第213話 じゃあくな気配
まさかのシンタロウとの再会、しかも女連れ。
一体どうしてそういうことになっているのか、猫人族の村へ移動しつつシンタロウから話を聞いた。
「それでジグルドさんたちとサイプラスまで行って、あ、ぼくも冒険者になったんだよ!ほらみておじさん、これがぼくの冒険者カード!」
興奮気味に冒険者カードを荷物から取り出して見せて来るシンタロウ。
確かに冒険者カードだ、しかも5級だ、既にディーナを超えている。
あと幸か不幸かわからんがクラス名のところは何もない。
しかしなんだか大荷物だなあ、でも徒歩で旅をしたらこうなるのが当たり前か。
すぐ後ろを歩くマサヨシはシンタロウが背負っているリュックの5倍くらいでかいのを背負わされているが、後二名の獣人族の女…兎人族のカズラと犬人族のシレネだったかな、彼女らは逆にシンタロウの半分くらいしか荷物がないのはなぜなのか気になる。
気になるが聞けない、なぜならその二人から突き刺さるような視線を後頭部に感じているからだ。
「それでねおじさん、向こうではね、いろいろ面白いお店とかあってね」
「シンタロウよ、話は一旦おしまいだ、ほら村に着いたぞ、まず長老のところへ行くんだろ?」
「あ、ほんとだ、うわー、昨日まで本当に村に入っていいか悩んでたのにいざとなったら話に夢中で気づかないまま村に着いてたなんて、なんだか恥ずかしいな」
シンタロウたちは一度長老のところへ挨拶に行くことになっている、早くしないと日が暮れるのでお喋りしている場合ではなかった。
シンタロウが去り際に「実はお前の家を借りて住んでる、アイラとかもいる」と話をしたらなぜか喜んでた。
「タマコ、急いで家に戻るぞ、お土産の干し肉をくちゃくちゃしている場合ではない」
「わかってる、あんまり食べたら晩御飯が食べられなくなる」
それが心配だったわけではないがともかく俺は急いでシンタロウ家まで走った。
<ウェイク・スピード>をかけて走る俺とタマコの速度であれば村の端から端まで行くのも、トイレに行って用を足す程度の時間と大体同じになる!
あっという間にシンタロウ家にたどり着いて中に入り、俺はくつろいでる三人に叫んだ。
「やばい、シンタロウ帰ってきた、片付けて!!」
重要なキーワードだけをアイラ、ディーナ、マーくんの三名へ伝える。
タマコは実家に行ったのでもういない、シンタロウに貰った干し肉を弟たちに見つからない所へ隠す仕事があるのだろう、後で俺がバラすが、まあそれはどうでもいいとして。
俺の言葉を聞いた三人は状況を理解して家の中を慌てて片付けはじめた。
今の家の有様をシンタロウに見せるわけにはいかない…
シンタロウ家は俺たちが住み始める前と大きく変わり果てているのだ。
家主がしばらくいないんなら少々住みやすくリフォームしてもかまわんやろ、と軽い気持ちでやり始めたのがこんなことになるなんて…
「おいヴォルガー!片付けろと言ってもこいつはどうする!」
マーくんの叫びでマーくんの私室になってしまっている一室へ行く。
そこは始めは恐らくシンタロウの父親が扱う商品などを保管しておく物置だったのだろう。
雑貨があったのをゴミと勘違いしたマーくんが大半処分してしまった。
そして空いたスペースに、アイラが最初に使っていたベッドを持ってきてそれを修理して置いてある。
ベッドは元々、枯草を敷き詰めて上に布をかぶせただけのものだったのに今では俺の監修のもと、しっかりとした木の枠組みを持ち、魔物の毛皮を何重にもした低反発マットが敷かれている、布団も調子にのって鳥の魔物の羽毛で作った羽毛布団があるが、それはあんまり使ってない、そこまで寒くなかったから。
アイラが最初に使っていたベッドがここにある、ということはアイラのところには同じものが既にあるからこっちへうつしたということだ。
そう、俺たちはきっかり四人分ベッドを作り上げている。
シンタロウの父親が商人だったせいかこの家、台所以外にも三部屋あるから人数分ベッド置いても余裕があったんだ。
おかげでマーくんの部屋、俺の部屋、アイラとディーナの部屋にそれぞれなってしまっている。
「ベッドは…そのままでも怒られないと思うからいいよ!あって困るもんじゃないし!それよりその『ダークサーバント』関連のものはなんとかしないと」
「なんだと?それはだめだ!特にこの『トップク』は絶対に捨てんぞ!」
トップク…特攻服のことだ、暴走族の頭が着てるタイプの…
リクカイクウがなんかそれっぽいこと言い出したので俺も悪ふざけでこういう服どう?ってマーくんに提案して試作してしまった。
服の背中にはでかでかと『天上天下唯我独尊』と刺繍がしてある。
マーくん難しい漢字とか大好きだから…読み方を教え、意味は「この世界で俺が最強」とかだよって適当なこと教えたら大層お気に召していつでもその字が眺められるよう壁に飾られることになった。
さらに他にも無数の木刀、これまでの狩りの成果を示す魔物の牙とか爪で作ったマーくんお手製の用途不明のアクセサリーとかが飾ってある。
ちなみにリクカイクウも木刀とアクセサリーを持っている、ダークサーバント公式グッズなのだ。
「捨てなくていいからとりあえず魔動車の中にでも」
そう指示してその部屋を後にする、次はアイラとディーナの部屋をなんとかしないと。
二人の部屋はマーくんの部屋よりも酷い。
まずナナコ、ミミコと共にお絵かきで作成された絵がいたるところに貼ってある。
まあこれは空間を圧迫はしていないのでそんなに問題ではない、ただミミコの描いた魔動車の絵が異常な量があって不気味さを醸し出している、ミミコはなぜか魔動車が好きらしい…最初も屋根の上にのぼってたからな…
それらの絵はタマコの家のほうで保管してもらうことにする、最初からそうすべきだったかもしれない。
「ディーナはとりあえずその人形たちを…」
「だめよっ!?これはナナちゃんが作ってくれた大事な家族なのよ!?」
そういってぬいぐるみ…地球で有名なあの熊のぬいぐるみと酷似しているやつだ。
それらを抱きかかえて守るようにディーナはうずくまった。
いや大事なのはわかる、全部ナナコが作ったからな。
ナナコは実によくできた子だ、夕飯のときも片付けを率先して手伝ってくれる。
こちらの家の洗い物もやってくれるほどなんだ。
あの子になぜ他の兄妹と同じ血が流れているのか正直理解できない、他の子供は食う事が第一なのに。
そんなナナコには俺もついつい甘やかしてしまう。
マーくんのトップクを俺が縫っていたのをじっと眺めていたことがあったので、興味があるのかと思いぬいぐるみを作ってみせてやったことがある。
真似してトップクなんか作られても困るからな。
それで出来た熊のぬいぐるみが心に響いたのか、それを一生懸命この家に来ては作るようになっていった。
そしてそれらはおままごとで使われている。
ただぬいぐるみの数もひとつふたつならいいんだけど、既に14体ある、作り過ぎだ。
ディーナも名前つけるのが面倒になってフロンシーヌ7世とか8世とか、死んでないのに次のフロンシーヌが現れる状況になってしまった、区別もつかん。
「気持ちはわかるがウチで全部は面倒みれないので、フロンシーヌたちは村の子供たちに分けるという方向で…とりあえず今は魔動車の中へ」
あとナナコにはこれ以上むやみに量産しないように言わないと…なんかあの子向こうの家でも既にぬいぐるみに囲まれてるらしいから…
ディーナはぬいぐるみがなんとかなればあとは絵だけなので問題ない。
なので俺は最後の強敵であるアイラに向き合わなくては。
「アイラ、残念だが…こいつらは捨てよう」
「な、なぜです!?これらは村の女性たちから頂いた大事な品ですよ!」
アイラが言うのは何かよく分からない薬草とか、変なぬるぬるした液体の入った壺とか、タチの悪い物であれば魔物の眼球とかまである。
これらは一体何に使うのか、答えは美容健康グッズでした。
お肌に塗ったり、食べることで美しくなるとかそういう系。
正直効果についてはうさんくさい。
「いやあ…だってもうほら、この液体とか変な匂いしてきてるし…」
「でも…お肌がつるつるになるって聞いたので…」
「大丈夫だよアイラ…アイラはそんなものなくても可愛いよ」
「えっ、ヴォルさん…そ、そうですか、じゃあいらないですね」
ちょろい、いやていうかアイラはそんなこと気にする年齢ではないよね?
十分な若さがあるよね?むしろ気にするとしたらディーナが妥当だけどあいつはあいつで特になんもしなくても美しさをたもっているので…結局いらない、まだいらない。
とりあえずこれもう腐ってない?と思える物体は、家の裏に穴掘って埋めた。
地中のバクテリアが頑張って分解してくれることを祈る。
そもそもなぜこんなにここに物資があるのかは、すまん、俺のせいだ。
俺が村人の治療してるせいで、何か欲しいものがあれば村人に言えばすぐ手に入ってしまうからだ。
だからついついやり過ぎちゃう、仕方ないよね。
そうやってあれこれ片付けていると表から「うわぁなんだこれ!?」やばいもう来ちゃった。
急いで声のした方に行くとシンタロウがある建物の前で立ち止まっていた。
しまった…!風呂作ったんだった…!
風呂入りたいからってシンタロウ家のすぐ横に村人のマンパワー使って小屋を立てさせ、おまけに木でできた浴槽を設置したのだった…!ついでに脱衣所とかもあるよ!
「なんだろうこの鉄の大きな…釜?は…」
「それはお湯を沸かすための釜だ、気にするな」
村に鉄が打てる鍛冶屋がいたのがよくない、そいつがいなければ風呂作ろうと思わなかったから。
「あ、おじさん!ぼくの家に一体なにが!?」
「ははは、まあいいからいいから、荷物置いて来なよ」
シンタロウの他にカズラとシレネもいた、あれ、ここに泊るのかな…?
と、いうことは…?
「ここシンタロウの家じゃないの!?なんで人族がいっぱいいるのよ!」
「シンタロウ君これは一体!?説明してください!」
「ぼ、ぼくにもなにがなんだか…あっアイラちゃん!!」
「どうも、久しぶりですねシンタロウ」
「また別の女!?」
「だ、大丈夫ですよカズラ、子供…子供ですよ所詮、それに人族です」
シンタロウとそう変わらない年だと思うけどな…
収集がつかないので観念して俺はシンタロウたちに事情を説明した。
………………
………
「あーやっぱりおじさんが作った料理のほうが美味しいなあ」
説明で一悶着あったが無事皆で夕食を迎えることができた。
いつものタマコ家と俺たちに加え、シンタロウ、カズラ、シレネにあといつの間にかマサヨシもいるので家の前はパーティー会場のようである。
だってタマコ家が八名、俺たちが四名、シンタロウたちも四名、総勢16名だよ。
「シンタロウも随分料理ができるようになったじゃないか、それに…あの調味料をサイプラスから持ってきたのはもうなんだ、すごいよ?神を超えたよ?」
「そこまでのことじゃないと思うけど…でもおじさんはやっぱり醤油と味噌のこと知ってたんだね!さすがだよ!」
シンタロウが持っていた荷物の中にあったのは醤油と味噌…見た時感動のあまりシンタロウを抱きしめてしまった。
カズラとシレネが「ぎゃーなにしてんのこのおっさん!!」と俺の顔面や尻を殴打してきたがそんなことでは怯まないほど感動していた。
やはりサイプラスには和食の素材があるとわかったのだ、これを感動と言わずなんという?
そして俺はシンタロウの持ち帰った調味料を使い、豚汁、鶏の照り焼き、なすの田楽など和食らしい和食を久しぶりに作った。
だしやみりんもあればな…と新たな欲求も生まれてしまった。
それらもサイプラスで探すつもりだ。
そして料理を食べる前に、シンタロウは仲間のことを皆に詳しく話した。
特にカズラ、兎人族だから俺もびっくりしたけど、俺が出会った兎人族と違い特に危険な思考は持ち合わせていないようで、そうなるとただ単にエロイ人に見えてきた、正しいバニーガールだ。
話を聞いた後タケオさんやカヨさんはシンタロウの帰還を暖かく迎えてくれた。
リクカイクウはなんかシンタロウが美人二人連れてきたことに口を開けて固まっていた、こいつらはマサヨシと同じ匂いがする。
ナナコミミコの二人はそう目立った変化はない、いつもより戻るのが遅かったねくらいにしか思っておらずシンタロウの父親がいないことは特に気にしていない…元々シンタロウの父親はこんな風によその家と共に食事をすることがなかったようだ。
タマコ?ああ、あいつはだめだ、食事がはじまってからはマサヨシと肉の奪い合いをしている。
まあ一足先にシンタロウと再会したから急いで語ることも無いのだろうけど。
「くっ、こいつがシンタロウの料理の師匠ってわけね…」
「まさかエルフ族の料理に精通しているなんて…驚かされました」
ふとシレネが気になることを言っていた、エルフ族の料理だって?
「サイプラスはこういう料理が多いのか?」
「え、ま、まあ一部のエルフ族が多い街などではこういう料理が専門の店もあります、貴方はそこで修行したのではないのですか?」
「違う、けどまあ似たようなところで修行した」
日本の和食料理店でな。
つーかこの世界だとエルフ族が和食担当なわけ?
すっげえ違和感、うーん…なんで人族じゃなくてエルフ族が…
過去の日本人は一体なにをやってくれたんだろうか。
それとは別に関係ないが、このシレネという女は隣の犬人族村出身ではないようだ。
サイプラスの生まれらしい、カズラもそうだった。
なのにわざわざシンタロウのためにここまで一緒に来てくれたんだ。
…なにか下心は満載のようだが。
そして皆で食事を終えた後、場に残されたのは俺たちとシンタロウ一行。
タマコ家の人たちはもうそろそろ眠い時間なのでお帰りになられました。
ミミコに至ってはもう食事中に寝てた。
で、問題がある、シンタロウはともかくカズラとシレネもシンタロウ家に泊る予定だった。
つーか俺たちいなければそれは若い男の子と飢えた女が二人という状況になっていろいろ大丈夫かと思うところではあったが純粋なシンタロウは特に何も気づいていなかった。
まあそれはいいんだ、シンタロウのハーレムに口出しはしない、ただ、シンタロウ一人くらいなら俺の借りてる部屋が比較的使ってないから空いてたのでそこで寝ればよかったんだがそこに女二人が加わるとそうはいかない。
狭いのだ…ディーナとアイラの部屋に女全部押し込めるのは無理っていうか…ディーナが初めて見る人と一緒に寝れる訳も無くて、食事中もすでにキョドってたし…
あの二人も納得しないだろう事が予想できた。
「じゃあ俺の家に来なよ!俺は一人で住んでるから狭くねえぜ!なんでかわからんがすげえ綺麗に掃除されてたからすぐにでも寝れるしな!」
とマサヨシがカズラたちを自宅へ誘っていた、完全に下心が鼻から荒い息と一緒に出ていた。
さすがあの長老の息子なだけはある、別種族でも欲情しているのは誰の目にも明らかだ。
それをカズラたち二人は華麗にスルー。
見ていて涙が止まりません。
結局、どうしたかというと…
「じゃ我は外で寝る、テントあるからな」
マーくんがさっさと魔動車から野営用のテントを出して組み立てていた。
その行動は素早かった、忘れかけてたがマーくんは基本ディーナを超えるコミュ障だったわ。
カズラとシレネはマーくんの使ってた部屋に泊ることになった。
トップクとかは片付けたので問題ない…多少木刀とかが残っていたけど、二人はベッドが異様に快適なことについて注目していて他のことはどうでもよいみたいだった。
そしてベッドは一つしかないのでどっちが使うかで醜い争いをしていた。
そこはもう、二人で解決してください。
シンタロウには俺の使ってた部屋のベッドを使わせ、俺はマーくんと共に外のテントで寝ようとしたのだが…
「こんなに大きいベッドならおじさんと一緒に使えるよ、これ、おじさんが作ったんでしょ?だからおじさんもここで寝ればいいよ」
そう言って頑なに俺が外で寝ることを良しとしないシンタロウ。
いやまあ…いいんだけどさ…ただカズラたちがそれ聞いて俺のことをどう始末するかみたいな目で見てるのが気になるんだけど…いや男同士だから別に何も無いよ?もしかしてあれ?さっき抱きしめたからホモだと思われてる?
身の危険を感じたが俺が出て行くと言うとシンタロウが外で寝ると言い出しちゃったので家主が外で寝てそれ以外の人が中で寝るのもありえんことだし諦めてシンタロウと一緒にベッドで寝ることにした。
少年とベッドを共にする日が来ようとは…変な意味ではないが…
「これでゆっくりおじさんと話ができるよ」
シンタロウが隣で寝ころびながら、暗くてよくわからんけどたぶん嬉しそうな顔をしていた。
俺はタマコと出会い、そしてここまで来た旅の話をシンタロウに詳しく話してやった。
飯の時も言ったけど…忙しくてあんまりは説明できなかったからな。
「そうかぁ、タマコちゃんがぼくのことをそこまで心配してくれてたのかぁ」
「ああ、あいつ最初魔動車を盗むつもりでな…」
ついでにオーキッドでダンジョン行って戦ったこととか、狐人族の村に立ち寄って過ごしてたことなんかも話した。
「村に狐人族がいたのは、それとも関係あったんだね」
「そうだよ、長老から聞いたか…あそこはなあ海で魚がとれてなあ…あー醤油がある今なら魚料理ももっとたくさんできるのになあ」
後はつい最近のこと、魔王ぶっ殺したことかな。
「まおう?…あれ、どこかでその言葉聞いたことあるけど…忘れちゃったな」
「そうか、まあもう死んだからどうでもいいことではあるな」
「犬人族の村で少し聞いたけど、その魔王って人がここに来て暴れたんだよね…守り人が誰も勝てなかったって…それでもおじさんが倒したんだよね、やっぱおじさんすごいなあ」
「はっはっはっ、まあ直接倒したのはマーくんだ、あとタマコも戦ったぞ」
「タマコちゃんも!?…ぼく、冒険者になって少しは強くなった気がしてたけど…タマコちゃんは強くなりすぎだよ…追いつけないよ…」
そこはまあなんだ…諦めろ、あいつと同じフィールドで勝負してはいけない。
「おじさんはオフィーリア様にも会ったの?」
「まあな、それで今は水の女神ウェリケの行方を捜してオフィーリアに頼ってるんだが…あいつ一週間以内に連絡するって言ってたくせにまだ連絡してこねえな、明日で約束の一週間になるのに」
これ明日はクレーム入れに行った方がいいかな。
森の開拓もほとんど済んできたし…俺が少し抜けても平気そうならこっちから聞きに行くか。
「ぼくもオフィーリア様に会ってみたいなあ」
「なんだ?シンタロウは会ったことないのか、じゃあ明日一緒に行くか、一回は見といたほうがいいよ、面白いから」
「お、面白いってなんだかよくわからないけど…ぼくも行っていいなら一緒に行きたい」
そんな話をしていたらシンタロウはいつの間にか眠っていた、長旅で疲れてたんだろうな。
俺も目を閉じて寝ることにした、明日は早起きしないといけない。
なぜなら、先ほどまで戸の隙間から、カズラとシレネがずっとこちらの様子をうかがっていたから。
あいつらより先に起きて、安全を確保しなくてはならないのだ。
シンタロウ…色々言いたいことはあるが一言だけ言おう。
…強く生きろよ。
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