第13話 断じて敢行すれば鬼神もこれを避く
「やはり、無血では済まなかったか……」
聞き慣れた声が耳に入り、
「
「遅くなった」
転がる
「いや、早い方だ。ここは制圧し、
「もちろんだ」
それに、
「
「
「頼んだぞ」
「はっ!」
「では、直に出発する。
「もちろんです。どうぞ、お連れ下さい」
「よし。
それに従う武官や兵士達が、声を張り上げ返事をする。
「はっ!」
「
「はっ!」
一緒に
敷地は結構な広さがあり、私兵の人数は、予想以上に多くいるようだった。
「『
「それは違うぞ。
それを聞いた
「そうか。少し気が晴れた。とは言え
「随分弱気だな。これ以上逃げられると、
「そう、だな。何か良案があるのか?」
「うーん」
「恐れながら、申し上げても宜しいでしょうか?」
二人の遣り取りを横で
それに二人は、「ああ」と言って、許可を出した。
「では。
「どうやって?」
「
「まあ、そうだろうな」
「ならば、敵に気付かれないように潜入して、
「そうだな。だが、気付かれずにどうやって潜入する?」
「
「何を言っている!? 二人だけでは無理だ」
だが、
「大丈夫。
「はぁ。お前が
だが、結局、
「ああ。必ず、
「ならば、二人からの合図を確認次第、攻め込むことにする。だが、敵の動きがおかしかったり、
「はっ!」と、二人は
「気をつけて行って来い。合図を待っている」
「ああ。では行ってくる。
「はっ!」
身を
「やはり、入り組んでいるな」
「そうでございますね」
在所に潜入した
途中、何度か敵に見つかりそうになった。
だが、その度、相手が声を上げる前に、
そんなことを繰り返しながら、やっと一番奥の部屋に辿り着くと、中から
耳を澄ませると、
「どうやら、ここみたいだな」
「ええ」
小声で話す
「では、行きますか。
「はい」
「!」
いきなり中に入って来た
それから、入って来た相手の顔を見て、表情が喜色満面に変わる。
二人を見て、
「
−−おっと。これはまさか、絶体絶命か!?
* * *
−−その頃、丘の上で待機していた
部下達は、そんな上司を内心では
「二人は大丈夫だろうか?」
「
落ち着かない様子の
「そうか……」
−−だが、もし、
「やはり、俺も行く」
そう言った
「
「それは、そなたでも良いだろう?」
「いいえ。何を仰っておられるのですか? 私には、恐れ多いことでございます。ここは、二人を信じて、合図を待ちましょう」
処罰も恐れず、真剣にそう言った
「……分かった。なれば、
−−
* * *
「その者は、
「
「ああ」
「こんな形で再会することになるとは、とても残念でなりません。まさか、
「何だと!」
「貴方がなぜ、私を味方だと思ったのか、理解に苦しみます」
意識を失った
きっと、州軍に追われた
そこに現れた
「流石、
一瞬でも
「はっ!」
「
「一体、これは!?」
「どうした?」
二人は、立ち去ろうとしていた所で、異変に気付いてやって来た敵兵達に見つかった。
「おっと、見つかったか。
「はっ!」
「
すると、冊子から飛び出した
「うわっ!?」
声を上げられたのは一瞬で、鎖に強く締められた兵達は気を失った。
「
「
そう言って、
だが、「では、合図を送るぞ」との
そして、
すると、紙面から一羽の
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※ 「斷而敢行、鬼神避之」……断固とした決意をもって敢行すれば、何ものもそれを妨げることはできず、必ず成功することのたとえ。
「桃李不言、下自成蹊」……徳のある立派な人のもとには、特別なことをしなくても、自然と人が慕い集まることのたとえ。
一敗地に
四面楚歌……周囲がすべて敵や反対者で、孤立し、助けや味方がいない状態のこと。孤立無援。
鹿を指して馬と為す……自分の権勢をよいことに、理屈に合わないことを無理に押し通すことのたとえ。
右に
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