第11話 君子は義に喩り、小人は利に喩る
皇帝の身分を隠し、
「この度の
「はっ!」
「おい。これは……」
「ああ。
「工事が
「ああ。送った
工事の様子を見ていた三人に、近くの
−−陛下。
「動いたか?」
−−はい。どうやら予想通り荷馬車が入れ替えられたようです。
「そうか……。入れ替えられた元の荷馬車の場所は分かっているか?」
−−はい。
「
−−はっ!
それを聞いた
「やはり、
「厄介ですね。
「そうだな。
「
「
「そうだな。先ずは
「はっ!」
* * *
——一方その頃、首都、
「
白い
「まあ!
「お主が
「は、はい!」
「はて? どこかで会うたことがある気がするんじゃが……。どこだったかのう?」
緊張気味の
それに、
「
「そうか……。ここ十数年は
「どなたか他の方と、間違えておられるのでは?」
「おお! そうじゃ! あやつに似ておるのじゃ。十年ほど前に
「
「
「それで、
「音信不通で、全く連絡がつかん。消息不明じゃ」
「そんな……」
「もしかしたら、
「そうですか……。もし他国にいるのだとしても、元気でいて下されば良いですね」
「そうじゃな。……して、
描き上げられた亀は紙から抜け出し、のろのろと机の上を歩く。
「絵に戻すことは出来るか?」
「はい」
その瞬間、亀は紙に吸い込まれるようにして消えていく。
紙には、頭と手足を引っ込めたままの亀の絵があった。
「もう一度出せるか?」
「はい」
「はは」
「うむ。完璧じゃ。本物と変わらぬ。では、最後にもう一度、紙に戻すのじゃ」
「はい」
また、
「ほほほ。これは、凄いのう。もう既に、
「はい、
「
「本当ですか!?
「そうか。
「いえ。
二人の言葉に、
そんな
「謙虚じゃのう。それは、美徳ではあるが、過ぎれば卑屈に感じられるから、気をつけねば。お主はもっと自信を持つべきじゃ、な」
「それから、
「えっ!?」
「だが、これだけは忘れてはならぬ。決して、
「ほう! 天を目指すのか! それは大きく出たな! ほっほっほっほ。そなたの将来が楽しみじゃ。まだまだ、長生きせねばのう」
「ええ、
それから、
* * *
「久しぶりだな、
「ええ。
「急に来て済まないな。だが、
「ええ。
「そうか。この者は、近衛武官の
「ええ。
「はっ。
二人の自己紹介が済むと、
「
「ほお。遂に
「ああ。
「そうですか。ご安心下さい。
「そうであろうな。
「ええ。ヤツにずっと張り付いているようですよ」
「今はどこにいる?」
「ヤツは街へ視察に行くと言っておりましたので、
「ほお。ヤツは
「ええ。
「そうか」
「これは良い機会だ。早速、
「
三人は、直に動いた。
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※ 「子曰、君子喩於義、小人喩於利」……先生(孔子)がおっしゃることには、「学徳ある立派な人は人の行うべき正しい道に敏感で、教養がなく心の正しくない者は利益に敏感である」[論語]
右丞相……尚書省(全ての官府の中心。法案などの最終決定機関)の長官。
本作では、左丞相は皇帝である麒煉が兼ねていて、右丞相も麒煉の隠れ
州司馬……州軍の最高責任者。
県尉……県の軍事、警察行政の最高責任者。
御史……御史台の官吏。
兵部尚書……兵部省(国の軍政、国防を司る機関)の長官。
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