高い高い

下校途中、入道とコロと友人二人は人だかりに遭遇。


「何、あの人だかりなんなん?」


「なんだろうね、つかアンタそれ気に入ったん?」


友人二人がやり取りしていると、一際でかい入道が人だかりの中心を見やる。


「……なんかのアイドルグループの一人が来てるみたいだな」


「アイドル!?」


入道の言葉に目をキラッキラに輝かせるコロ。

コロは男女問わずアイドルが好きだ。

部屋はアイドルのポスターが壁や天井に所狭しと貼られている。

その部屋に入った事のある人々は一言、『ちょっと引く』と言わしめるぐらいだ。

――尚、天井のポスターは入道が貼っている。


「……ふん!ふん!ふん!」


なんとかそのアイドルを一目見ようとコロは飛び跳ねるも、全く跳躍力は足りていないので見る事は出来ていない。

そこに入道がコロを持ち上げ、


「ほらコロ、たかいたかーい」


「うわぁよく見えるぅ♪」


子供の様に燥ぐコロ――だがすぐさま、


「って、子ども扱いすんな!」


暴れ出す。

その際、コロの足が後ろ蹴りとして繰り出され入道の鳩尾にめり込む。


「ごふぅ……」


入道はコロをゆっくり降ろすと、蹴られた部分を抑えながら膝からゆっくり崩れ落ちた。


「え、あ、ちょ、ごめん!!!!」


一瞬何が起こったのか理解できなかったコロだが、すぐに入道に駆け寄り謝り倒していた。

そんなに様子を見ていた友人二人は何故か微笑ましく見ていたそうな。



「だってさぁ、コロちゃんの為に入道がすぐに行動してたしな」


「それにコロが怪我しないように、痛みをこらえてゆっくり降ろしてたし」

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見上げ入道くんとコロポックルちゃん 雪ノ山 噛仁 @snow-m-gamijin

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