時間制限付きの魔法4

そんな二人の質問に、お姉さんはニヤリと笑って答えた

「これこそが、あの変装用の薬の正体さ。飲んだ人の時間をちょいとばかり進める薬でね。ほら、あんたたちが集めてくれたトケイソウ、あいつを調合したのさ。トケイソウは古代種の植物で強力な魔力を秘めてるからね。調合具合にして、あんたたちのプラス十歳までは行ったかな。だから……二十歳前後ってところかい?」

その言葉に、双子よりも先にガイが口を挟んだ

「はは〜ん、つまり〜二人が大人になると、こんな姿になるんだねぇ〜。なんだか想像通りというか、でもちょっと意外というか〜」

その言葉に、双子も改めて自分の体を見回し、お互いの顔を見て……笑い出した。

「言われてみれば……ププッ、確かにシン、変わってない!」

「ププッ! それはシンジもだべ! でも、シンジ、なかなかカッコいいんでねーべかな」

「シンも……思ってたよりは、男前かも」

「うん? どういう意味だべさー!」

「ほらほら、ゆっくりしている暇はないよ! 試着してもらうんだから」

思わず話が逸れていきそうな双子に、お姉さんが横槍を入れた。見ればその手には大人サイズの服を持っている。変装用の衣装というのは、大人サイズの正装だったのだ。

「ほら、これであんたたちの顔を知ってる奴が、お前さんたちを見ても、まさか急に大人になるなんて思わないだろ。これで堂々とお城に入れるよ」

その言葉に、事を理解した双子は表情を明るくした。

「確かに、これならバレないだべな!」

「フェイカー対策はバッチリだね!」

しかしすぐに茶々を入れるのはガイである。

「でもでも〜、それでもシンは喋らない方がいいと思うな〜」

「あ、確かに。この見た目にこの訛りじゃ、すぐバレるよね」

「なんでだべー! オラだってバレないはずだべさー!」

またも話が脱線していく男子に対し……

「いい加減、服着てきなさーい!」

顔を真っ赤にして、静電気を発生して怒るのがヨウサの役目なのだった。


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