第211話 シンタロウ 弟子をとる
おじさん、アイラちゃん、二人とも今はどこで何をしていますか?
ぼくはというと…とうとう、マグノリアまでたどり着きました。
遠くの方にうっすらと、オフィーリア様のいる神樹が見えます。
あれが見えたときは涙が出ました。
もうすぐ、もうすぐです、ぼくの故郷の猫人族の村まで。
ここまで来るのにぼくはいろんな人に助けてもらいました。
その人たちのことは一生忘れません。
いつの日かぼくにも恩返しができれば…いや、絶対にもう一度会って…
「どうしたの~シンタロウ?ぼーっとしちゃって、疲れちゃった?じゃあ今日はこの辺で休みましょうか、あたしと一緒にテントで寝ましょっ」
ぼくが神樹を見ながらぼんやりしていると、後ろから誰かに抱きしめられた。
それは兎人族のカズラさんだった。
この人は、サイプラスにあるウィンドミルって街の冒険者ギルドで知り合いになったんだ。
冒険者になったぼくにいろいろ親切に教えてくれた。
すごくいい人なんだけど…よくこうして抱き着いてくるのはちょっと困る。
だ、だってその胸が…大きいから…恥ずかしいんだ…当てられると…
「シンタロウが嫌がってるでしょう、やめなさい、さあシンタロウ、私と一緒に食事の準備をしましょう、テントはあの破廉恥な兎が用意してくれますから」
そう言ってカズラさんからぼくを強引に引っ張って離したのは、犬人族のシレネさん。
この人もカズラさんと同じく、ウィンドミルの冒険者ギルドで知り合った。
この二人はぼくが故郷に帰ると知って、なんと一緒についてきてくれたんだ。
二人ともサイプラスの生まれなんだけど、たまに行商人の護衛としてマグノリアにも行くことがあるんだって。
それで今度はぼくなんかのために護衛をしてくれて今こうして一緒にいるんだ。
それまでぼくの面倒を見てくれていたジグルドさんたちは、冒険者ギルドからすごく重要な依頼をされたみたいで急遽ウィンドミルを離れなきゃいけなくなってしまった。
依頼の内容はぼくは知らない、2級以上の冒険者のみに出された特別な依頼、ということくらいかな、ぼくにわかったのは。
それでぼくは正式にカズラさんとシレネさんとパーティーを組んで、ウィンドミルに残った。
二人のおかげで6級から5級の冒険者にもなれたんだ。
「はーでたでた、勝手にシンタロウを助けた気になって恩着せがましく近づいてくる犬が」
「おやおや?蛮族が何か言ってますね?さすが野蛮な種族だけあって思考も自己中心的です」
「はーあ?それはどっちが?ブーメランって知ってる?」
「犬人族は礼節を尽くす種族ですからそんな野蛮人の飛び道具は全然知りません」
「あの二人とも喧嘩はやめて…」
カズラさんとシレネさんはなぜだかすぐ喧嘩をはじめちゃうんだ…
たぶん、本当は二人は仲がいいんだと思う。
フリスクさんとヘイルさんもしょっちゅう喧嘩してたけど、ナインスさんに怒られたらすぐ喧嘩をやめて一緒に食事をしてたからね。
ただあの時と違って今は喧嘩を止める、ナインスさんの役の人がいないんだ。
ぼく?無理、無理だよぉ!
これまで何度も頑張って止めようとしたけど、火に油を注ぐ結果にしかならなかったんだ!
だからぼくは期待を込めて、旅に同行してくれたもう一人の人物を見る。
大柄でたくましい体を持ち、ぼくとは違って物凄く強そうな戦士の人。
「シンタロウよ」
ぼくの助けてという願いが通じたのか、その人が話しかけてきた。
「いつもいつもなんだよ!?お前だけモテて!ずるいんだよ!!」
…助けてくれるどころか罵り合うカズラさんとシレネさんに挟まれて身動きが取れないぼくにそう言って怒っているこの人はマサヨシさん。
ぼくと同じ猫人族の男の人だ、年は倍以上違うけど。
「見せつけてんのか!そうやって40にもなっていまだ誰とも付き合ったことのない俺のことを馬鹿にしてんのか!?」
「ちがっ…そんなこと全然、うむむむう」
カズラさんとシレネさんが額をぶつけあってにらみ合いをはじめたせいで、間にいるぼくは二人の胸に顔を挟まれ息ができなくなった、苦しい。
「ぎゃあああ、羨ましすぎるんだよおおお!代われ!もう俺とそこ代われよ!!」
代われるものならすぐにでも代わりたいぼくは、マサヨシさんの方へ必死に手を伸ばす。
ぼくからはよく見えないんだけどマサヨシさんが何かぶつぶつ言った後、ぼくの手を掴んで引っ張った。
「お、おいおいーシンタロウー、急に引っ張るなよー、ふらついて転ぶじゃないかぁ、おっとっと」
なんだかわざとらしい口調でマサヨシさんがぼくを引っ張り出すと同時に言い争う二人に向かって倒れかかる。
「うわっいきなり何してんのよ!」
カズラさんがさっと避けた。
「ひいっ、汗臭いっ!病気になるっ!」
シレネさんもさっと避けた。
べちゃ、っとマサヨシさんは顔から地面に倒れた。
「………」
顔は地面につけたまま、無言で両手をわさわさ動かして辺りを探るマサヨシさん。
あの…そこには何もないよ…二人とも離れちゃったよ…
「んがあああああ!!」
そのままマサヨシさんは地面に転がってジタバタし続けていた…
………………
………
なんだかんだあったけど野営の準備ができて、ぼくは食事の用意をしてるところ。
マサヨシさんがジタバタした後、カズラさんもシレネさんも喧嘩をやめてくれたんだ。
いつも大体こんな感じ、結果的にマサヨシさんの行動で喧嘩が終わることが多いから、ナインスさん役はマサヨシさんなのかもしれないね。
改めて紹介するけど、マサヨシさんもウィンドミルで知り合いになったんだ。
やっぱり冒険者でしかも3級だった、ぼくたち一行の中では一番上の階級だね。
だから魔物とかにあったらすごく頼りになるんだ。
両手に剣を持つ戦い方をしていて、前衛がマサヨシさん、カズラさんとシレネさんが弓と魔法でそれを援護するのが定番の形。
ぼくは…えっと、最初はマサヨシさんと一緒に前衛をしてたんだけど…
途中から後衛のカズラさんとシレネさんを守るために後ろにいたほうがいいんじゃないかってことになって…
ぼく以外その案に賛成してて…まあつまり、あんまり戦いに参加していない。
おかしいなぁ、5級になったから少しはぼくも戦えるようになったと思うんだけど…
やっぱりあれかなぁ、一度ぼくが戦闘で軽く怪我をして、夕飯を作れない時があったからかなぁ。
その翌日から言われたんだよね、後ろにいろって。
まあぼくより実力も経験もある三人からの忠告だから大人しく従ったほうがいいなと思って特に口出しすることもなく後ろで大人しくしている。
あ、そうそう、マサヨシさんは他にも驚くことがあったよ。
最初に見かけた時、ぼくはマサヨシさんことをどこかで見たことがあるような気がしてた。
向こうもぼくのことを、同じようにどこかで見たことある顔だなあと思ってたみたいで、冒険者ギルドでマサヨシさんがぼくに話しかけてきたのがきっかけで知り合ったんだ。
それで話を聞いたらマサヨシさんはなんとぼくと同じ村の出身だった。
村の長老の息子がマサヨシさんだった。
同じ村にいたのにお互いのことあんまり知らなかったのは、ぼくは父さんと行商に行くことが多くてあんまり村にいなかったし、マサヨシさんもしょっちゅう村を出てサイプラスに行ってたからだったんだ。
お互い村にあんまりいないから全く話したことがなかったんだよね。
見覚えがあったのは村の祭りの時に顔を見かけたことがあったから。
ぼくが村に帰りたいことを知ったマサヨシさんは「お、じゃあ俺も一緒に行くわ、親父がまだ生きてるかどうかそろそろ見に行ったほうがいいしな」と軽い感じで旅の仲間になってくれた。
余計なお世話かも知れないけどこの人のお父さんは村の長老だからもっと気にした方がいいんじゃないかな…
もし長老が亡くなったときにマサヨシさんが村にいなかったら、村のまとめ役を次に誰にするかで揉めると思うんだけど…
ともかくマサヨシさんに会えたことでぼくは村を目指して本格的にサイプラスを離れる決意をしたんだ。
これはぼくにとってすごく良い機会だった、時期的にね。
その頃は実は少し困ってることがあった。
ジグルドさんたちはもういなくて、ぼくのそばにはいつもカズラさんとシレネさんがいて、二人がなんだか「家はいつ買う?」とか「子供は何人欲しい?」とか変なことを聞いてくるようになって正直どうしていいのかわからなかったんだ。
サイプラスに残る気はないので家なんかいらなかったし、子供と言われてもぼくがまだ子供みたいなものなのに…わけがわからなくて…
しかもぼくが何か言う前に二人で喧嘩がはじまるし。
だからマサヨシさんが来てくれて三人から四人になったのはとても助かった。
と、あれこれ考えてるうちに料理もできた。
皆を呼んで四人集まって食事にする。
今日はカズラさんが仕留めたダッシュバードっていう鳥の肉を使ったよ。
この鳥は空を飛べないけど、地面の上をものすごい速さで走るから捕まえるのは大変なんだ。
それを見事に弓で射抜いて仕留めたカズラさんには感謝しなくっちゃ。
「ただの串焼きだけどうめえなあ」
「これだからマサヨシは…これの決め手はタレですよ、このタレを塗って焼いてあるからこの味なのですよ?」
「偉そうに言ってるけどこれ仕留めたのあたしで作ったのはシンタロウだからね、そこんとこ覚えといて」
シレネさんが言ってるタレというのはウィンドミルで屋台をしていた人が使ってたんだ。
焼き鳥っていうそのままの名前の料理を出してる屋台だったけど、塩焼きじゃなくて香ばしくていい匂いのするタレをつけて焼いててそれがすごく気になった。
それを食べてから、いろんな調味料を買い集めてあれこれ試してぼくなりに再現できるようになったんだ。
サイプラスにいる頃はそうやって気になる食べ物があるとついつい調べちゃった。
そのおかげで旅してるのにぼくの荷物は必要以上に調味料とかが多くて…
結構すごい匂いがするやつもあるんだよね…ぼくは好きな匂いだからいいんだけど。
「みんなごめんね、ぼくがあれこれ余計なものを持ってるせいで、旅に必要な道具とかは全部そっちに持たせちゃって」
「いいのよ!シンタロウの荷物に余計なものなんかないんだから!」
「そうです!それに他の荷物くらいなんてことはありませんから!」
「まあほとんど荷物持たされてるの俺だけどな、前衛なのにな…」
「うるさいマサヨシ、図体でかいんだからそれくらいやりなさいよ」
「全くですよ、無理やり私とシンタロウのパーティーに入ってきたくせに文句ばかり」
「あーら?さりげなく私とシンタロウのパーティーとか言っちゃった?この駄犬」
「それがなにか?事実ですけど?カズラとマサヨシはおまけですけど?」
ああまた喧嘩になりそう…どうしてすぐこうなっちゃうんだ…
二人がにらみ合いをはじめる、食べかけの焼き鳥がお皿代わりの葉っぱの上に置かれた。
それをマサヨシさんがものすごい目で見ていた、お代わりが欲しいのかな。
だったらぼくの分をあげよう、ぼくはもうお腹いっぱいだからね。
「マサヨシさん、少し食べかけだけど…お腹すいてるならぼくの分のこれ、良かったらあげ」
「「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁーー!」」
喧嘩をしていた二人が一瞬で喧嘩をやめてぼくの焼き鳥にかじりついた。
…二人もお腹ぺこぺこなのかな…でもまだ自分の分が残ってるのに…
「シンタロウのタレっ、タレつきっ」
「はっ、離しなさいカズラ!神聖な食べ物があなたの唾で汚れる!!」
ちょっと怖い、あと別に神聖な食べ物では無いと思う、元は屋台で売ってた料理だし。
「なあなんでだ?なんでシンタロウばかり?」
「えっ?何が…」
「くそおおお、はっ、そうだ、二人とも良かったら俺の分もあげ」
「「ひいいいいい~いらないっ!!」」
「なんでだよおおおおお!!」
お腹減ってるのかいっぱいなのか良く分からない三人だった。
その後は二人ずつ見張りをたてて交代で寝ることにした。
その順番もまた揉めて…ぼくはいつも通りマサヨシさんと一緒に見張りをすると申し出た。
ぼくがそう言うと三人とも変な、悲しそうにも見える顔をするけど最終的にはそれですんなりいく。
マサヨシさんと焚火の前で過ごすぼく。
この時間はよく村のことをマサヨシさんと話した。
マサヨシさんはタマコちゃんことは知ってて、ぼくはその隣の家に住んでたんだよって話をしたときは「ああ、あのきちが…いや、タマコの隣か…もう村に帰るのやめてもいいんじゃねえか?」と言われた。
タマコちゃん…マサヨシさんにも何かしたことあるの?
ただ今日は村じゃなくて、別の話をマサヨシさんは切り出してきた。
「なあ、たぶん数日後には神樹の森にある犬人族の村辺りにはつく、そこまで行けば守り人のいる場所をつっきって通り抜ければ俺たちの村まではすぐだ」
「うん、そうだね、タマコちゃん元気にしてるかなあ」
「滅多なことを言うな、あいつが病気だったら他の村人は全員病気でたぶんもう死んでる」
「そ、そんなこと無いと思うけど…」
「ある!いや、まああのアホはどうでもいい、それより村に着いたらあの二人はどうするんだ?」
「カズラさんたち?ぼくの家に泊るって言ってたよ」
「‥‥‥‥‥‥‥そうか」
急にガックリするマサヨシさん。
「あ、もしかして二人を村に入れるのはまずいのかな…シレネさんは犬人族だから平気だと思ったんだけど、カズラさんが兎人族だから…」
「そういう事ではない、いいか、そんなのは大した問題じゃないんだ」
あれっ、そうなんだ?
長老の息子であるマサヨシさんがそう言ってくれるなら、これは心強いね。
一安心だよ。
「この際だから聞いておこう…シンタロウ、お前はあの二人のうちどっちが好きなんだ?」
「…?そんなの二人とも好きだよ、二人がいなければぼくはここまで来られなかった、感謝してる」
「そおおおおいうことではなああああい!」
うわっ、声が大きいよマサヨシさん、二人が起きちゃうよ。
「嫁にする気があるのかということだ!」
「よめ…?ええっ、嫁!?」
そんなことは全然考えてなかった。
「そんなの考えたことも無いよ!」
なので正直にそう言った。
「はぁ、お前と言うやつは…まあそんな気はしたが…でもまあ、それならば!」
「それならば?」
「俺があの二人を嫁にしても構わんと言う事だな!?」
…えっ、マサヨシさんはあの二人のことが好きだったのか!
というかどっちも違う種族なのに…いいんだ。
「マサヨシさんは二人のどちらが好きなの?」
「両方だ」
「そ、そうなんだ…一度に二人を…」
「できればそうしたいと思っている、むちむちボインも、つるつるぺったりも好きなのだ」
「はあ…」
言ってることの意味がよくわからないけどとにかくあの二人が好きなんだな。
「でもそれなら、二人にはぼくの家じゃなくてマサヨシさんの家に泊ってもらったほうがいいかもしれないね」
「それができればさああああいいよなああああ」
だから声が大きいよマサヨシさん。
「シンタロウ、教えてくれ」
「何を…?」
「どうすればモテる」
「もてる…?ぼくよりマサヨシさんのほうが荷物をもてると思うよ」
「そうそう、俺は力があるからな お前の何倍ももて…その持てるではなあああい!」
「うわあびっくりした、じゃあなんなんだろう?」
「俺は女の子にモテたいのだ、好きになってほしいんだ、俺のことを」
そういうことだったのか…
「マサヨシさん強いし、親切だし、好かれる要素しか無いと思うけどなあ」
「お前がそう思うのならそうなんだろう、お前の中ではな」
「違うの?」
「シンタロウの言う通りなら俺とっくに嫁がいるよな?40になるまで一人で過ごしてないよな?」
「そ、それもそうか…一体どうしてこんなことが…マサヨシさんいい人なのに…ぼくにはさっぱりだ」
「よせ、もう純粋な心で真剣に悩むな、それ以上は俺の心に効く」
「そうだ!ぼくがあの二人に直接聞いてみるよ!マサヨシさんことをどう思ってるか!」
「お前は俺にトドメを刺す気なのか?」
え、えぇ~…なんでそんなことに?
「とりあえずそんなことをするよりもだな、最初に言っただろ、お前は俺にモテる秘訣と言うものを教えてくれればいいのだ」
「でもぼくは自分がモテる?なんて全然思ってなくて…」
「俺があと10歳若ければ今の言葉を聞いた瞬間お前を殴っていた」
「す、すいません」
「やはり顔なのか…あと若さ…?つまり俺は死ぬしかない?」
「待ってなんで急に死ぬなんて!そんなことしなくていいよ!」
「じゃあ俺にどうしろってんだ!」
ぼくは悩んだ、もしかしたら生まれてはじめてこんなに悩んだかもしれない。
カズラさんとシレネさんがぼくのことを好きだとして、どうしてあの二人がぼくを好きになったのか、それをこれでもかというくらい考えた、少し恥ずかしくなった。
そしてふと思い当たった、あれは二人と一緒にはじめて野営をしたときのことだ。
ぼくが用意した食事を食べてから二人は急にぼくの出身とか家族とかについて聞いてくるようになったんだ。
べたべた触ってくるのもその日を境に2倍くらいに増えた。
ミュセさんと会わなくなってからは5倍くらいになったけど。
「二人はきっと…ぼくが料理できるから優しくしてくれるんじゃないかなあ」
「料理…確かに!シンタロウの作る飯は明らかに素人とは違う!俺も毎日食べたいほどだ!」
マサヨシさんも納得してくれたようだった。
「飯を作るのは嫁の仕事だと思い込んでいた…それが間違いだったんだな、モテる秘訣は料理ができること、そういうことだな?」
「たぶん…そうじゃないかと…」
「良く考えたら店とかで料理してるの男が結構いるもんな」
「うん、それにぼくに料理を教えてくれたのも男の人だよ」
「なに?料理の師匠がいたのか」
「人族なんだけど、ぼくの命の恩人でもあるんだ」
「そいつがシンタロウに料理を教えたせいで俺は今こんなつらい目にあっているのか…そいつさえいなければ…」
あれ、なんでかな、おじさんのこと良く思われてない気がする。
「マサヨシさん…その、人のことを悪く言わない方がモテるんじゃないかなってぼくは思うよ…」
「はっ!?そ、そうか!悪口を言わないほうがモテるのか!言われてみれば…確かに!今まで俺は酒場のねーちゃんとかに、知り合いのあいつはうんこがめちゃ臭いとか、金玉がでかすぎて気持ち悪いとか人の悪口ばかりを話していた、それで気づいたらなんかねーちゃんたちに避けられるようになっていた!」
話の内容にも問題がある気がするけどとにかく悪口は良くないと思う。
「シンタロウ、いや、師匠よ」
「し、ししょう!?」
「ああ、お前は今日から俺の師匠だ、恋を極めた恋愛道の師匠だ!」
「れんあいどう…」
まったくわからなかった。
「俺は師匠から料理とモテ方を学ぶ!そしてあの二人を嫁にしてみせるぜ!」
「料理は教えられるけどモテ方は…」
「はっははははははは!」
もうマサヨシさんは全然ぼくの話を聞いてなかった。
おじさん…こういうとき、ぼくはどうしたらいいんだろう、それをぼくに教えて欲しいよ。
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