第6話 天迎宮の龍
翌日、
「スゴい……」
その様子に、
「この城と
「
「わぁー。俺もあんなスゴい絵を描けるようになるかな?」
「ええ。きっと」
「
熱を持った顔を見られるのが恥ずかしくて、俯いた
そんな
「さぁ、行こう」
「
「はっ! 承りました」
そう言って、男は
「陛下。
それに答えるように、中から「入れ」と声がし、男は扉を開けた。
三人が中に入ると、再び扉は閉められた。
「
「ああ。待っていた」
それに
そして、立ち上がって、コの字型に並べられた椅子と机が置かれた場所を指し示し、「そこに掛けてくれ」と言い、移動する。
「
「
聞き慣れない言葉に、
「民や官僚達の意見を集めたり、法令の草案を考えたりするような部署である
「つまり、
「皇帝陛下の秘書でもある側近中の側近だ」
「秘書? 側近?」
「ああ。臣の中で俺の傍にいることを許された、俺に近い、俺の次くらいに
そう言って、
「それなら、
「
「
「
「難しくて良く分からないけれど、
「まぁ、そう言うことだ」
「えっと、俺、何でここに連れて来られたんだ? そんな
「心配するな。誰も取って食ったりしないから」
そう言って、
「
「そんな……」
「怖がらせて悪かった。大丈夫だ。心配するな。そんなことにならないように、俺達が保護したんだ」
「そうだ、安心しろ。ただし、このことは俺達以外には話すなよ。もし何か聞かれたら、お前は
そして、「分かった」と、
「
「
「よし。それじゃあ、その力について詳しく話そうか」
「うん」
「先ず、
「
「そうだ。恐れ多いことながら、
「ふーん」
「『
「ううん。どんな話なの?」
「二百年ほど前のことだ。
「実際あった話だと信じている者が、どれほどいるかは分からないがな」
そう言って、
それを横目で見て、
「そして、天に昇った龍は「守護龍」として、この国の行く末を見守っていると言われている。これは、この宮を守る我ら皇族と、その周りのごく一部の者しか知らぬ。恐らくは、
「その人も
「恐らくは。戦なんかの混乱で、正確な情報は残っていない。だが、実際に二体の龍の絵が
それに、
「いいの!?」
「すぐそこだからな。
「どうしよう。礼節なんて分からないよ」
「そうだな。とりあえず、一番大切なのは天帝を敬う気持ちだ。後は、俺達の真似をしていれば大丈夫だ」
「うん。分かった」
「では、案内する」
そう言って、
その後に、四人が続き、部屋を出ると、更にその後を護衛の兵士などが着いて来て、
その後ろで、四人も立ち止まる。
兵達は、距離を開けて、
その後に、
「さぁ、
上手く呼吸をすることが出来ず、胸が苦しくなる。
「
お陰で、なんとか呼吸が出来るようになった。
「ここは地上だが、まるで天に居るような感覚になると言う。実際に天に行ったことはないから、本当のところは分からないが……」
空気だけでなく、壁一面に描かれた二体の龍に囲まれて、まるでフワフワと宙に浮いているかのような心地がする。
瞳が入っていなくても、龍の迫力は
それでも、目が離せなくて、ずっと見ていたいような不思議な魅力に、
そんな様子を三人は笑顔で見守っていた。
「実はな、
「本当?」
「ああ。あくまでも俺の直感だがな」
「
「ただ、お前はまだ未熟だ。これから、力のコントロールや画法を
「分かった。……あの、たまにはここに来てもいい?」
「フッ。そうだな、俺達三人のうち、誰か一人と一緒であるならば許可しよう」
すっかり魅了されてしまった
それに、
____________________________________
※
この話で、麒煉が語っていた「画竜点睛」の話と実際の故事の違う所は、
「金陵の安楽寺の壁に描いた白龍」→「龍居の天迎宮の壁に描いた龍」
あとは、「守護龍」も創作です。
それ以外は、大体、実際の故事のままのはずです。たぶん。
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