第14話

 試合は第四クオーターの終盤に差し掛かった。依然として両組の点数は拮抗しており、どちらが優勝者となるのかはまだまだわからない。私はスマホカメラをビデオに切り替えた。走るメンバーを追いかけつつ、私は写真も撮った。スマホの性能の良さに、私は感謝した。ビデオを撮りながら写真も撮るなんて、私がこのスマホを使い始めてからは初めてだ。だって、わざわざ撮るようなことがなかったから。普段の私の生活では写真なんて撮らない。必要がない、そんな生活だから。それはまあ、寂しいけど。


 紗良ちゃんが走る。走ってもボールに追い付くことはできず、相手チームがポイントを入れてしまった。これで五組は劣勢になる。総合点数は現段階で六組が上回っている。それに、今ボールを保持しているのは相手チーム。もう駄目か……。

そう一同が思った時、夏美ちゃんが動いた。


 夏美ちゃんがボールをカットした。そのままの姿勢でパスを出す。その相手は紗良ちゃん。紗良ちゃんは待ってましたとばかりにドリブルを一回つくと、ポンっと手からそれを空中に向かって押し出す。試合時間、残り一秒。

ボールはネットの中を通過した。点数が入った。スリーポイントだった。

五組の決勝進出が決定した。


キャーー!!


女子の声だ。全部、全部、私のカメラで全て記録されている。


うぉーー!!


男子の声。こっちも全部、記録できている。

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