遠い日の約束7
いい人の顔をしているが、実は欲深い本心を隠し持つ人……。か弱そうな姿だが、実は隠された偉大な力を持つ者……。そして、冷酷な紳士に見えるが、本来は心優しい紳士……とかな」
その言葉に、リタだけでなく、ヨウサもはっと顔を上げた。
「まさか助ける方法が……」
「そういうこと⁉」
驚く二人に対し、まだ疑問符が浮かんでいるのは双子である。
「うん?どういうことだべ?」
「冷酷な紳士…………あっ、もしかして」
と、ひらめいた風に目を見開いたのは弟の方だ。
「わかったよ、シン。リタさんの仲間を救う方法が、あの霧の湖なんだ!」
「むん? どういうことだべ?」
まだ理解しきれていないシンに、今度はヨウサが続けた。
「ほら、薬屋のお姉さんが言ったじゃない。霧の湖はもう一つの自分を映すって。だからシンくん達の言う、あの一つ目紳士を霧の湖に連れて行けば、もう一つの自分、つまり、本来のリタさんの仲間、クーフさんの姿が映るってわけよ!」
「そして霧の湖は、本来の自分を持つ者を湖の中に引きずり込む。湖から出るには、その本来の自分を受け入れなければならないって、お姉さん言ってたじゃない。つまり、一つ目紳士を霧の湖に連れて行くことができれば、本来の姿に戻れる可能性があるってことだよ!」
二人の説明に、ようやく理解したシンが目を輝かせた。
「そういうことだべか! お姉さんすげーだべ! 天才だべな!」
素で感心するシンのまっすぐな褒め言葉に、薬屋のお姉さんは珍しく得意げな顔で口元を緩めた。
「ふふん、ダテにこの辺りで長く薬屋やってないよ。でもこれで作戦は分かったろう? まずは王女様を助け出し、大好きなお水を差し上げて本来の力を取り戻していただく。二つ目にあの一つ目紳士を霧の湖に誘導する。この二点だ」
その言葉に、シン達四人とリタは深く頷いた。
「そのためにだな……」
雨音が鳴り響く店内に、六人は頭を寄せ合い、こそこそと話し合いを始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます