第3話 目を覚ますと...
グラム「うぅん...」
目が覚めた。どうやら僕はいつの間にか気を失ってしまっていたらしい。
(ここはどこだ?)
どうやら僕はベッドに寝かされているらしく、ベッドの横にある机には水が置いてある。ほのかに香る薬品のにおいから察するにここは保健室のようだ。
ベッドから起き上がり、机の上にある水を一口だけ飲んだあとカーテンをめくると、そこには保健室の室長である女性、『ノルン・メディック』が優雅にコーヒーを飲んでいた。
その光景を眺めているとノルン先生がこちらに気付き、声をかけてきた。
ノルン「おや?目が覚めたみたいだね。体調のほうは大丈夫かい?」
グラム「はい。もう大丈夫です。ところでなぜ僕は保健室で寝ていたのでしょうか?」
ノルン「覚えていないのかい?君は選定の儀の途中で急に倒れたのだよ。それで近くにいた男性教師がここまで運んでくれたんだよ。」
グラム「そうでしたか。ご迷惑をおかけしました。ちなみに僕はどれぐらい気を失っていたんでしょうか?」
ノルン「さほど時間は経っていないよ。おおよそ一時間ほどだったと思うよ。
ちなみに病気の可能性を考慮して少し体の方を診させてもらったが特に異常は見られなかったのだが倒れた理由に心当たりはあるかい?保健室にきた生徒のことを記録しないといけなくてね。よかったら聞かせてほしいのだが。」
倒れた理由を聞かれて記憶を遡ってみたが倒れる前に選定の儀で何があったか思い出した瞬間、強烈な吐き気を感じた。
その様子を見て驚いたノルン先生が駆け寄ってきたが僕は吐き出しそうになったものを必死に飲み込みながら選定の儀で起こったことをノルン先生に話した。
ノルン「スキルがない?そんなこと聞いたことないぞ?何かの間違いじゃないのか?」
グラム「いえ、確かに司祭の方に言われました。スキル無しと。」
ノルン先生は驚愕の表情を浮かべていたが、軽く咳ばらいをしたあと、
ノルン「とにかく、今は君自身どうすればいいかわからないのは確かだろう。おそらく司祭の方たち含めて教師陣や学園の上層部もいろいろ今後の対応について話し合ってるかもしれない。いまは学園からの指示を待つしかないだろう。君はとりあえず一度職員室に行って先生の指示に従いなさい。」
ノルン先生が診察記録を書き終えるのを確認した後、僕はノルン先生に一礼した後、保健室を後にし、職員室へと向かった。
職員室へ向かう途中、すでに帰ろうとしている何人かの生徒とすれ違った。帰るには早い時間に思うかもしれないが、選定の儀の日は先生方も結果の確認やクラス分け等で忙しくなるらしく、儀を終えたら生徒は皆速やかに帰ることになっている。
職員室に行く途中で、帰る途中の生徒とすれ違うがなぜかその生徒たちからは冷たい視線を感じた。気のせいかと思いながら歩いていると職員室についた。
どの先生に会えばいいのか聞いていなかったため、とりあえず近くにいた教師に事情を説明したところ、なぜか僕は学園長室に連れていかれることになった。
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