遠い日の約束2

 そんな強力な助っ人のおかげで、彼らは程なくして森の中の小さな花畑に到着することができた。木々の木漏れ日を受けて、長く伸びた草。その間を縫うように、白と青の花びらを揺らす特徴的な花が何本も咲き乱れていた。

「うんうん〜、メモの花と同じ形〜!」

 メモと見比べながらガイがうなずくと、術を使ったリタがホッとしたようにため息を付いた。それを見て、赤髪のシンは人懐っこく笑う。

「見つけただべな! リタ、さすがだべ!」

「ありがとう、リタさん!」

「さ、はやく集めちゃいましょ!」

「ちゃんと花びらの形が完璧なものを選べって書いてある〜。ちゃんと花を確認してから摘んでね〜」

 そんなガイの注意する声を聞きながら、皆それぞれ花畑にかがみ込んだ。

「ふふ、でもきれいな花。ちょっと摘むのが惜しいくらい」

「ホントね」

 ヨウサの言葉に、リタがくすくす笑って同意すると、二人は近くにかがみ込んでそれぞれ花を摘み始めた。

 ヨウサは一緒に花を探しながら、ふとリタの様子が気になった。昨日までの落ち込んだ表情を思い出して、そっと黒髪の少女の顔を盗み見る。しかし、リタの横顔に暗い色は見えず、うっすらと口元に笑みが浮かんでいた。ひとまず元気そうなその笑顔に思わずホッとする。そうなると、無言でいるのは難しいものだ。思わず好奇心から口が出た。

「そういえば、リタさんと仲間の、えーと、クーフさんって、旅を一緒にして長いんですか?」

花を摘みながら問いかければ、同じく花摘みしていた黒髪の美少女は柔らかく微笑んだ。

「長いのかなぁ。初めが半年くらいで、それからしばらくして、今また数ヶ月だから……まだ一年はたってないかな」

「いつからリタさんとクーフさんは仲がいいんですか?」

「う、うーん……仲は良かったよ。だってクーフさん、とっても優しいから」

そう言って微笑む少女は、とても美しかった。思わずその表情にヨウサの質問が続く。

「優しい人かぁ……。でも、昨日見た白い服装の紳士、なんだか一つ目姿で顔もよく見えないし、ちっとも様子がわからなかったんですよね……」

 その言葉に、黒髪の少女も悲しげにうつむいた。

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