第29話 棺を蓋いて事定まる
毎朝の日課である、
そうして、空を見上げていると、視界に飛翔している龍が飛び込んで来た。
その龍が、段々と近づいて来ている事に気付き、
その背から、目的の人物が降りて来たのを確認して、
「
呼ばれた
「
「
「何、
「
「この者は?」
「覚えておらんかのう? 昔、画院にいた
「ああ。肖像画の得意だった、あの……」
「思い出したか?」
「ええ。でも何故、
それに、困った表情を浮かべた
「それは……。少し長くなるのですが……」
「そうか。では、立ち話もなんだ。俺の室で話そう」
そう言って、
「その前に、何か食べさせてくれないか?」
相変わらずな
「ああ。俺も朝食はまだなんだ。皆の分も、用意するように伝えよう」
そうして
朝食は半時も経たぬうちに運び込まれ、
食事が終わると、
中に入ると、
「陛下……」
「ああ。
「
「
更にその後に続いた
「ところで、こちらは?」
それに、
「ああ。
「
「彼はずっと
「そうですか……」
「今から詳しい話を聞くつもりでいるのだが、何か話が有ったのではないか?」
「ええ。まぁ。こちらの案件は今日中で大丈夫ですので、先にそちらの話を伺いましょう」
「分かった。さぁ、皆、あちらに座ってくれ」
それに従い、席に着く。
「早速だが、何故、
「私は、自らに課した使命を果たす為、南方へと向かっていました。その途中、
「
「そうですね。でも何故、あなたが連れ去られたのですか? 官僚でもない画家の貴方が」
「それは、その時に前右羽林軍将軍の
「父の旧友?」と、
それに
「ふむ。確かに
「ええ」
「それで、城に連れて行かれた後は?」
「牢に入れられ、命令に従うように言われました。私は使命を果たすまで、死ぬわけにはいかないと、仕方なく従いました。奴らは持ち物から、私が画家だと分かったようで、私に絵を描くように言いました。私の描いた絵は、殊の外、王に気に入られたようで、ご自身以外にも王妃様や王太子様、その他の王族の方々の絵を描くように命令されました。そして私は、ニマ王女の肖像画を描きながら話すうちに美しい王女の
「駆け落ち……」
誰ともなく
「はい。私達は、何とか
言葉に詰まった
「貴方は捕まってしまったのか?」
「はい……。私は、再び
「そうか……」
辛うじて
暫くして、
「それで、その使命というのは?」
「それは……」
「もしや、昔、
「そうです」
「そうか。ずっと
「どういう事ですか?」
「
「
「恐らく、民衆に伝わっておる部分のみではないかのう?
「機密とは?」
「
「陛下……」
その様子に焦れた
「
「……確かに、信じられないような話が伝わっていました。余りに現実離れした話だったので、
「その話とは?」と、
「我が家に伝わっていた書物に、
「それは、確かに、
そう言って、
それに
「ええ。それこそ、伝説のような話です。そのような道具を手に入れる事が、先ず困難です」
「はい。私もそう思っておりました。我が家にもそのような道具自体は全く伝わっておりませんでしたから。ですが……」
「そうだな。実際、我々は鳳凰と会った」
その言葉に、
「何?」
「ええ。ここに確かに、鳳凰の羽があります」
「これが?」
「はい。それに、ここにはありませんが、連理の梧桐の枝も、彼女と逃げている途中で手に入れたのです」
「ああ。あれがそうだったのか」
「あれとは?」
その横で、
「王女から連理の梧桐の枝を預かっている者がいる。その者に会わせてやりたいが、その者の都合もあるだろうから、少し時間を貰いたい」
「そうですか……。牢でも話されていましたが、やはり彼女はもう……?」
「ああ。
「そうですか……」
その様は余りに
それを引き止めるべく、
「
目を開いた
「そうですね。以前は、偉大な師のお役に立つ事が、ひいてはこの国の為になると思い、それを使命として来ました。ですが、彼女と出会って、それだけではない想いが生まれました。彼女は私の絵をとても好んでくれていました。そんな彼女の為にも、画家として師を、それから
「そうか」
「
「分かっております。私もこの国のお役に立ちたいのです。この国に不利益になるような事は決していたしません。どうかお話し下さい」
「成る程。そう言う事だったのですね。では、
「恐らくは。だが、そう落ち込むな。こうして、道具の材料を集めて来たのはそなたなのだ。
それに
決意を新たに、精一杯自分に出来る事をしようと、
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