不思議な薬屋さんの秘策7
「あれは水をそのまま魔力に変換しておられるのだ。恐らくウコン様にはまだまだたくさんの水がいる。そして本来のお力を取り戻されれば、後は式典後の会場にお連れするだけで、恐らくすべてうまく行くだろう」
その言葉に、懐疑的なのはガイだ。
「え〜? ホントに〜? ホントにそれだけでなんとかなるのぉ〜?」
「ああ、恐らくウコン様はすべてを知っておられる。あの方は多くを語らずとも、真実を見抜く力があるのだ」
「いやぁ〜……小さくてまだちゃんと喋れないだけな気もするけどぉ〜……」
まだブツブツいうガイの隣では、シンジが首を傾げていた。
「でも、どうやってこっそりそれを行うの? また侵入するったって、今度は水を届けに行く口実もないよ?」
「それにまた牢屋のある地下に行くのも、難しそうだべしなぁ……」
すると、お姉さんは不敵な笑みを浮かべて答えた。
「カンタンさ。その開花祭の舞踏会に、あんた達も参加すればいいのさ」
その言葉に、真っ先に答えたのはヨウサだ。
「舞踏会! しかもお城の!? うわー、素敵! なんだかお姫様みたいね!」
と、嬉しそうだが、双子は顔を見合わせ、首を傾げあっている。
「ブドウ会……。武闘……なんだべ、戦いあうお祭りだべか?」
「いや、ブトウ会、ね。どう考えても踊るんだと思うよ。うーん、ダンス得意じゃないんだよなぁ……」
「でもでも〜誰でも気軽に参加できるの〜?」
ガイが問いかけると、お姉さんはコクリと頷いた。
「服装と持ち物に制限があるが、誰でも気軽に参加できる式典さ。あんたたちでも、条件さえ揃えば参加可能さ」
「それなら安心ね」
「よし、舞踏会、うまく利用して城に入ってやるだべよ!」
と、ヨウサとシンが気合充分に頷きあっていると、
「私も行く」
と、強い声で答えたのは黒髪の美少女、リタだ。彼女の申し出に、シンジが不安そうに首を傾げる。
「え、でも、リタさん、一度お城に忍び込んで、顔がバレてるんでしょ? また行ったら、危険なんじゃ……」
「危険なことはわかってる。でも……助ける糸口が分かって、助けるのを皆さんに任せっきりなんて……イヤなの。私、ちゃんと自分の手で助け出してあげたい」
その強い言葉に、ため息混じりに答えたのは薬屋のお姉さんだ。
「ま、惚れた相手のためとなれば、そうだよな、気持ちはわかる」
「そうよね」
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