第4話
ジャンプボールをする選手がセンターサークルに入った。応援に来た生徒たちはコート外から二人の選手の手先を見つめる。五組で一番背の高い彩花がその役目を買って出た。緊張の一瞬。そしてブザーが鳴らされた。
ブーーー。
審判がボールを高く投げ上げる。最高点に達し、そして落下してくる。ボールは彩花の手にあたり、そして突き飛ばされた。優菜がそれをキャッチし、すぐに紗良に回す。紗良は素早くドリブルを始め、目の前に立ちはだかる三組の生徒二人をまとめて抜き去り、右からのレイアップを決めた。先制点は五組だ。最初の一点は五組に入る。
歓声が巻き起こった。
「紗良ちゃんすごい!」
「いいぞ紗良!!そのままがんばれ!!」
そんな生徒たちを、南はスマートフォンの画面越しに見つめていた――
やった!紗良ちゃんが決めた!
この試合は簡単に勝てるかも。五組、案外いいじゃない。体育大会の時は一組にぼろ負けしたのに、今回は良い調子。
緊張が高まってくる。一クオーターあたり五分、それが終わったら次はいよいよ自分の出番だ。大した活躍ができるとは思えないけど、何気に緊張してしまう。
心臓の音が高鳴るのが、自分でもわかった。
そして、カメラでドリブルする彩花ちゃんをおさめる。私は友達がいないけど、それでもこのクラスの一員になりたいんだ。ただそこにいるだけの存在でいるのは、もう嫌なんだ。
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