第13話
六組は順調に点数を稼いでいった。私の出番になったころには点数は十点ほど離れていて、文化部勢の私たちには到底埋められそうもない差だった。
私は走った。何もかも忘れてボールを追いかけた。それは他のメンバーも同じだった。しかし相手が操るボールをカットすることが出来ない。カットしようとしても逃げられてしまう。なんとかマイボールになったとしても、相手にすぐ取られてしまう。バスケットカウントを待つことなく、あえなく相手にポイントを入れられてしまった。
「ナイスファイト!」
「広瀬さん走って~!」
応援の声が体育館に響き渡る。
その声に掻き消されそうな小さな音が鳴った。ブザーだ。第二クオーターが終了した。
私は何もできなかった。私がコートの中でプレーしても、全然意味なかった。私は、このメンバーで、もう少しできると思った。活躍したかった。
私はスマホを手に取った。何かしようと思ったのではなく、自然に。それはスマホ依存というわけではなく、写真を撮るためだ。第二クオーターと第三クオーターの間の時間、汗だくで休憩をとるメンバーをスマホカメラに納めようとした。
運動が出来なくても、私だからできるということはきっとある。私だから役に立てることがきっとある。そう信じるんだ。信じていれば、私はみんなのために生きれるんだ。
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