<17話〜25話までの登場人物紹介> ※ ネタバレ注意



○登場人物



<主要人物>


李章絢リーヂャンシュェン……いみなは「ツァィ」。侍中じちゅう(門下省の長官)。「シィェン」の力を持つ。子淡ズーダンの夫。麒煉チーリィェンとは異母兄弟。母親は前皇后。母親が療養の為に住んでいた芙蓉フーロン宮を譲り受けて暮らしている。


呉子淡ウーズーダン……待詔たいしょう(画院の優秀な画家)。「ザオ」の力を持つ。章絢ヂャンシュェンの妻。師君シージュンの弟子。両親と姉は他界している。弟がいる。


李麒煉リーチーリィェン……いみなは「リン」。トン国皇帝。「天子」の力を持つ。章絢ヂャンシュェンとは異母兄弟。母親は前貴妃、現皇太后。妻は故、ウー皇后のみ。息子が二人いる。名は「シー」と「シェン」。


趙浩藍ヂャオハオラン……中書令ちゅうしょれい(中書省の長官)。妻は元公主で、麒煉チーリィェンの同母姉。息子と娘がいる。


師君シージュン……太師たいし(皇帝の師)。「ザオ」の力を持つ。子淡ズーダン達の師。「師君シージュン」は、子淡ズーダン達が呼んでいる通称で、本名ではない。本名は李白雲リーバイユン。白いかみひげを長く伸ばしていて、年齢は七十半ば。


フゥァン……「ザオ」の力を持つ。孤児。子淡ズーダンに師事する。自称、九歳。


ニマ……故人。フゥァンの母親。飛燦フェイツァン国の第二王女。生母は高官の娘。その姿は天女のように美しい。


武耀華ウーヤォファ……故人。皇后。麒煉チーリィェンの妻。息子が二人いる。武芸が得意。


李劉章リーリィゥヂャン……前皇帝。麒煉チーリィェン章絢ヂャンシュェンの父親。現在は、離宮で麒煉チーリィェンの母親と慎ましく暮らしている。


朱昇月ヂュシォンユェ……青都チンドウ県尉けんい(県の軍事、警察行政の最高責任者)。子淡ズーダンの従兄妹。章絢ヂャンシュェンとは同じ剣術の師についていた同士。





<中央の官吏>


清冴チンフー……子淡ズーダンの伯父。子淡ズーダンの母の一番上の兄。相当な剣の使い手。将軍まで出世し、高官の子息などにも武芸の指南をしている。


李玄枝リーシュェンジー……待詔たいしょう。画院の長官。師君シージュンの息子。


馬丹管マーダングァン……武官。麒煉チーリィェンの護衛が主な仕事。母は、耀華ヤォファの乳母で、現在は後宮で、主にシーの世話をしている。姉は、シェンの乳母をしている。


武霜剣ウーシュァンジィェン……太保たいほ(皇帝の補佐)。耀華ヤォファの父親。元、十六衛大将軍。


リィゥ太傅たいふ……皇帝の守役。麒煉チーリィェンの母、リィゥ皇太后の父親。


李賢斗リーシィェンドウ……右丞相(尚書省(全ての官府の中心。法案などの最終決定機関)の長官)。麒煉チーリィェンの仮初めの姿。

※ 本作では、左丞相は皇帝である麒煉チーリィェンが兼ねていて、右丞相も麒煉チーリィェンの隠れみのの身分なため、次官の左丞と右丞が主な業務を執り行っている設定です。


シュ都事とじ……尚書省しょうしょしょうの官吏。飛燦フェイツァン国への使節団の一員。後に、砦西ヂャイシー県令けんれいとなる。





飛燦フェイツァン国>


王……王妃とは政略結婚。王妃の他に、高官の娘を妃にしている。


王妃……章絢ヂャンシュェンの母、フルの従姉妹。第一王子と第一王女の生母。煌羅フゥァンルゥォ国の王族。


第一王子……王太子。妻子がいる。戦争反対派。


第一王女……他国へと嫁ぎ、子を産んでいる。


第三王女……生母は高官の娘。病弱で流行病に罹かかって他界。麒煉チーリィェンとの縁談があった。


パサン……飛燦フェイツァン国の高官の息子。第二王女ニマとは従兄妹で許婚。十年程、トン国でニマの行方を追っていた。捕虜として、飛燦フェイツァン国へ護送される。





<その他>


グゥォ県令けんれい……青都チンドウ県令けんれい。厳格だが、昇月シォンユェいじって遊んでいたりする。


花梨ファリー老娘母さん……章絢ヂャンシュェンの乳母。家族で芙蓉フーロン宮に従事している。


呉亘ウーゲン……子淡ズーダンの弟。母方の祖父母、伯父家族と生活している。文官を目指し、勉強中。


澄牙チォンヤー……子淡ズーダンの伯父。子淡ズーダンの母の二番目の兄。昇月シォンユェの父。商家へと婿入りしている。


李應劉リーインリィゥ……前皇帝、劉章リィゥヂャンの父。麒煉チーリィェン章絢ヂャンシュェンの祖父。現在は、南東の離宮で静養している。


天帝……天界を治める王。トン国では、天帝を神として崇拝している。その為、天帝は地界を見守り、特に信仰心の篤いトン国の皇帝に特別に力を貸している。


造士ザオシー……「ザオ」の力を持っている者。造物主ぞうぶつしゅのような力を持つ者のこと。天帝の恩恵を特別に受けている者、天帝に愛された才能を有する者。


イン……造士ザオシーが描いて実体化した絵の人物や物のこと。


ゴウ……麒煉チーリィェンが天子の力で操るいぬの姿をしたイン


張僧繇ヂャンソンイャォ(ちょうそうよう)……二百年程前の画家。当時の皇帝、武帝に命じられて天迎ティェンイン宮に四体の龍を描く。二体は天に昇って行った為、現在は二体だけ残っている。おそらく造士ザオシーだったと考えられている。


リィゥ皇太后……前貴妃。麒煉チーリィェンの母。


李珠星リーヂュシン……公主。麒煉チーリィェンの四つ上の姉。二十歳の時に、当時、科挙で状元じょうげん(首席)となり、頭角を現していた趙浩藍ヂャオハオランの許へと降嫁した。二児の母。


麒煉チーリィェンの乳母……麒煉チーリィェンが幼い頃に毒物によって失明し、後宮から去った。この時に、麒煉チーリィェンの乳兄弟であった自身の息子も同じ毒によってうしなった。


フル……故人。前皇后。章絢ヂャンシュェンの母。飛燦フェイツァン国の王妃と従姉妹。煌羅フゥァンルゥォ国の王族。


ある男……十年程前に飛燦フェイツァン国へと拉致らちされたトン国の画家。第二王女ニマと駆け落ちし、夫婦となるが、再び飛燦フェイツァン国の間諜に捕まり、牢獄でその後を過ごす。


幽楽ヨウラ……トン国の鍛治師。十年程前に飛燦フェイツァン国へと拉致らちされた。


連理の梧桐ごとうの大樹……二本の梧桐ごとう(青桐)が絡まりあった大木。鳳凰がその枝で羽を休めるとの言い伝えがある。その枝が、ある男の使命には必要。






【諱と字について】

 歴史的に、中国人は個人に特有の名として姓(氏)といみな(名)とあざなの三つの要素を持った。


 いみなとは、生前の実名。

 生前には口にすることをはばかられた。

 いみなで呼びかけることは親や主君などのみに許され、それ以外の人間がいみなで呼びかけることは極めて無礼であると考えられた。

 これはある人物の本名はその人物の霊的な人格と強く結びついたものであり、その名を口にするとその霊的人格を支配することができると考えられた為である。


 あざなは、成人男子が実名以外につけた名のこと。



 いみなをそのままあざなにする人も居たとか。

 それから、いみなあざなは同じような意味にした方が良いそう。


 分かりやすいのが、諸葛孔明しょかつこうめいです。

 いみなは「りょう」。

 あざなが「孔明こうめい」。

「亮」も「孔明」も「あかるい」という意味があります。



 本編の主要人物、章絢ヂャンシュェンは、「章」は「美しい模様。いろどり。明らかにする」、「絢」も「(織物の)美しい模様。美しいさま」などの意味があります。

 そこからいみなは、「ツァィ」にしました。

「彩」は「いろどり。模様。色。つや。輝き。美しい」などの意味があって、大体同じかなと思いました。

「綾」や「綺」も考えましたが、「綾」は「リン」、「綺」は「チー」との中国語読みでしたので、「リー」と合わせたときの響きで、「ツァィ」の方を取りました。

 女の子みたいな名前ですが、それはわざと。

 章絢ヂャンシュェンは皇后の機転で、麒煉チーリィェンとの後継者争いを避ける為、幼少期は公主として育ちます。



 麒煉チーリィェンは、「麒」は「中国の想像上の動物。聖人や英才をたとえていう」、「煉」は「金属を火で溶かして精錬する。心を練り鍛える」という意味があります。

リン」は「麒」とほぼ一緒ですが、「光りかがやくさま」という意味もあります。

 そこに、婉曲的に、精錬されて高められた金属が光輝く様子を連想させて、「煉」に当てはめました。

 その他にも「リン」にした理由がありますが、それは後々本編に出て来る予定です。



 名前を考えるのは楽しいですが、難しいですね。

 漢字にどのような意味があるのか、調べてみると面白いです。

 大抵の漢字は象形文字から変化していますから、成り立ちにも想像を掻き立てられます。

 怖い意味の漢字を知らずに名前に付けていることもあるでしょうから、大切な子供に名前を付ける時は、響きや字画、字形だけを見ずに意味、成り立ちを調べることをおススメします。





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