第3話

 第一クオーターに出場する紗良、彩花、夏美、京香、優菜はコートに入って練習している。紗良は右からのレイアップシュートを決めた。夏美はフリースローの練習をしているが、今のところ一本も決まっていない。

 この五人のメンバーの中で期待されているのは紗良と京香だ。二人は仲がよく、同じバスケ部で活動している。また、彩花は小学校時代バスケ部だったため、期待されるメンバーのうちの一人だ。

 五組女子の作戦はこうだ。

 まず第一クオーターで紗良と京香、彩花が出場し、一気にポイントを重ねる。第二、第三クオーターは文化部勢の南、瑞希、結、愛理、友希が、点数を取れないことは覚悟の上で鉄壁のディフェンスを行う。体育の授業内で練習の時間が設けられたため、この五人はバスケ部経験者の三人からレッスンを受けた。そして第四クオーターでまた紗良、京香たちがポイントを稼ぎ、そして圧勝する。


 審判を務める三年の男子生徒が体育館に姿を現した。いよいよ試合が始まる。審判は体育倉庫に入り、使用するボールを選定している。その間に第一クオーターに出場する合計十人はコートの真ん中で列を作った。あとは試合開始のブザーが鳴るのを待つだけである。ブザーは審判のタイミングで鳴らされる。

 さあ、これから始まるぞ、楽しい楽しい球技大会が。

 でも、南の表情はさえなかった。

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