第239話 過去の家

 ウェリケ様にトイレの使い方を教わった後、私は台所に行き、そこのテーブルについて隣の席に座るアイラちゃんと一緒にテーブルを挟んで反対側の席に座るウェリケ様を見つめていた。

ウェリケ様の隣にはマーくんが座っている、でも元気がない。

まだ魔法が使えなくなったことを気にしてるんだわ。


「あなたたちをここへ呼んだのは私よ…それは間違いないわ」


 ウェリケ様の口から改めて説明がされる。

この言葉はさっきトイレから出た後にも言われたわ。

そして私がもっとあれこれ聞こうとしたら、他の人も呼んでと言われたのでこうして台所のテーブルで話すことになったの。


 ここはどこなのとか、ウェリケ様はなんで倒れていたのとか、ティアナちゃんは壊れちゃったの?とか、マーくんも壊れちゃったの?とか気になることはいっぱいあるけど私が一番最初に聞きたいことはもうとっくに決まってる。


「ヴォルるんはどこへ行ったんですか!!」


 なによりもまずこれよ!


「…それはあのヴォルガーって男のことよね…?」

「は、はい、そうです」

「彼はたぶん…まだマグノリアにいるわ…」

「じゃあ呼んでください!ヴォルるんもここへ魔法で連れて来て下さいお願いします!」


 必死になって私は頭を何度も下げてウェリケ様に頼んだ…だけど…


「…それが出来なかったから私は外で倒れてたのよ…」


 ウェリケ様は少し困った顔をして私から目を逸らした。

えっ、ど、どういうことなの?


「何かヴォルさんだけ呼べない理由があるみたいですね、ディーナさん、ここはまずウェリケ様から一通り話を聞きましょう」


 アイラちゃんがそう言うので私は黙ってウェリケ様の話を聞くことにした。


「…まず、私はあなたたち全員をここへ連れてくるために転移魔法を使ったわ…でもそこで予想外のことが起きたの…ヴォルガーだけ魔法がうまく効かなかったのよ」

「ヴォルさんが何かしてたから…ですか?」

「いいえ、たぶんそういう事では無いと思うわ…彼は魔力による干渉を無意識に自分の魔力で防御してる…いわゆる抗魔力が物凄く高いんじゃないかしら…」


 アイラちゃんは真剣な顔で聞いているけど、どうしよう…私はもうすでにウェリケ様が何を言ってるのかよくわからないわ。


「ウェリケ様の魔法をヴォルさんが防いだということですか?」

「まあ…そういう事ね…」


 なるほど…アイラちゃんのおかげでなんとか私にも意味がわかったわ。

でも、防いだと言ってもヴォルるんは運転席に座ってただけで特に何もしてなかった気がするんだけど…


「ヴォルガーは転移魔法と聞いたときは結構嫌がってたな」


 あ、マーくんが直って動いた。

魔法の話になったから興味が湧いたのかしら?


「あいつこっそり防御魔法を使っていたのか?」

「そんなはずはありません、ヴォルさんは運転席でじっとしてただけですよ、すぐ後ろで見ていましたけど魔法をつかったような素振りはありませんでした」

「…無意識って言ったでしょ、そもそも転移魔法って防ごうと思って防げるようなものじゃないのよ…」

「じゃあヴォルガーはどうやって魔法を防いだんだ?」

「…とりあえず転移魔法についてなるべく分かりやすく説明するわ…ええと、貴女、コップに水を汲んできてくれる?」


 ちょっと話についていけなくなりつつあってぼけっとしていらウェリケ様に指をさされてそう命じられた。

えっ、なに、喉が渇いたから水汲んで来いってこと…?

すぐそこから水が簡単に出てくるから別にいいんだけど…


 私は席を立ち、蛇口をひねって木のコップに水を注いでテーブルに置いた。

ウェリケ様だけじゃなくて皆の分も用意したほうがよかったかしら…


「…今、この水をここに持ってくるのにそんなに力はいらなかったわよね?」

「えっ?は、はい、コップ一杯なので…」

「私が転移魔法を地上の人間に対して使うと、本来その程度の労力なのよ、コップ一杯の水をどれだけの距離持ち運べるかでまた変わってくるのだけど」


 …んんん?ウェリケ様が何を言いたいのかわからないわ?

でもマーくんは「ほう、なるほど」とか言ってるから…ま、まだ口を挟まないほうが良さそうね。


「…じゃあ貴女、次は…そうね、外にあるあなたが乗っていた魔動車をここへ運んで来てくれる?」

「はい…えっ、あの、えっ?魔動車をここへ、ですか?」

「そう、ああちなみに運転して運ぶのではなくて、手で持ち上げて運んで」

「…む…無理です…」


 私がどれだけ力を入れたって持ち上がるわけないわよ!

大体家の中になんて入らないし、本当にもうウェリケ様が何を言ってるかわからないわ!?

無理ですとしか言いようがないじゃない! 


「…まあ、そうよね、それが答えよ」


 何の!?


「ヴォルガーを魔法で運ぶということは、魔動車を素手で持ち上げられるくらいの力が必要だということか」


 そういう意味だったのねっ!


「…もう少し言うと転移魔法を使った時点で、私の手に魔動車が乗せられる感じかしらね」

「ええええ、そんなことしてウェリケ様は平気なんですか!」

「…平気なわけないじゃない…」

「血を吐いて倒れてたのはそういう理由ですか」

「…そうよ…死ぬかと思ったわ…神なのに…」


 ヴォルるんて…そこまで重くなかったと思うんだけど…そういうことじゃないのよね?


「何にしろヴォルガーを魔法でここへ呼ぶのは無理ということか」


 ああっ、そういうことになっちゃうわよね!?

…でもそんなに無理なら、やる前にわからなかったのかしら、女神様なのに…


「転移魔法を使う前にそれくらいわからなかったのか?仮にも女神なんだろ」

「…言いたいことはわかるけど失礼な子ね…」


 マーくんも私と同じことを考えたみたい。

それを迷わず口にするのはマーくんにしかできないことだけど。


「…何か、おかしいのよあのヴォルガーって男、確かに物凄い魔力を持っているとは聞いてたわ、でも実際にあなたたちに渡した目印を通して観察してるとそんな風には全然見えなくて…むしろ本当に魔法が使えるのかどうか怪しいくらいの魔力量に思えたのよ」

「それは我も以前から思っていた、強い者ほど実力を隠すのに長けているとは言うが…あいつは魔法の発動が早すぎる、魔力もほとんど感知できんからいつ使ったのかもわからん」

「そうですね、詠唱してるところも見たことありませんし、それに集中しなくても魔法が使えるみたいです」

「ああ、猫人族の村にいるときなど、タマコを肩車して飯の支度しながら、リクとカイが喧嘩してできた擦り傷をろくに見もせずに片足で<ヒール>かけて治してたからな、足だぞ足、手じゃなくて」

「…私、その状態で回復魔法を使うのは難しいと思うわ…」


 ウェリケ様がマーくんの話を聞いて眉をひそめていた。

私は魔法のことはよくわからないので、慣れたら皆いずれはヴォルるんみたいになるのかと思っていたのだけど…女神様でもヴォルるんみたいに気軽に魔法を使うのは無理ってことよね…これ…


「しかしヴォルさんがここへ呼べないのであれば、私たちをまた転移魔法で元の場所に返してもらわないとヴォルさんとは合流できませんね」

「あ、それならヴォルるんと会えるわね!やったあ!」

「全員で帰ったらここへ来た意味がないだろうが」

「じゃ、じゃあ私だけ先に戻って…」

「魔物がいたら即死だぞ」

「…じゃあマーくんも一緒に…」

「ここへアイラだけ置いて行く気か?」


 ………くっ、マーくんの意地悪!


「…残念だけど、元の場所に戻っても彼はもういないわ…どこかへ移動したみたい」

「あれからかなり時間がたってるからな、それもありえるか、ならばどこへ行った?」

「…わからないわ、少なくともあの川沿いにはいないみたい、私って水のある場所でないと遠隔視できないのよ」

「チッ…使えん女神だ…」

「…ねえこの子なに?なんなの?なんでこんなに私に冷たいの?」

「ご、ごめんなさいウェリケ様、マーくんってあの、誰に対しても大体そういう感じなんです本当にごめんなさい許してください」


 マーくんの代わりにひたすら謝った後、ヴォルるん以外のことについて話を聞いた。

それで分かったんだけどティアナちゃんが急に喋らなくなったり、マーくんやアイラちゃんが魔法を使えなくなったのはこの場所のせいみたい。

ウェリケ様が特別な魔法をかけて、この場所ではウェリケ様以外魔法を使えなくしてるんだって。

ティアナちゃんが壊れたりしたわけじゃないってわかってほっとしたけど…マーくんは魔法を封じられてかなり不満みたいだった。


 ウェリケ様がそんなことをしたのはちゃんと意味があって…この場所ってどうやら他の神様たちには秘密の場所らしいの、見つからないように隠す必要があったんだって。

そして今度はそのことを説明するために場所を変えると言って席を立って歩き始めて、私たちは二階へ着いてくるように言われたわ。


「…以前はもう少し広い家だったんだけど…二階の一部屋と…一階はお風呂が無くなったわ」


 階段を上ってる最中に女神様が小さい声でそう言った。

すぐ後ろを歩いていた私にしか聞こえないくらいの声。


 何で無くなっちゃったんだろう…特にお風呂…あったほうが絶対気持ちいいのに。

そう聞きたかったのだけど、ウェリケ様はなんだか嫌なことを思い出すみたいな、あんまり続きを言いたくないような、そんな風に見えたので私は何も聞かなかった。


「…着いたわ、この部屋に用があるの」


 そこはドアの開かない部屋の前だった。


「…アイラ、だったわね…ここは貴女のためにある部屋よ」

「私に?一体どういうことですか?」

「…説明はできない…というよりも、貴女が入ってくれればその手間は省けるわ」


 ウェリケ様が扉を開ける、廊下から見ると中には大きな岩…かな…?

白い岩がそこには置いてあった。


「…これは…!!」

「えっ、アイラちゃん、この岩知ってるの?」

「………………いや知りません、何かびっくりしただけです」


 何よもう!


「…とにかく入って岩に触れて…そうすればわかるらしいから…」


 ウェリケ様がアイラちゃんの背を押して部屋の中へ押し込んだ。

そしてすぐ扉を閉める、あれ、私たちは?


「私たちは入っちゃ駄目なんですか?」

「…うーん、分からないけど、とりあえず『アイラ』が来たら案内してって言われてただけだから…」

「言われてた?誰にだ?」

「…正直なところ、これ以上は貴方たち二人に話していいのかどうかわからないのだけど…なんだか面倒だから言うわ…黙ってるとまた使えない女神とか言われそうだし…」


 下でマーくんに言われたことに傷ついていたのね…

可哀想だけど、このままアイラちゃんが部屋から出て来るまでほっとかれても、なんだかもやもやして嫌だから話をしてくれたほうが助かるわ。


 ウェリケ様は下に戻って話をするかと聞いて来たけど、私はここに残ると言った。

アイラちゃんが…部屋から出て来るのを近くで待っていたかったから…

マーくんもここでいいみたいだから私たちは廊下で立ったまま話を続けることにした。


「…ここはね、元々は光の女神アイシャと…ヴォルガーが一緒に住んでた家なの」

「………へっ?」


 …あっ、一瞬意味がわからなすぎてウェリケ様に変な声で返事しちゃったわ。

えーと、待って待って、ヴォルるんと誰が一緒に住んでた家?


「光の女神とヴォルガー、だと?」


 マーくんが確認するように口にするとウェリケ様は頷いた。

聞き間違いじゃなかったああああああ。


「オフィーリアのところでそう言えばそんなことを口にしていたな、あれは本当にその通りだったのか」

「じゃ、じゃあヴォルるんとアイシャ様が恋人同士で、ええと、アイラちゃんはアイシャ様の生まれ変わりっていうのも本当に…?」

「…本当よ、なんだ、結構知ってるのね」


 今までなるべく考えないようにしていたけど…こうして実際住んでた家を見せられると信じる他ないわ…


「あれ、でも変だわ、アイシャ様は今もどこかにいるはずよ、アイラちゃんになったわけじゃないわ?」


 これは絶対そう、だって私がコムラードに来てアイラちゃんに会った後もアイシャ様から神託があったって聞いてるもの。

ヴォルるんがラルフォイさんからそう言われたって…私はそのおかげでビクビクしながら生きなくて済むようになったのよ。


「…今の光の女神アイシャはヴォルガーのこともアイラのことも知らないわ、今のアイシャの話をするとややこしくなるからそのことは今は関係無いと思って…」

「ならばアイラは結局なんなのだ?」

「…私も完全に事態を理解してるわけじゃないんだけど…」


 それからウェリケ様はアイラちゃんのことを話してくれたんだけど…ハッキリ言ってややこしすぎて訳がわからないわ!

だから話が終わった後、もう一度なるべく分かりやすい様に説明をお願いしたんだけど…

結局はマーくんがなんとか私にもわかるように代わりに説明してくれたわ。


 ええと…まず、アイシャ様はヴォルるんとここでこっそり暮らしてたことが神様たちの中ではやっちゃいけないことだったみたいで…創造神様っていう一番偉い神様から罰を受けることになったようなの。


 その罰がてんせいけい?とか言う物で…ヴォルるんと出会ってから別れるまでの記憶を全部失くして新たな光の女神として生まれ変わる罰なんだって…アイシャ様が私のことを忘れたのもその罰が原因だったのよ…

王都の神殿で突然、私のことなんか知らないって言いだしたのがきっと生まれ変わった頃ね。

あの時は生きた心地がしなかったわ。


 まあ、今は私のことじゃなくてアイラちゃんのことよね…

アイシャ様はどうしてもヴォルるんのことを忘れるのが嫌だったみたいで、創造神様にも内緒で『誰にも見つからない場所』にヴォルるんとの記憶を隠したみたいなの。

記憶だけ隠すって一体どうやるのかしら?そこら辺はまったくわからないわ!


 で、アイラちゃんが入った部屋こそがアイシャ様が記憶を隠した場所らしいのよ。

岩しかなかったんだけど?あれを見たら何か思い出すってことだったのかしら?


 それとアイラちゃんの体はウェリケ様にもよくわからないみたい。

なんで黒い髪の子供になってるのかは、本人が部屋から出てきた後に聞いてと言われたわ。


「話を聞く限り、光の女神はかなりまずいことをしてるのではないか?」

「…ええ、このことが創造神様に伝われば私も罰を受けることになりそうね…」


 そうなんだ…神様の世界も厳しいのね…


「ウェリケ様はどうしてアイシャ様の頼みを聞いてあげたんですか?」

「…んー…まあ、気持ちが…わからなくはないから…」

「ウェリケ様ってとっても優しい女神様だったんですね!私、地上に戻ったらウェリケ教に入ります!」

「いいわよ別にそんなことしなくても…だって貴女、水魔法使えないし…」

「ディーナに加護を与えたりはできないのか?水魔法が使えたらこいつも旅をするとき多少は役に立つんだが」


 はっ、そうよ、マーくんの言う通りだわ!

私が水魔法を使えるようになればヴォルるんの役に立てる!

ヴォルるんて水魔法いいなぁーとか言ってたことあるもの!

ぬるみず君を作ったのも水魔法が羨ましかったからだったはずよ!


「…できなくはないけど…与えたらたぶん…死ぬわ」

「死ぬ!?」

「…その、残念だけど貴女ってあんまり魔力がないのよ…弱い魔法でも二、三回使ったら気絶するんじゃないかしら、魔力がない人が無理して使うと死ぬのよ、魔法って」 

「所詮は雑魚だったか…」


 なんてことなの…私ってそんなに魔法に向いてなかったのね…

でも待って?魔力って鍛えて増やしたりできないのかしら!


「ウェリケ様、私の魔力を増やす方法はないんですか!」

「…貴女が子供なら、まだ望みはあったんだけど…」


 …なにかよくわからないけど魔力って魔法を使わないと増えないんだって…

あと子供の体の方が鍛えやすいらしいわ…魔法使って気絶しても体が元気だから命は助かるからって…

だから大人になると気絶するほど魔法使って魔力を鍛えるのは危ないらしいわ…

辛い現実を知った…でもまだ諦めない!


「な、何かないんですか!大人でも魔法を使わずに魔力を鍛える方法が!」

「…かなり辛いけど方法が無い事もないわ…」

「それは一体なんですか!?」

「…魔力ポーションあるでしょ…?あれを毎日飲み続けることよ…」


 …魔力ポーション、私は飲んだことないけどヴォルるんは不味いって言ってたわね。


「マーくん、魔力ポーションて不味いの?」

「死ぬほど不味いな」

「やっぱりそうなのね…でも不味いだけなら、頑張ればなんとか…」

「…できれば毎食後にそうね…三本、一日で九本くらい飲めば成長するかもしれないわね…」

「結構飲まないといけないんですね」

「我なら絶対にやらん」


 マーくんが絶対にやらないですって…これは相当覚悟がいる不味さなんだわ…


「わかってるのか?味のこともあるがなにより金がいる、魔力ポーションは安くても一本100コルはするんだぞ?」

「100コル…って銀貨10枚よね…それを一日で飲むとええと…900コル!」

「毎日金貨一枚くらい使うんだぞ」


 それを聞いて無理だと悟った。

毎日そんなものを買って飲み続けるお金は私にはないわ…

魔法は諦めよう…


「こいつの魔法のことはあまり期待してなかったので別にいい、それより光の女神に協力したのはなんなんだ?単なる優しさなのか?」

「…貴方って失礼だけど、物事をよく見てるわね…まあいいわ、気持ちが分かるって言ったのは、私も恋をしたことがあるからよ…」


 神様って言ってもやっぱり女なのね…わかるわぁ。


「女神たちはなんなんだ?異世界から恋人を呼ぶのが流行ってるのか?」

「…別に流行っては無いわ…あと私はこの世界の地上に住む人族の男に恋をしただけだから…異世界だとかは関係ないわ…」


 そう言うウェリケ様は少し恥ずかしそうだった。


「それっていつの事なんですか!」


 でも聞く、気になっちゃうから。


「…大体500年前くらいかしら?銀天族っていう…まあ人族の一種に物凄く恰好いい男がいて…思わず加護を与えちゃったのがきっかけだったのよねぇ…」


 それからウェリケ様の恋の話を聞こうと思ったんだけど…


 私たちの傍にある部屋のドアがガチャリと開いた。

岩のある部屋のドアよ、中からアイラちゃんが出てきて…少し目が赤いわ、泣いてたのかしら…


「アイラちゃんどうしたの?大丈夫?」

「平気です…それより、全て思い出しました、私とヴォルさんのこと…」

「えっ、本当に!?」


 ウェリケ様の言う通りここにアイシャ様の記憶があったんだわ!


「私…私は…」


 アイラちゃんがウェリケ様とマーくんの顔を見た後、私の目を見つめて言った。


「私はヴォルさんの子供だったんです」

「んんんんえええええええええ!?」


 今日一番の驚きだったわ。

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