第14話 雌雄を決する
鷹の姿が目に入った
鷹はその腕に止まり、口を開ける。
「行け!」
鷹から発せられた
「お前達は、
一人になった
−−陛下。
在所を見据える
−−
「そうか」
その時、在所から逃げて行く敵兵が目に入った
「奴らを追え」
−−はっ!
在所に近づいた所で、討ち
サッと、間合いを開き相手を観察した所で、ただの下っ端が恐れをなして逃げ出したわけではないと悟る。
「チッ。厄介な……」
顔を
相手も嫌そうな顔をして、
「ケッ。ツイテナイな。よりにもよって、物凄く面倒くさそうなのと
「ふん。それはこっちの
お互いに話しながらも、見合って、
「ハッ!」
「ヤッ!」
−−カキーン。
剣を合わせ、弾き、また間合いを取る。
「チッ」
相手の舌打ちの後に、
「お前は
「だったらどうする?」
「出来たら、生け捕りにしたいところだ」
「はっ。捕まるわけがないだろ! テヤッ!」
−−キーン、カチャ、シュッ。
二人は、
「クソッ」
その時、
だが、
お互いにこのまま長引くのを、よしとしなかった。
男が飛刀を投げるのと、
男の投げた飛刀が
飛刀は勢いを殺され、
その光景を見ていた男は、目を見開き動揺するが、直に構え直し、次の
「お前、
「さあな!」
「チッ!」
再び身を離し、間合いを取る。
ちなみに、
「これで終わりだ!」
そう力強く言った男の声と、
−−シュッ。
「フッ」
ところが、次の瞬間、なぜか背後に気配を感じ、向きを変えようとした。
「なっ!?」
そして、実体化した縄で男を
「これを使いたくはなかったが、生け捕るには仕方なかったよな……」
男に切られた紙を拾い上げながら、
力が拮抗し、殺す気でかかって来る相手に、剣だけで立ち向かって、峰打ちしようとするのは無謀というものである。
ズルと言われようが、手段は選んでいられない。
与えられた力は、有効活用するべき。
ただし、
というのが、
* * *
−−時間は少し
その時、突如として掛けられた
だが、聞き覚えのある声と話の内容で、味方と分かり、強張りが解けた。
「
「
「ええ。ずっと
「今の今まで、全く気配を感じなかったよ」
「まあ、存在感がないのが私の特技ですから」
「いや、そこは『気配を消すのが得意』って言うところだろう?」
「
「おっと、敵中だった。
「さっ、
「来たか」
それから、懐の冊子を触り、「戻れ!」と唱えると、鷹がその中へと消えて行った。
「うっ……」
「
「はっ!」
意識が戻った後は、舌を噛み切って自害するのを防ぐため、
「ふが、ふご、むぐ、うご」
肩から下ろされた衝撃で完全に覚醒した
「
その様子に、
「気絶させられるのは、余程、嫌と見える。それとも、俺が誰だか分かって大人しくなったか? フン。お前はもう逃げられない。大人しくしていることだ」
「行くぞ」
外が騒がしくなった為か、建物の中で敵と出会うことはなく、移動することが出来た。
出口に差し掛かった所で、
「ご無事で良かった」
「お前達も無事で良かった。この通り、
「外はどんな様子だ?」
「圧倒的に我らの方が優勢です」
外の様子を
「
「そうか。
「こちらから見える範囲には、居られないようです」
「分かった。もう少し場が落ち着き、
「はっ!」
「我が名は、
それを聞き、抵抗を止め、投降する敵兵が増える。
更に、まだ抵抗している者達に追い打ちとばかりに、
「
それを見た敵兵達は、遂に投降した。
敵兵達は拘束され、亡くなった者も全て
そして、自身は、尋問部屋に入れた
椅子に縛り付けられて、棒で打たれても二人は抵抗し、男は口を
先に口を割ったのは、やはり
男はそんな
だが、
「これは誰だ?」
「くっ」
男は、憎々し気に
その様子を傍で眺めていた
「なぜ、お前がそれを!?」
男が持っていた絵に描かれていた女性と同一人物と思われる絵を見せられ、男は動揺を隠せなかった。
「この女性は、
その問いに、男は絵から目を逸らし、そのまま沈黙を守った。
「はぁ。しぶといな」
「これ以上は話さぬか……。明日また来る。逃亡せぬように、厳重に見張れ!」
尋問部屋を後にした
−−「
彼らはきっと、それすらも知る機会がなく、推し量ることも出来ない、徳も学もない者達であったのだろう。
何と哀れな者達か……。
雑然と転がされるように並べられた、粗末な衣を
あまりの情けなさと、無力感に
その様子を見守っていた
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※ 士爲知己者死(士は己を知る者の為に死す)……男子たるものは、自分の価値をわかって待遇してくれる人のためには、命をも投げ出して尽くす。
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