第3話:偏愛
私の愛する生徒。私を愛さない生徒。
愛は一方通行であるべきではない。私が愛を与えたのなら彼女たちも返すべきだ。それが公平というものである。だから私を拒絶したものは許さない。
社会のルールを生徒に教えるのも教師の務め。私は務めを果たしただけ。
「ハァ、ハァ、教育は愛だ。愛によって成されるべきだ。あいつらと私は違う。私は聖職者、真の教師だ。愛で導いてこその、教育者!」
彼女は私の愛を受け止めきれなかった。せめて受けて返すことさえしていれば、もう少し優しく教えてあげられたのに。
残念だ。とてもとても残念だ。
「私こそが教師だ!」
今まで教えてきた生徒の写真に頬擦りする。
これが私の愛の証。
本当に愛を教えられたのはまだ一人しかいないが、私は『力』を得た。
これからはもっと沢山、愛してあげることが出来る。
さて、次はどの子を愛そうか。
〇
「ひふみさん。わたし、目玉焼きくらい作れます」
「フライパンは危ないからまだ駄目」
「……むう」
頬をぷっくりと膨らませ、表情こそ無であるが感情表現は多彩な翡翠。危険から遠ざけようとする一二三にひどくご立腹のようであった。
「目玉焼きとトースト一丁! あと牛乳!」
「昨日はスクランブルエッグとトーストでした。それと牛乳、嫌いです」
「いやー奇遇だなぁ。あ、好き嫌いはダメだからね」
机の中央部で牛乳を巡って小規模な攻防が繰り広げられたが、そこは翡翠が敗れ去った。こと牛乳に関してはこの男、やたら頑固なのだ。
「むう、せっちゃんさんの帰還が待ち遠しいです」
案に食事のレパートリーの少なさを弄る言葉を言い放つ翡翠。
「……すみません」
案の定、一二三はしょぼんと肩を落とす。
「それかわたしが代わりに――」
「危ないからダーメ」
「……むう」
そんな羽佐間家の朝食模様。頬を膨らましただけの無表情をふくれっ面と呼んでいいのか微妙なところだが、そんな彼女は問答無用でリモコンを操作する。
「ぐっ、ジッパーが好きなのに」
「わたしはしっかりしたニュースを視聴したい社会派なので」
一二三お気に入りの番組を切り替え、比較的まじめなニュースに目を通す翡翠。
『――蒼の光教団によるデモが国会前で行われております。彼らの要求はコンコルド・シティの解体、それによる異種族との断絶、異種族による事件の被害者なども詰め掛け、現場は大変大きな騒ぎとなっております』
「バカ騒ぎしていますね」
「まあ、色んな人がいるよ」
「随分落ち着いているのですね」
「彼らの内、何人が異種族と交流したことがあると思う? 怪異に触れたことがあると思う? 大した割合じゃないよ。知らないから怖い、それだけだ」
「中にはいると思いますよ」
「何がだい?」
「怪異の被害者。実際に被害者はいるわけですから」
「あはは、割合で言えば車の方がよほど人を殺しているよ」
「それ、あまり好きな論理じゃないです」
くまさんのパジャマを脱ぎ捨て、翡翠はじっと一二三を見つめる。
「ひふみさんは怪異の側に寄り過ぎです。わたしたちはもっとニュートラルであるべき。それがわたしたちのあるべき姿かと思います」
自分よりずっと年下の少女に諭さればつの悪い表情になる一二三。
「君は、随分変わったね」
「成長しました。わたし、天才なので成長が早いのです」
無い胸を張る翡翠の姿に一二三は苦笑する。
「成長したわたしは嫌いですか?」
「いや、沢山成長してほしいよ。それが俺の願いだ」
「ありがとうございます。今日は一緒に登校しましょう。わたしがトラックから守ってあげます。服代も馬鹿になりませんし。家計のため、および人のため。それがポップガールたるわたしの使命ですので」
まだ笑顔は難しいかもしれないが、少しずつ変化しているさまを見て一二三は静かに息を吐く。一足飛びは難しいかもしれない。それでも少しずつは変わるのだ。
ただ彼女の言うポップガールは常々よくわからないと思っていた。聞いても判然とした回答は帰って来ないので何ともふわふわした概念である。
『――人の前に怪異が存在を表明してから十年。我々は一つの岐路に立っているのかもしれません。現場からは以上です』
「岐路、か」
「早く着替えた方がいいです。実は時間、切迫しています」
「ねえ、ひすいちゃん。やっぱり君も同世代と、小学校に通った方が」
「いやです」
「なんでさ!?」
「わたし、もうそのステージは超えていますから。今更、同世代とは噛み合いません。それに知らない人と話すのは、その、億劫で」
「ポップガールは人見知りでいいんだ?」
「ひふみさんはいじわるです。嫌いです」
「あっはっは。さーてと、着替えてこようっと」
笑いながらクローゼットに向かう一二三を見て、翡翠はぽつりとつぶやく。
「小学校に通ったら、一緒に登校、できません」
無表情で不貞腐れながら、今日も今日とて特注サイズの小さな制服に身を包む翡翠。これを脱いで彼女と同世代の制服に身を包む時が来るのかどうかは――
神のみぞ知る。
〇
「あ、ひふみんオッハー!」
「ひふっ!? だ、誰ですか慣れ慣れしい!」
「うわ、何この子、外国人!? すっごーい、めちゃくちゃ可愛い!」
「ほ、褒めても懐柔されませんよ。私は鉄の女です」
突如、現れ猛牛の如し突進と共に翡翠を抱きしめる姫島さつき。相変わらず時間ぎりぎりで、相も変わらず巨大な双丘をぶら下げている。
一二三、紳士的な表情で、ちらりと横目で――
「あ、今胸見たでしょ? そーいうの女の子はすーぐわかっちゃうからね」
「み、見てない」
「ふーん」
「し、信じてないな。俺は紳士として有名なんだ」
「ただのケダモノです。最低ですね、ひふみさん。そもそも生物的機能として胸というのは小さい方がいいのです。軽くて動きやすいですし、大きくて得なことはありません。論理的に考えて巨乳は欠陥と言えるでしょう」
「そーそー、無駄に重いし肩凝るだけだもんねー」
「……何故でしょう。肯定されたのに釈然としません」
人見知りの激しい翡翠はさつきの拘束から脱出しようとするも、さすが突進で男子高校生を突き飛ばした女、貧弱な翡翠では解けそうにない。
「親戚の子?」
「そ、羽佐間翡翠。皆はひすいちゃんって呼んでる」
「あはは、そのまんまー」
「可愛いだろ?」
「すっごく。このままお持ち帰りしたいなぁ。今日はうちでお泊り会する?」
にゅっと鼻の下が伸びる一二三の表情をジーニアス翡翠は見逃さなかった。
「しません! ひふみさん、幻滅しました! 胸ばかり見ている男はクズだって乙女さんも言っていましたよ! 反省してください」
「いや、あの霊長目ヒト科ゴリラ属に何を言われても」
「今度言いつけてやります」
「まあ待つんだひすいちゃん。今日の夜ご飯はガストンでハンバーグにしようと思うんだが、どうだろうか? ひすいちゃん次第ならチーズを載せることも検討しよう」
「わたしは鉄の女です」
「ぐぬ」
「イギリス国旗がついてくるなら検討に値します」
「交渉成立だ、ひすいちゃん」
「良い交渉でした」
握手する一二三と翡翠。とかく子供っぽい二人である。
「あ、私もガストン行きたい。行っていい?」
「む、家族の団欒ですよ。そんなの駄目に決まって――」
「いいよ、別に。割り勘だけど」
「え?」
「全然割り勘でいいよー。私結構お小遣い貰ってるし、しかもバイトもしてるから金満女子高生なの。ステーキでもいけちゃうんだから」
「え?」
「え、おごってくれる!?」
「さすがにそれはダサいよひふみーん」
「え?」
衝撃の展開に天才少女翡翠は茫然自失となっていた。現在修行のため不在であるボランティア部部長の阿僧祇刹那であればまだしも、神聖なるファミリーレストランに他者が介在するなど翡翠にとっては許されざる出来事であった。
かつてヘルマ君が同席しようとした際も、国光が急襲してきた際も、鉄壁のディフェンスによりはじき返した守備に定評がある翡翠であったが、
「え?」
巨乳の勢いを前に脆くも敗れ去ってしまった。
羽佐間翡翠はこの日を忘れない。巨乳によって家族の絆を容易く売った裏切り者のことを彼女は許さないだろう。彼女は心に誓う。
(目玉焼きものせてやります)
憤慨する翡翠を間に和気あいあいと登校する一二三とさつき。
その様子を見て憤慨していたのは、何も一人とは限らなかった。
「……くひ、姫島、ゆ、許さない」
蛇ノ目式は凄絶な表情をしながら如何に今宵の晩餐を破壊するか画策し始めた。
そのすぐ近くで、
「ふーん、僕、彼女嫌いだなぁ」
性別不詳、色々不詳のヘルマ君が嫌悪感溢れた眼で二人を見つめていたことも彼らは知らない。
ついでに、
「ゆ、許せねえ。パーカー陰キャクソ野郎の分際で俺たちのアイドルに」
姫島を護衛(ストーキング)していたクラスメイト『たち』も激怒していた。
〇
「あー、黒木先生は今日体調不良でお休みだ」
「パチンコに負けたな」
「まだ給料日まで結構あるだろ? 今度こそ死んだんじゃねえ?」
元黒木組だった連中の辛らつな言葉にクロス先生は苦笑いする。
「今日は、先日行方不明になっていた二年三組の沢谷博美さんの件で全校集会があります。おそらく、皆も知っていると思いますが」
一気に教室全体の空気が重くなる。
同じ学年、このクラスに彼女と同じクラスだった生徒はいないが、それでも感じ入るところはあるだろう。この学校が、この都市自体が、危うい雰囲気に包まれているのは、ニュースを見ていれば誰にでもわかること。
特区として多くの補助が出てなお、人口が横ばいなのはここが危険だから。人間と異種族の歩み寄り、その最前線に彼らは立つ。
どちらからも風当たりを受ける場所にいるのだ。
「先日から先生方が見回りを強化しております。安心してください、とは言い切れませんが最善は尽くすつもりです。皆さんは用事が済み次第、早めの下校を、かつなるべく複数人で行動するよう心掛けしてください」
クロス先生の言葉が虚しく響く。
異種族が、怪異が本気を出したなら、そんな見回りに意味がないことくらい、此処に暮らす人々なら子供でも知っていることである。
これでまた人と異種族の溝が深まる。
その亀裂は眼に見えぬところで、少しずつ――
〇
放課後、活動を自粛する部活もある中、ボランティア部はいつも通り平常運転であった。羽佐間一二三は机に突っ伏して寝ているし、羽佐間翡翠は各机に据え置かれたデスクトップパソコン(何故かゲーミング)で情報収集に興じている。轟乙女は同じくパソコンでMOBAの対戦ゲーム解説動画を見ていた。
何とも言えない空気間の中、新人である蛇ノ目式は与えられた机の上でパソコンを弄っていた。無駄にハイスペックなパソコンである。
ネットサーフィンでは持て余すこと間違いなし。最新のゲーム(最高設定)でも容易く120fpsを出せるだろう。ディスプレイ次第だがそれ以上も出せるはず。
だが、彼らにその性能を活かそうという気概は見受けられなかった。
(RORの履歴が多いからみんなやってそうだけど、RORにはオーバースペックな気がする。まあ、そんなに大した意味はないのかもしれないけれど)
新人、蛇ノ目はさっそく共有から全員分のパソコンに入り込み、履歴データなどを極々自然な流れでぶっこ抜いていた。
ちなみにRORというゲームは世界で最も遊ばれているMOBAという種類の対戦型ゲームであり、基本は五対五で敵陣を破壊するべく立ち回るゲームである。基本無料、かつ有料なのは見た目を変えるためだけ、プレイ時間も課金もキャラクター性能には一切関与(最初の最初はあるが)しない、プレイヤースキルの優劣のみが競われるまさにエレクトロニック・スポーツの代表作であろう。
轟が見ている動画も、昨日行われた世界大会の解説動画である。
(私はちょっと触った程度だけど、まあ、やろうと思えばできるし、会話は合わせられるはず。ひふみ君も、やってそう。サルでもわかるタンク講座を無限再生してるし。あ、たまに開いているエッチなサイトは、あとで遠隔操作してこっちからブロックしとこっと。くふふ、ひふみ君の色々が見れる幸せ、プライスレス)
蛇ノ目、至福のひと時。
(他の子は、轟さんは凄く多趣味。プラモ製作、プロのドラム動画、格闘技、あとゴリラがやらねば誰がやる、キャリー絶対守るマン……これもRORの動画かな? あ、サポートの解説動画なんだ。わかりやすそうだけど、タイトルで損し過ぎ)
家で調べた際は何一つヒットしなかった轟乙女の情報。ここでも見ているサイトの傾向程度しか情報はなかった。
そして蛇ノ目は最後の一人に手をかける。
(ひすいちゃんは、すごく、雑多。ありとあらゆる情報を収集している? 傾向も何もあったもんじゃない。でも、一つだけ、キル数なんて飾り玄人はCSで差をつける。CSの差が勝敗を分ける。CSだけを見つめろ。ネクサスすらいらねえ俺にCSを食わせろ。CS命! タイトルは派手だけど中身は大体地味にCS食べてるだけの動画ばかり。これもRORの動画だけど、こんなのの何が面白いのかな?)
何とも珍妙なタイトル群である。
ちなみにCSとはRORというゲームにおける雑魚敵を、プレイヤーの手でとどめを刺すことである。とどめを刺さないとお金がもらえないので、プレイヤーは躍起になってそれを取りに行く、取りに来た敵に攻撃するのをハラスと呼ぶ。
ここまで全て余談である。
「あの、蛇ノ目さん。ちょっといいですか?」
「く、くふ、な、何かな?」
そんなことをしていると、突如、翡翠から声がかかる。
発声する準備をしていなかったため無駄にどもってしまった。
「少しご相談が。席を外しましょう」
「う、うん。別に構わないけど」
「どした、チビ?」
「わたしはチビではありません。乙女さんには何の関係もないのでお気になさらず」
「そうか、ま、どうでもいいけどよ」
意外と気の付く女、轟乙女。逆に爆睡している羽佐間一二三は声どころか身動き一つ取れていなかった。まあ爆睡しているので当然だが。
〇
ボランティア部の部室から出て、少し離れたところ廊下の突き当り。生徒数が思うように増えず、学校内でぽつぽつ存在する空き教室の一角に二人は訪れた。
「悪趣味ですね」
「え、何、が?」
「覗きです。あと、盗聴も。あまりいい趣味ではないと思います」
「……ど、どうして?」
身に覚えがあり過ぎる蛇ノ目式は間抜けな問いを発する。
「わたし、天才ですので。貴女がわたしや乙女さんの情報を集めていることくらい初日から気づいていました。そこに関しては当然の備えですし、特段気にしてもいませんでしたが。わたしも蛇ノ目に関して多少お調べさせて頂きましたので」
翡翠は可愛らしいバッグから物々しい機器を取り出した。
蛇ノ目、普段から顔色は悪いが、これを見てさらに顔色を悪化させる。
「いつ仕掛けたのかはおおよそ見当がつきます。春休み中、わたしたちが部屋を空けているときは限られておりますので。貴女がこの都市にやってきた日と照らし合わせれば、まあその算出には意味がありませんね。問題は、何故か、です」
「う、うう」
「しらを切っても無駄ですよ。状況証拠は揃っています。指紋はついていませんでしたが、製造番号からすでに購入日までは突き止めていますので。ちなみにわたしを口封じするのもおすすめしません。わたし、天才なので、非力なりに色々備えているのです。こうして席を外したのは蛇ノ目さんへの気遣いと理解頂きたいです」
「け、警察に突き出す?」
「まだ『正式』部員ではないですが、ボランティア部の一員。何故か、だけ教えていただき、それがわたしの納得できるものであればそこまではしませんよ」
蛇ノ目、自業自得とはいえ絶体絶命の窮地であった。
「……す、好き、だから」
「……はい?」
「ひふみ君が、好きだから」
「……申し訳ございません。全く理解できません。ひふみさんの何をご存じなのですか? わたしが調べた限りでは初対面のはずですが」
「それは、改ざんされたデータでしょ。くひ、だって、『羽佐間』一二三なんて存在しない。彼は中学時代まで別の名前だった。学校は違ったけど、知ってる」
「……まさか。わたしとしたことが、種族の改竄は知っていましたが、経歴まで」
自分にも一定の情報しか開示されていなかった事実に翡翠はうろたえていた。自分にも与えられた羽佐間の名。それが揺らいでいるのだ。
「それで、蛇ノ目さんはひふみさんの過去を知っている、と?」
「う、うん。途中で留学しちゃったから、そこまでだけど」
「なるほど、では、取引しましょう」
「え、ええ?」
「それによってはわたしも譲歩いたします」
無表情ながら迫力のある表情、羽佐間翡翠が裁きを下す。
○
「むにゃ、ん、あれ、どうなってんの、轟」
「知らねーよ。二人で話した後、こうなってた」
むくりと起き上がった一二三が見たのは仲良さそうにパソコン談義をする翡翠と蛇ノ目の姿であった。仲良くなりそうな気はしなかったが、世の中分からないものだなぁと一二三は思う。まあ、良いことなので何か言う気もないが。
「ほう、RORをやったことがある、と。私はADC専ですが」
「わ、私は、軽く触った程度だから。くひ、ま、まあ、しいて言えばMID、かな」
「なんと!?」
「んだと!?」
「なん、だと!?」
翡翠だけではなく乙女と一二三も喰らいつく。
いきなりの反応に目を白黒させる蛇ノ目。
「ランクは?」
「ノ、ノーマルだけ」
「そうか。でも触ったことあるなら大丈夫だ。あたしが鍛えてやる」
「おいおい、デュオレーンばっかりやっている奴が何を教えるってんだ? 蛇ノ目さん、良ければ俺が教えてあげるよ。ソロレーナーである俺がね」
「ハァ!? タンクでタワー引きこもりファーム野郎のテメエが何を教えるってんだ? あたしはこのメンツ以外ならミッドも触ってんだよ、トップ専」
「な、や、やらないだけで俺だってそんくらい出来らぁ!」
「やってからほざけ、童貞シコファータンクマン」
「き、貴様ァ! 処女ゴリラの分際でよくも!」
「「表出ろ!」」
あまりにもくだらない言い合いを経て、二人は外に飛び出していった。
残された二人は、
「ふう、ひふみさんも大人げないですね」
「だ、大丈夫なの?」
「いつものことです。適当にじゃれあったら戻ってくると思います」
「そ、そうなんだ」
「はい。で、話の続きですが」
「小学生のひふみ君?」
「ええ、私、気になります」
「と、盗聴を、寝る前だけでいいから」
「……許しましょう。とても辛い苦渋の決断ですが、取引ですので」
こちらはこちらで不穏な空気が漂っていることを出て行った二人は知らない。
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