったの」




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