第238話 もうひとつの第八章
「ねえヴォルるん大丈夫なの?本当にこれで大丈夫なの?」
「ディーナさん落ち着いて下さい、相手は女神なんですからそれくらいのことはできるでしょう」
「でも俺が言わなきゃたぶん荷物置き去りだった」
『いくよー』
うわわわっ、突然の合図に怖くなった私は目をギュッと閉じた。
直後、体が浮きあがるような感覚がしたと思ったら、今度は急にどこか高いところから落ちていくような変な感じがして物凄く気持ち悪くなった。
「おえっ」
うぷ、もうだめ、吐きそう…
目を開けて魔動車のドアについてる取っ手を掴む、この中で吐いたらヴォルるんに怒られちゃう。
「え…ど、どこなの…ここ…」
ドアを開ける直前にさっきまでいた場所とは全く違う景色が辺りに広がっていることに気づいた。
「転移魔法でちゃんと移動できたみたいですね」
後部座席のアイラちゃんがそう言った。
私たちは水の女神ウェリケ様の魔法で、マグノリアから一瞬でこのどこだかわからない場所へ本当に移動してきたみたい。
でもそんなことより吐きそう。
「ヴォルるん、お、降りていい?私吐き気が…」
運転席を見たら、そこにいるはずの人の姿はなかった。
さっきまでそこに座っていたヴォルるんはほんの一瞬、目を閉じていた間にいなくなってしまっていた。
「ヴォルさんがいません!どうして!?」
アイラちゃんもそのことに気が付いた。
びっくりしすぎて喉まで込み上げていた物が引っ込んだ。
「ティアナちゃん、ヴォルるんはどこ行ったの?」
私は魔動車に宿ってる不思議な存在、ティアナちゃんに呼び掛けた。
でも…ティアナちゃんは何も応えてくれない。
いつもならよく分からない言葉交じりに何か返事してくれるのに。
「アイラちゃん、どどど、どうしよう、ティアナちゃん壊れちゃったのかな?」
「わかりません、とにかく魔動車を出ましょう、外にヴォルさんがいるかもしれません」
「そ、そうね、先に降りてるのかも…」
助手席から降りて魔動車の後ろに回りドアを開ける、ティアナちゃんが何も言わなくなっちゃったのでアイラちゃんが外に出るには私が後ろのドアを開けるしかない。
魔動車から出た私たちは改めて辺りを見回す。
目に映るほとんどの景色はただの草原、でも草原の中に不思議な形の家が一つだけ建っていた。
「ヴォルガー!来てくれ!」
「マーくんの声だわ!」
魔動車の運転席側から少し離れた場所に漆黒号が置いてあった。
マーくんはそこから離れて、ちょうど魔動車と漆黒号の間の場所にしゃがんでいる。
それと…マーくんの足元には誰かがうつ伏せに倒れていた。
「だっ…誰なのこの…女の人…かな」
「わからん、ここに倒れ…こいつ血を吐いてるのか?」
「えっえっ、あ、本当だわ!」
腰まである青空みたいな綺麗な髪をして、白いドレスを着て倒れているその人の頭付近には血に濡れた草が生えていた。
マーくんが何も言わずにその人の体をごろんと仰向けにひっくり返す。
やっぱり女の人だけど…うう…顔が血まみれ…怖いっ!
「死んでるんですか?」
アイラちゃんが冷静に残酷なことを聞いていた。
「いや、まだ息がある…死ぬ前にヴォルガーに治させて…おい、そういえばあいつはどうした?」
「それが…魔動車の中にいないんですよ」
「馬鹿な、我が見ていた限り魔動車からはお前たち二人しか出て来てないぞ、どこへ消えた?」
「私たちにもわかりません」
ヴォルるんやっぱりいないいいいいいいい!
「…まさかあいつだけさっきの場所に残ったまま…なのか」
「その可能性が高そうですね…」
「ヴォルるんがいないんじゃその人どうしたらいいのっ!?」
「「………」」
「何か言ってよ!!」
突然消えたヴォルるん、そして血を吐いて倒れてる女の人。
何がなんだかわからない状況にあたふたする私だったけど、とりあえずこの女の人が近くにある家の主かもしれないからそこへ運ぼうってことになって、先にマーくんが家を調べに行った。
マーくんが家を見に行ってる間に、私は魔動車に置いてある水の入った容器から桶に水を汲んで女の人の顔を水で濡らした布で拭いてあげた。
血まみれは可哀想だし…後、鼻に渇いた血が詰まって苦しそうに見えたから。
すると少しは意味があったのか、苦しそうな表情が和らいだように見えた。
あとこの人がものすごく美人だとわかった。
「ねえアイラちゃん…この人がもしかしてウェリケ様なのかな…」
「そうかもしれませんね、血を吐いて倒れてる意味がわかりませんが」
「体の弱い女神様だとか…?」
「人じゃないんですからそんなこと…ないでしょう…たぶん」
アイラちゃんと二人でウェリケ様、かもしれない女性を見守っているとマーくんが戻って来た。
呼び掛けても誰も返事しないから勝手に家の中に入って調べたみたい…
マーくんは相変わらず怖いもの知らずね、誰かいたら怒られちゃうわよ。
まあ結局家の中にも誰もいなかったからマーくんはそのまま戻って来たんだけど。
野ざらしにしておくわけにもいかないので、私たちは家の中へ倒れた女の人を運び込んだ。
ちなみにマーくんがお姫様抱っこで運んでいたわ。
家の中にソファーがあったのでそこへひとまず寝かせて女の人の様子を見ることにした。
ああ…こんなドキドキしながら人を見るのは久しぶりだわ。
今までずっと、ヴォルるんがいればどんな怪我や病気もへっちゃらだと思ってたから…
「それにしても変わった家ね」
「確かにな、我も今までこんな家は見たことない」
なんていうか、一言で言ってすごく綺麗な家なの、外も中も。
床は木の板だけどつるつるだし、壁も真っ白で石なんだか土なんだかよくわからない。
それに今いる部屋の外側に接してる壁なんか一面ガラス張りなの、そこからはベンチと、何か野菜でも植える予定だったのかしら…レンガに囲まれ土が盛ってある場所が見える。
「ねえアイラちゃん…この人が目を覚まさなかったらどうしよう…アイラちゃん、ねえってば、アイラちゃん!」
アイラちゃんはなぜかぼーっとして、自分の足元を見つめていた。
「床になにかあるの?」
「え?ああ、いえ…そういうわけではありませんが…ただ…ここって、靴を脱がなきゃだめなような気がして…」
「靴を?…うーん確かに全然汚れてなかったのに私たちがあがりこんで泥がついちゃったわね」
前にオーキッドへ行く前に立ち寄った村でも靴を脱ぐ家があったからここもそうなのかもしれないわ…脱いだ方が良さそう。
なので私は靴を脱いで玄関に置いてきた、一段家の床より低くなってるからたぶんそこで本当は脱ぐんだと思う。
アイラちゃんも靴を脱いでそこへ置いた、マーくんは靴を脱ぐのを嫌がってたけど私が「マーくんの足跡拭いておかないと女の人が起きた時怒られるかなぁ…」と言ったら諦めて脱いでくれた。
それから既についてしまった足跡を拭くことにした。
マーくんがあちこち靴のまま歩き回って調べたので掃除が大変だわ。
拭き掃除をしながらマーくんがこの家について調べた結果を私たちに話してくれた。
この家は二階建てで、一階は今いる部屋の他に台所とよくわからない何も無い部屋、それと狭い場所に白い椅子だけ置いてある部屋があるみたい。
二階は寝室と、また何も無い部屋、それから扉が開かないから調べられない部屋があったんだって。
「寝室あるんだ…この人ベッドに運んだほうがいいかな?」
「ここのソファーでいいでしょう、それより私たちも家の中を調べましょう」
「えっ、勝手に調べちゃうの?」
「どうせもうマグナさんが一通り見てるんですし、構わないでしょう」
いいのかな…と思ったけどアイラちゃんが歩き出してしまった。
マーくんに女の人を見てるように頼んで、私もアイラちゃんについて行こうかと思ったら…
「我は外を見て来る、漆黒号で周囲を調べればここがどこかわかるかもしれん」
と言って外へ行ってしまった。
ええもう、私はどうしたらいいのよ!
「…ま、まあ見ててもどうしようもないし…平気よね?」
私はソファーへ横たわる女の人にごめんなさいっと謝りつつ部屋を出た。
アイラちゃんはどこ行っちゃったんだろう、こっちかな?
廊下にあるドアの一つを開ける、なんか狭い部屋があった。
白い陶器の椅子とさらに陶器の大きな容器?が椅子の後ろに置いてある…え、なにここ?
よく分からないけどとりあえず椅子に腰かけてみる。
でもここに座ると、入って来たドアが見えるだけなんだけど?
なんのための部屋なのかしら?
立ち上がって椅子をもう一度よく見ると、この椅子は上に蓋のようなものが乗せてあることに気が付いた。
その蓋を持ち上げてみる、パカッと開いた、あれ、椅子にくっついてるわこれ、取れない。
蓋が背もたれのように開いたままになり、椅子の中身…中身っていうのもなにかおかしいけど…とにかく中身が見えた。
また持ち上げて開きそうな変な蓋があって、でも今度は中央に穴が開いてて…陶器の椅子の中には少しだけ水が入っているのが見える。
「…これは…そうか、わかったわ!水瓶みたいに水をためておくものね!」
わざわざそれだけのための部屋があるなんてよほど水を大切にしているのね…はっ、もしあの人が水の女神様なら…水を大切にするのは当たり前に決まってるじゃない!
きっとここに少しだけある水は特別な水…透き通ってて…綺麗ね。
顔を近づけて水をよく観察する。
そういえば喉が少し渇いたわ…このわずかにある水…どうせ少ししかないなら…私が飲んでも…
たぶん女神様ならこれくらい許してくれると思うし…水くらいいくらでも出せるでしょうし…
「何やってるんですかディーナさん」
白い陶器の椅子に顔を近づけ、わずかにある水を手ですくいとろうか迷っている時だった。
突然背後からかけられた声に飛び上がる。
「あ、アイラちゃん…脅かさないでよもう」
「…あの、私の気のせいでなければ、今その中に手を入れようとしてませんでしたか?」
「み、見てたの…ええ、その通りよ、この中に水があるからそれを飲もうと思って」
「それだけはやめてください!」
アイラちゃんに腕を引かれ、外へと引っ張り出される。
「ど、どうしたの、どうしてそんなに怒るの?」
「なぜかわかりませんが…とにかくその行為だけはしてはいけない気がするのです」
「え…そ、そう…よくわからないけど、アイラちゃんが言うならやめておくわ…」
謎の白い陶器の椅子がある部屋を出た後は、アイラちゃんと一緒に家の中を回った。
一階にある一部屋は本当に何もなかった、床がそこだけ石だったくらいかな。
台所は食器棚とかテーブルとかいろいろあったんだけど、水瓶は置いてなかった。
「やっぱり水はあの陶器の入れ物の…」
「あそこは違うんです!水はええと…たぶんここです」
調理台みたいな場所が一部、鉄みたいな物で出来ててそこだけくぼんでたんだけど、そこについてる鉄の筒からアイラちゃんが何かすると水がざばざば流れ出してきた。
どうやらこれ、ヴォルるんが猫人族の村で作ってたやつと同じ物みたい。
お風呂にあった輪っかをひねるとお湯が出て来る筒と似てるわ。
確か蛇口っていうんだっけ…この捻るやつ。
「でもこの水どこから来てるの?ためておく場所がないわ?」
「それは私もわかりません…でも喉が渇いたならこの水を飲んでください、決してさっきの場所の水は飲まないで下さい」
「こっちのほうが楽だしそうするわ」
コップも傍に置いてあるからわざわざ向こうに行って水を汲んで来る必要もないわね。
水を飲んで一息ついた後、二階を調べることにした。
二階は大きなベッドがある寝室とまた何も無い部屋、それからドアの開かない部屋があった。
マーくんの言った通りだったわね。
女の人をほったらかしにしてこれ以上調べ回るのも嫌だったので、私たちはまた一階に降りて最初の部屋に戻った、女の人はまだ寝てるみたい…死んでるわけじゃないわよね…
「寝室のベッドは大きくて高級そうだったわね~」
「…ええ、でも絶対にディーナさんはあそこで寝ないでください」
「何でそんなこと言うのっ!?」
「…何かわかりませんけどあそこでディーナさんが寝てるのを想像したらとてつもなく許せない気分になってくるんです」
「私なにもしてないのに!?想像しただけで!?」
ひどい…アイラちゃん、たまにきついときあるけど、こんなに意味もなくきついのはそうそうあることじゃないわ。
それに、靴を脱いだときからそうだったけど…この家に来てからアイラちゃん変だわ。
「ねえ、アイラちゃんこの家に来たことあるの?」
さっきまで二人で色々見て回ったけど、アイラちゃんの態度はまるでこの家を知ってるみたいだった。
「…わかりません」
アイラちゃんは真剣な顔をしてそれだけ言うと、俯いてしまった。
私はそれ以上なんとなく聞きづらくなってしまって、ずっとソファーで眠る女の人を眺めていた。
どれくらいそうしていたかわからないけど、漆黒号の走る音がして、音が止むとマーくんが家の中に入って来た。
マーくんは外を一通り見てきたけどヴォルるんはいなかったと教えてくれた。
それどころか、ここから出られないと、よく分からないことを言い出した。
「出られないってどういうこと?」
「どこへ行っても途中で白い霧のようなものと見えない壁があって、それ以上先に進めない」
この家を中心に東西南北どっちへ行っても見えない壁にぶつかるんだって。
その先は霧があるからどうなってるかも見えないって。
なんなのよここは…
結局私たちは眠ったままの女の人が目覚めるのを待つことにした。
体が弱ってるかもしれないから無理やり起こす訳にはいかなくて…
魔動車から食料を取ってきて家の中で食べたりしながら、私たちは待った。
でもマーくんがじっとしていられなくなって、二階の開かない部屋の中を調べようって言いだしちゃったの。
「でもあそこは鍵がかかってて開かないわ?」
「そんなもの魔法で壊せばいい」
「えええええ!壊したら絶対まずいわ!あの人が女神様だったら怒られるだけじゃ済まないかもしれないわよ!」
「我らを呼んだだけで血を吐いて倒れてる女神などどうせ雑魚だろ、怒ったところで脅威でもない、そもそもあいつが水の女神かどうかも怪しい」
「マーくん!!」
私が止めるのも聞かずにマーくんは二階へ駆けあがる。
後を追おうかと思ったけど、どうせ私じゃマーくんが本気になったら止められないのでやめた。
外のベンチをずっと見てるアイラちゃんの傍に寝転び、もう知らないと思ってぐでーっとだらける。
マーくん、後で女神様に怒られてもかばってあげないんだからね。
私はそんなことを考えていたけど、予想に反してマーくんは何もせず、すぐ二階から戻って来た。
「魔法が使えなくなってる…」
マーくんは両手を前に突き出して何度も魔法の名前を唱えていた。
「ちょ、怖いからここでそんなことしないでよ!?」
「見ろ!何を唱えても魔法がでん!我は…我はどうなってしまったんだああああああ」
マーくんが叫びながら外に走り去っていった。
「魔法が使えない…?」
「あ、アイラちゃんも試すなら…その…ここではやめてね?」
アイラちゃんも外に行った、でもすぐ戻って来た。
やっぱり魔法使えなかったみたい。
私は元々使えないので特に関係ない、だから床でごろごろしていた。
ごろごろしてる内に外が暗くなってきた。
ああ…とうとう夜になっちゃう…ヴォルるん…やっぱりヴォルるんだけマグノリアにいるの?
ウェリケ様…どうしてヴォルるんだけ呼んでくれないの?
あと少し前からずっと我慢していたけど…おしっこしたいわ…
でもこの家にはトイレが無い。
外でしてくるしかないわね…マーくんも走り疲れて家の中で死んだように床に寝転がり、天井を見つめたまま動かなくなっちゃったし、アイラちゃんも何考えてるのかよくわかんないけど台所の椅子に座ってぼーっとしてるし…外で…するなら今しかないわ。
立ち上がると思ってた以上に我慢しすぎたのか、はずみで漏れそうになった。
くっ…いくらでも水が出て来るからって食事のときに水を飲み過ぎたのがいけなかった…!
股間を抑えつつそろりそろりと歩く。
あ、だめだ、玄関まで持たないかも、そうだこのガラス張りのところから外に出よう。
色々調べてたらここは大きい窓だって分かったんだった。
横に動かせば引き戸みたいに開けることができる。
「もう…マーくん寝るなら向こうの何もない部屋で寝てよ…!」
ソファー近くの床で微動だにしないマーくんに恨みごとをぶつける、でも反応なし。
このガラスの窓から出たところでやったら部屋の中から丸見えになる。
うう、マーくんさえいなければ…あんまり動かなくてすむのに。
はぁはぁと息を荒げつつ窓ガラスに手をかける。
はっ…しまった、アイラちゃんにぬるみず君を借りるのを忘れていた!
「…さっきから股間を抑えてうろうろしてるけど…トイレに行きたいの?」
「はひっ!?」
…やばっ、びっくりしてちょっと漏らしたかもしれない…
そ、それより今の声は誰…?まさか…
ソファーに目を向けると、青い髪の女の人が起き上がってこちらを見ていた。
目が覚めたんだわ!良かった!
ってううん、それよりこの人今トイレって言った!?
「と、トイレあるの?」
「そこを出てすぐのドアよ」
この部屋を出てすぐ…?それはあの白い陶器の椅子の部屋だわ…?
「そこは水がちょっと入った変な陶器の椅子があるだけだったわ…まさかっ、あれの中にしろってことなの!?壺にするみたいにしろってこと!?」
「そうよ」
あ、あれがトイレだったなんて…水飲まなくて良かった…
我慢の限界だった私はトイレに駆け込み、そこで用を足した。
「はあ…助かった…ん、でもこれ、この陶器の入れ物、この場所から動かせないわ!ど、どうやって中身を捨てればいいの!?」
「それはそこのレバーを引けば水が流れるわ」
「ひゃあああああ!?」
ドアを開けてさっきの青い髪の女性が突然現れた。
「レバー!?ってなに!?」
「ああやっぱり使い方がわからないわよね…見に来て良かったわ、この取っ手のこと」
そう言って椅子の後ろにあった大きな白い陶器の入れ物の側面についた取っ手を動かす女の人。
その途端、じゃーーっと私の股の下で水が流れた。
「水がどこかに流れていくわ!?私のおしっこと共に!」
「いちいち言わないでいいから…あと、教える順番間違えたけど、水を流す前に今度からここを押して」
今度は陶器の椅子についてたよく分からない丸い模様を押された。
「びゃああああ!?」
突然股間に水をかけられた、そう、まるでぬるみず君を使ったときみたいに。
「拭くのは布でふいて」
「は、はい…」
そして女の人はドアを閉めて去って行った。
一通り事が済んだ後、トイレを出ると廊下にさっきの女の人が立っていた。
すっきりして落ち着いた所で私はこの人にまず尋ねるべきことを思い出した。
「あの…貴女が水の女神ウェリケ様ですか?」
「そうよ…」
やっぱりこの人が私たちをここへ呼んだ女神様だったんだわ!!
わああああどうしよう、女神様に用を足すところを見られてしまったわああああ!?
「えっ、えっと…あ、や、やっぱり水の女神様のお家だからトイレも水が流れるんですね!」
私は緊張してよく分からないことを女神様に語り掛けていた。
「そこのトイレの仕組み考えたの私じゃないから…私と関係あるみたいな言い方しないでくれる?」
どうやらトイレとウェリケ様は…特に関係ないみたいね…
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