不思議な薬屋さんの秘策6
ヨウサが力強く頷くと、お姉さんも頷いて続けた。
「それに、ちょうどいい機会がある。明日は『開花祭』といってな。今の時期は、ちょうど古代種のアサガオが開花する時期でな。国の花、王家の紋章として使われているアサガオは大事な花だ。開花祭は、その花が咲くことを祝うお祭りなのだ。城では舞踏会を行い、国の者も自由に参加できる大きな祭典だ。そして翌日には、決まって王家より民へお言葉を発信する機会がある。そこで王女様自ら、お話して頂くのがいいだろう。それに」
と、お姉さんは険しい表情で口調を強くした。
「あの大臣のことだ。おそらく放っておけば、その王家からのメッセージで、良からぬことを発信する気に違いない。王女様を牢屋に閉じ込め、自らが金儲けをしているんだ。王家乗っ取りを企てていてもおかしくないぞ」
その言葉にシンジがあごを押さえて頷いた。
「なるほど、あの大臣と女魔術師、舞踏会がどうって言ってたけど、開花祭のことだったんだね。そういえば、そこで、いかに優れた大臣かを国民に知らしめるって、なんか言ってた気がするな」
その言葉に、お姉さんはフンと鼻を鳴らした。
「そんなことだろうと思ったよ。そのためにも、ウコン様をなんとしても明日までに救出しなければならんのだ」
「どうやって? まさか、強行突破?」
不安げにヨウサが問うと、お姉さんは首を振った。
「いくらあんたたちが魔術学校の生徒でも、そんな無茶はできないだろう。それに、下手をすればウコン様のお命も危ない。あくまでこっそりだ」
「でも、どうやってやるだべ?」
シンの問いかけにお姉さんは不敵に微笑んでみせた。
「ウコン様はああみえてこの王国の王女様だ。見かけによらず凄まじい力を秘めておられる。ほら、お前たちに女魔術師の居場所を難なく教えたと言ってただろう? あれはウコン様のお力の一つだ。代々、アーサガ王国の王族は、不思議な力を引き継がれるんだよ。だが、ウコン様は恐らくかなり弱っておられる。その証拠があの缶の水の飲みっぷりさ。たくさん飲んでおられたのだろう?」
その問いかけにシンが呆れたように頷いた。
「恐ろしいほど飲んでただ。あのちっこい体で、缶の水まるまる飲み干しただべよ」
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