第5話

 私はひたすらシャッターを切り続ける。五組の思い出を私が記録に残す。話す相手は誰もいないのに、一人で大声を張り上げて応援するのは、むなしい以外の何物でもない。仕方ないから、こうするしかない。

 ドリブルしている紗良ちゃんにズーム、パスを出そうとしている夏美ちゃんにズーム、そして私が座っている位置から遠くでボールを取り合っているときは引き画で。私が持ちうるすべての技術を総動員して撮る。とにかく撮る。

 夢中になっていると、五分間はあっという間に過ぎ去り、いよいよ私の出番だ。

 第二クオーターと第三クオーター。合計十分間を任されている私たち五人はみな文化部で、体力がない。自分たちが点を入れられなくても、相手の攻撃を防げば勝てる。そうやって、試合が始まる前、私たちに向かって京香ちゃんは言った。その言葉を信じ、私たちはディフェンスに専念する。

 蟹股で立ち、いつでもどこへでも動ける姿勢をとったうえでコート内に五角形を作るようにメンバーを配置する。私は一番ゴールに近いところの位置を任せられた。理由は背が高いからだそうだ。私はクラスで彩花ちゃんの次に背が高い。一六五センチ近くある。

 走る、とにかく走る。

 撮る、とにかく撮る。

 五分かける四で二十分。風のように一瞬で過ぎ去っていった。

 作戦は大成功。三組相手に、圧勝だった。


「いやー、よかった」応援に来ていた男子たちの歓声が場内に響く。

「私のおかげやな」彩花ちゃんが言った。ジョークのつもりだろうけど、何せ本当のことだから、全然ジョークになっていなかった。

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