女教師

浅野浩二

第1話

ある学校である。

その学校のあるクラスに伸という優等生がいた。彼は秀才の上、勉強熱心で、ほとんど、全ての学科において学年で一番だった。まず東大は確実である。教師たちは、口にこそ出して言わないが、彼のような生徒は嬉しいこと限りなった。だが伸のクラスの担当の教師の教師が、ある事情があって、他校に転任することになった。そのため京子という、若いきれいな女の教師が、やってきて伸のクラスの担任になった。京子は英語を教えていた。教師というものは、勉強の出来るひ弱な生徒をかわいいと思うもので、京子も伸を、内心、かわいく思っていた。だが意外なことに、京子が来て数ヵ月後に行なわれた中間テストで伸の成績が、全科でガクンと落ちたのである。何かあったのだかろうかと、京子は、伸を教員室へ呼び出した。


伸君、座って。と言われて、伸はすわった。しょんぼり俯いている。伸君、成績が落ちてるの、いったいどうしてなの。伸君なら、もっといい成績とれるはずよ。と言って京子は伸の手を握った。何か悩み事でもあるの。クラスの誰かにいじめられているとか。そんなことありません。伸は、きっぱりいった。じゃ、何で、と言って、京子は、ギュッと伸の手を握った。伸君、先生の目をみなさい、と強気な口調でいった。こんなことを誰にでも平然と言えるほど京子の神経は強くはなかった。相手の伸が、あまりにも弱々しい、内気な女のような性格だから、言えるのである。内心では、京子は、こうやって、キビしく叱ることに、快感を感じていた。伸はおそるおそる顔を京子の方へ向けた。目があった。とたんに伸は顔を真っ赤にして、顔をそむけた。手がわなわな震えているのが伝わってくる。同時に、ズボンの一部のところがムクムクと隆起してくるのが、隠しようもなく、はっきり見える。京子は、この時、伸の成績が落ちた原因を、彼の苦悩の原因を直覚した。それは、伸が、一人、机に向かっている時のイメージまでもが、はっきりしたりんかく、となって、みえた。伸はうつむいて、手を膝の上にのせて、じっとしている。ズボンの隆起は、あいかわらず、みじめに、伸の秘めたがる本心をバクロしている。京子は、一瞬、「ひどいよ。先生」と言って、目に涙を浮かべている伸の顔を、顔をそむけて、憔悴している伸の顔が語っている錯覚をみた。

「ご、ごめんなさい。ムリに問い詰めちゃって」

京子は、あわてて、弁明し、わびようとした。これは、するべき叱責、糾問ではなかった、と後悔した。バツが悪いまま、気まずいフンイキを、どう解決すべきか、京子は、もてあました。毒くらわば皿まで、という気持ちと、伸の思春期の悩みが、本当に自分に由来しているのか、自分は彼に、どのような影響を及ぼしているのか、彼にとって自分は女として、どのような位置づけなのか、そして、その影響の程度は、どの程度なのか、京子は知りたく思った。このまま、伸を帰しては、恥をかかせてしまう。自分の、あさはかさ、から、こういう事態をまねいてしまったのだから、終焉は自分がつけるべきだと思った。

「ご、ごめんね。伸君。先生、無神経なこと聞いちゃって・・・本当にこんなこと聞くのおかしなことだけど、せ、先生が原因なの?」

黙って、かすかにうなずく伸をみて、京子はあまりにも直裁的な聞き方をしてしまった自分に恥じ、もっと、婉曲に、適切な言葉を選べなかった自分の能力を恥じた。

「ご、ごめんね。伸君。で、また、へんなこと聞いちゃうけど、ど、どのくらい影響してるの?」

京子は、言いながら、確かに自分がおかしなことを聞いていることに赤面した。が、そのことが伸の心を逆に開かせるのに有利に作用した。伸を捨て鉢、で、開き直り、に、させた。

「すごく影響してます。勉強しようと机につくと、先生のウエストラインが、頭の中に浮かんできて、勉強が手につかなくて、毎日オナニーしてました。これからは、もうしません。一意専心、勉強に励みます」

と、キッパリと、いささか、投げやりな口調で言った。京子は、自分の聞き方が、まずかった、と、つくづく後悔した。「バカバカバカ」と自分をたたきたい、ほどだった。京子は、土下座して、あやまりたいほどだった。

「ご、ごめんなさい。本当にへんなこと聞いちゃって。恥をかかせちゃって。先生失格ね」

京子の頭はコンランしていた。自分の思慮が浅くて、生徒に恥をかかせてしまった責任をとらなくては、と思った。そういう責任感は、相手が小心な優等生だから、ということは十分作用していて、相手が腕力のある不良だったら、とてもそんな勇気は生まれないだろう。

「ご、ごめんなさい。へんなこと聞いちゃって・・・。無神経なこと聞いて、恥をかかせてしまった責任はとります。ぬ、脱ぎましょうか?」

と京子は言った。伸はうつむいて、哀しそうな顔をしている。その、哀しみは、以前のとは違う、あまりに思慮のない考え方、(そんなことをすれば、よけい相手をはずかしめることがわからない、想像力のなさ)をする目前の教師に対する哀れみの悲しみだった。伸は一瞬、「ありがとうございます。脱いでください。先生の裸がみたかったんです」と言おうかと思ったが、コトバに少し修正を加えた。ソクラテスの助産法が、伸の頭に作用した。伸はこう言った。

「ありがとうございます。脱いでください。先生の裸を前から見たいと思っていたんです。先生の裸をみれば、きっと悩みがきれいになくなって、一意専心勉強にうち込めると思います。そこまでしてくださる教育熱心な先生ははじめてで、ご恩は一生忘れません」

とやや、イヤミを込めて言った。言われて京子は、やっと、そんな行為が相手によけい恥をかかすことだとわかり、また「バカバカバカ」と頭をたたきたい思いになった。ボクシングにテレフォンパンチというのがあるが、絶えず相手より一テンポ遅れたパンチだが、京子の思考はこのテレフォンパンチに似ていた。京子は自分が情けなくなってきた。そもそも教室で脱ぐことはおかしい。情交は、立場的に不道徳であるが、道徳の桎梏で自分を制している生徒に対しては、即物的な性欲の発散で、悩みが解消できるのであれば、それは不道徳ではない、という直感が働いて、京子は言った。

「こ、こんどの土曜、よ、よかったら先生のうちに来て。変なこと聞いて、恥ずかしい思いをさせちゃったバツに、うんとおいしい料理を作ってご馳走してあげます。ど、どう」これは、はじめておかしくないコトバだった。京子はほっとした。だが、京子はもう一つ、聞いておくべきことがあった。それは、直載的に言えば、伸が京子に対して寄せる思いが、単なる代替可能な性欲なのか、それとも恋愛の思慕も加わっているのか、ということである。恋愛感情が入っていたなら、それは道徳に反しない行為とは言えなくなる。


さて、土曜日になった。

もちろん京子は得意の料理はつくっていた。料理をご馳走することが真の目的でないことは双方共にわかっている。チャイムがなった。伸が立っている。

「あっ。伸君。よく来てくれたわね。ちょうど料理ができたところなの。あがって」

と、気軽そうに誘った。京子は内心、うれしかった。(不徳ではあるが)ここは、もう教室ではない。美人教師と、それを慕う男子生徒の、いけない恋、は、古今を貫く小説の、永遠のテーマの一つであり、今、自分がその主役になっているような気がして、うれしかったのだ。しかも相手は奥手で弱い優等生である。男と女を一つの部屋に入れるのは、飢えた野獣と雌鹿を一つの檻の中に入れるのと同じようなものだが、この時のライオンは、いわば、赤ちゃんか子供ライオンで、かりに、襲いかかってきても、容易に御しおおせ、悪戦する子ライオンを余裕で御するのは、かえっておもしろくもある。伸は京子に言われるまま、無言で上がって、食卓についた。

「ピザにしたの。ピザでよかった」

と聞くと、伸は黙って肯いた。伸は、俯いて、モソモソ食べている。それはそうだろう。これはオードブルであって、メインディシュは別のことである。それをください、と伸は言いにくいし、教師にしても、「どうぞ召し上がれ」とは、言いにくい。ダフニスとクロエのように、内面の感情は、わかっていても処すべき方法がわからない。京子にとって、伸の夢想のイメージがわからないのである。伸がイメージするものを実現させることが、伸に恥をかかせてしまった責任だと京子は思った。


食事が終わってさて、いよいよメインディッシュになった。伸はうつむいて黙っている。まあ当然といえば当然である。二人きりになったからといって、伸は女教師に襲いかかることなど出来ない小心な性格である。それは京子も想像していた。それで、どうしたら伸に小心な性格を開かせるかを考えた。京子は伸に目一杯、満足させる方法として、役者ごっこ、という方法を考え出した。あくまで演技でなら、伸に恥をかかせないで伸の欲求を満足させる事が出来る。

京子は微笑して言った。

「ねえ。伸君。先生は教師になったけど、役者になりたいとあこがれてたこともあるの。役者のオーディション受けてみたこともあるけど、ダメだったの。役者って、照れたり、恥ずかしがったりしていてはダメなのね。どんな役にでもなりきらなくてはだめだわね。先生は、もう役者になるのはあきらめてるけど、何でも演じられなかった自分に後悔しているの。だから、先生の後悔、解消させてくれない」

と言って、京子は少し緊張したが言った。

「何をするんですか?」

伸は聞いた。

「お芝居するの。迫真の。スリリングな」

「どういう設定のお芝居なんですか?」

「伸君が、一人暮しの女の部屋には言った強盗で、私はとらわれてしまった女という設定はどう」

京子は少し声を震わせながら言った。伸は、

「はい。わかりました」

といった。その口調には男性的な強気さ、が、少し含まれていた。

「ありがとう。じゃあ伸君も、強盗の役になりきらなくちゃダメよ」

と言って、京子はついと立ちあがった。目を閉じて、華奢にして、ふくよかなプロポーションが少し、カタカタ震えている。京子は、いきなり後ろから、グイッと片手をねじ上げられ、思わず、「ああっ」と叫んだ。優等生で、弱々しい伸なのに、予想以上に荒っぽく、いきなり、ねじ上げられたので、驚いたのである。君子は豹変す、とは、このことかもしれない、と京子は思った。

「さあ。両手を頭の後ろで組むんだ。言うことをきかないと、きれいなお顔に傷がつくぜ」

とドスのきいた声で、ナイフで京子の首筋、を、ピチャピチャたたいた。

「は、はい。何でも言うことをききます。だ、だから、おねがい。こ、殺さないで下さいね」

これは京子にとって予想外の展開だった。京子は自分から軽い気持ちで言い出したことが、こんな展開になったことに恐ろしさを感じて身震いした。京子の予想では、気の小さい伸のことだから、「強盗役をやって」といっても、すくんで困ってしまうか、あるいは、強盗役になっても、弱々しげな遠慮がちない言い方になるだろうと思っていた。だが伸は、本当に強盗のような口調で、脅す。京子のキョーフは、伸の本心が、わからないキョーフだった。演じて、といったから無理してヤクザっぽい強盗役を迫真力ある演技で演じているのかもしれない。几帳面で、何事にも頼まれたことは、精一杯の誠実さで、逐行する伸の性格である。ありえないことではない。だが、もしかすると、いつもはおとなしい優等生の伸が内に秘めた本心を、演技という名目で、地でやっているのかもしれない。そのどちらかのわからなさ、が、京子のキョーフで、京子はひれ伏して、「伸君。それ、演技なの。本心なの」とききたく思った。だが、自分から言い出しといて、すぐに降参して、泣きつくことは、あまりにも忍耐力がないものと思われることは、教師としてのプライドからできなかった。京子は、伸に命じられたように手を頭の後ろにもっていき、組んだ。

「ふふ。あり金かっさらう前に、しばらく美人女教師の立ち姿をとっくりと見学させてもらうぜ。動くんじゃねえぜ。一歩でも動いたら命はねえぜ」

京子は狼狽して、カタカタ小刻みに体を震わせている。ああ、伸君。それ、本心なの。演技なの。と、心の中で叫びながら。だまっている京子は、ほっぺたをピシャンとたたかれて、鼻をつままれた。

「おれが何か言ったら、はい、と返事して、ありがとうございます、と言うんだ。わかったか」

とどなられた。京子が黙っていると、再び平手がピシャンととんできた。

「返事は?」

と怒鳴られて、京子は、あわてて、

「は、はい。あ、ありがとうございます」

と答えた。京子の目からは涙がおちていた。教え子に命令され、平手打ちされ、敬語で答えている自分・・・。しかも、そのようにするようにいったのは自分なのだ。しかも伸の行為が、演技であるならば、伸は心を鬼にして、教師の言いつけを守ろうとしている誠実な生徒、ということになる。彼に責任があるのではなく、自分が命じて、こういう状態をつくってしまったと思うと、自分の考えが足りなかったわけで、自分の思慮の浅さを優秀な生徒になじられているようで、京子は自分が情けなくなってきた。しかも、京子には、伸の行為が、演技なのか、地なのかわからない。生徒の心がわからず、生徒に翻弄されている自分がみじめで、自分は、もう弱気の地の涙を流した。

京子が予想していたのは、聖母マリアのように、幼い悩める魂を、よしよしと抱き、なぐさめる母性愛の行為だった。それが自分の予想が足りなかったために、こんなことになるなんて、と思うと、一層惨めな気持ちになるのだった。

「脱ぐんだ」

「えっ」

「脱ぐんだよ。素っ裸になるんだ。色っぽく一枚一枚脱いでいくんだよ。脱がないならこうしてやるぜ」

と言って、後ろから胸をむんずと掴んだ。あっと悲鳴を漏らす。

「脱がないんなら、美人教師の立ち姿をたっぷり楽しませてもらうぜ」

京子は何か、自分のつくった提案が伸を不良にしてしまうのではないかと心配になってきた。自分は優秀だった生徒を、悩ましただけではなく、不良にまでしてしまうのでは、と、心配になってきた。京子はワナワナ、ブラウスのホックを外し始めた。スカートも脱ぎ、ブラジャーとパンティーだけになった。

「さあ。下着も脱げ」

伸に言われて京子はそっとブラジャーを外した。ブラジャーに収められていた豊満な乳房が顕わになった。京子はとっさに片手で乳房を隠し、片手をパンティーに当てた。

パンティー一枚になるとさすがに立ちすくんでしまった。

「お願い。伸君。もうやめて」

「脱がないんなら、無理やり脱がすぞ。さあ、どっちにする」

「ぬ、脱ぎます」

伸に迫られて、京子は最後の一枚のパンティーを降ろして足から抜きとった。これで京子は覆うもの何一つない丸裸になった。

「ああー」

京子は必死に乳房と女の秘所を隠しながら座り込んでしまった。

「伸君。もうやめて。もうそんな、ヤクザっぽい言葉使わないで。先生こわいの。お願い。元のやさしい伸君にもどって」

と言って、京子は、ワーンと泣き出すのであった。

「フン。じゃあ、何でも俺のいうことをきくか」

「聞きます。聞きますから、お願いだから、いつもの伸君に戻って」

「よし、今言った事は守れよ」

「はい」

しばし伸は丸裸で屈みこんでいる京子をニヤニヤ笑いながら、眺めた。

「さあ。立つんだ」

伸は乱暴な口調で言った。

「えっ」

京子は聞き返した。

「立て、と言ってるんだ」

伸は恫喝的な口調で言った。

京子は乳房と秘部を手で隠しながら、そっと立ち上がった。

伸はマジックで京子の足の回りに小さな円を描いた。

それは足を閉じて立っていられるだけの、極めて小さな円だった。

「いいか。この円の中から出るんじゃないぞ」

そう言って伸は京子の豊満な尻をピシャリと叩いた。

そして、ブランデーとグラスを持ってきて、京子の前のソファーにドッカと座り、机に足を投げ出した。

伸はタバコを一服してから、余裕の様子でブランデーをグラスに注ぎ、みじめに丸裸で立っている京子を見ながら飲んだ。

余裕綽々で京子を酒の肴にして、ブランデーを飲んでいる。

「ふふ。京子。どうだ。今の気持ちは」

伸はタバコを吹かしながら言った。

「み、みじめです」

「どんな風にみじめなんだ。具体的に言え」

「教え子の前で裸にされて、見られている事がです」

「しかし、それはお前が申し出たことだろう」

「そ、そうです」

「ふふ。美人女教師のヌード姿をたっぷりと観賞してやるぜ」

そう言って伸はタバコを吹かした。

しばし伸は京子のミロのビーナスのような姿をじっくり眺めていた。

「それじゃあ、そろそろ本格的に責めるとするか」

そう言って伸は立ち上がって、裸の京子の前に立った。

「おい。京子。手を頭の上で組め」

「えっ」

京子は一瞬、聞き耳を立てた。

「手を頭の上で組め、と言ってるんだ」

そう言って伸は京子の頬をピシャンと叩いた。

京子は辛そうな表情でゆっくり、両手を頭の上にあげて組んだ。

隠していた大きな乳房と秘所が顕わになった。

「ふふ。大きな乳房だな。サイズはいくつだ」

「86です」

京子は丸裸を何とか隠そうとピッチリ腿を閉じ合わせている。

「ふふ。恥ずかしい所を見られて恥ずかしいか。じゃあ、見ないでやるよ。後ろを向きな」

言われて京子は踵を返してクルリと後ろを向いた。

京子はほっとした。

後ろを向けば、尻は丸見えになるが、前は見られない。

何より、前では、顔と恥ずかしい所を一緒に見られてしまうことが恥ずかしいが、後ろを向けば、裸は見られても顔は見られない。顔を見られなければ自分が見られているという恥ずかしさから、一人の女の裸を見られているという効果がある。

京子が後ろを向いたため、ムッチリ閉じ合わさった弾力のある尻が丸見えになった。

「ふふ。頭かくして尻かくさず。ピッチリ閉じ合わさった尻の割れ目が丸見えだぜ」

伸がそんな揶揄をすると、京子の尻の肉がピクンと震えた。

「女はみんな、自分の体を男に見せたい願望があるはずた。特にお前のようなプロポーションなら、なおさらなはずだ。本当は、今、見られて嬉しいんだろう」

「そ、そんな事ないです」

「ウソをつけ。お前はビキニで海に行ったことがあるだろう」

「は、はい。あ、あります」

京子は弱々しく答えた。

「自分の体を男達に見せたいから行ったんだろう」

京子は黙っている。

「答えろ」

そう言っても京子はプルプル全身を震わせながら黙っている。

伸はタバコの先を京子の尻につけた。

「ひいー」

京子は悲鳴を上げた。

「答えないと、手加減せず尻にタバコを押しつけるぞ」

「は、はい。そうです」

京子はあせって言った。

「具体的に言え」

そう言って伸はまたタバコの先を京子の尻に近づけた。

ああー、と京子は悲鳴を上げた。

「は、はい。私は自慢の体を男達に見せつけたいために海に行きました」

伸は、ふふふ、と笑った。

「やっぱりな」

「今もこうやって丸裸を見られて嬉しいんだろう」

そう言って伸は京子の尻をピシャンと平手打ちした。

だが京子は苦しげに黙っている。

「ふふ。言いたくないなら、言わないでいいぜ。その代わり、こうしてやる」

そう言って伸は手を頭の上で組んでいるため、無防備になっている京子の腋下をスッと触れた。

「ああー」

京子は不意打ちにあわてて、体をくねらせた。

とっさに頭の上で組んでいた手が離れて、腋をヒシッと閉じた。

「誰が、手をほどいていいと言った。ちゃんと頭の上で組め」

伸は、そう言って、京子の両手をつかんで、無理やり、頭の上に持っていき、しっかりと両手を組ませた。

「ふふ。手は離すなよ。つらくなったら、手をギュッと握りしめて耐えろ」

伸は含み笑いしながらいった。

京子は、伸に言われたように、組んだ手をギュッと握りしめた。

それで伸の責めに耐える準備をした。

京子は伸が見えない。

いつ、責めの手が来るかと思うと、京子は耐えられなくなり、全身を小刻みにプルプル震わせた。

伸も精神的な恐怖感で京子らせる事と、怯えている京子の姿を見るのが面白く、しばしの時間、両手を頭の上で組んで、攻撃の準備をしている京子を楽しげに眺めていた。

そして、伸は遊撃的にスッと京子の腋の下や首筋など、敏感な所を、いきなりスッと触れだした。

「ひいー」

京子は伸の指が触れる度、叫んで、体をくねらせた。

手はほどけないので、責めに耐えるため、しっかり握りしめた。

足はマジックで書かれた円の中から出す事はできない。

京子は一直線の体をくねらせて、伸のくすぐり責めに耐えた。

その姿は伸から見れば極めて滑稽だった。

一直線の体が、伸が触れる度に激しく海草のように、くねった。

京子の体からは玉の汗が沸々と湧き出ていた。

京子は、ハアハアと呼吸が荒くなった。

「伸君。お願い。許して」

京子は、ハアハア、喘ぎながら言った。

「質問に答えな。そうしたら、やめてやるぜ」

「何の質問?」

「だから、さっき、言っただろう。今もこうやって丸裸を見られて嬉しいかどうかだ」

そう言って伸は京子を攻撃しつづけた。

「い、言うわ。言うから許して」

京子は体をくねらせながら言った。

「よし。言いな」

そう言って伸は責めの手をとめた。

京子は荒くなった呼吸がおさまるのを少し待った。

そして丸裸で手を頭の上で組んでいるという、みじめ極まりない姿で言った。

「し、伸君の言う通りです。私は、今も伸君に裸を見られて嬉しいんです」

京子は言った。

それは、京子の本心ではないが、伸が満足するような答えをしなければ、責めがいつまでもつづくからである。

「ふふ。そうだろうと思ってたぜ」

伸は勝ち誇ったように得意げに言った。

「それじゃあ、おやさしい責めはこれくらいで、本格的な責めを始めるぜ」

そう言って伸は皮のベルトを抜きとった。

伸はピシャリ、ピシャリと京子の尻に軽く当てて、威嚇した。

「ふふ。地獄の鞭打ち責めだ。円から出るなよ」

伸は不敵な笑いで言った。

京子は直立してプルプル体を震わせている。

伸はニヤリと笑った後、力の限りベルトを京子の柔らかい尻に振り下ろした。

ビシーン。

京子の尻に振り下ろされたベルトが当たった。

小気味のいい炸裂音が鳴った。

「ああー」

京子はとっさに腰を前に突き出し、激しく体を弓なりに反らした。

ピクピク震えている京子の尻には、クッキリと赤い蚯蚓腫れのベルトの跡が印された。

尻がプルプル振るえ、見るからに痛そうである。

手は頭の上で、痛みに耐えるようにしっかり握りしめている。

「し、伸君。お願い。許して」

京子は涙に潤んだ瞳を伸に向けて訴えた。

だが、伸はピシャンと京子の太腿に軽くベルトを振り下ろした。

「だめだ。お前は責めに耐えると言ったんだ。ちゃんと前を向いて責めに耐え抜け」

京子はガックリしたように顔を前に向けた。

「ふふ。さあ。歯を食いしばれ」

京子は頭の上で手をしっかり握りしめながら体を震わせながら直立した。

伸は力の限り京子の尻を鞭打った。

「ああー」

鞭がピリシと当たり京子は悲鳴を上げた。

だが伸は容赦しない。

たてつづけに京子の体を力の限り鞭打った。

京子は激しく体をくねらせながら悲鳴を上げつつ、

「許して。許して」

と許しを求めた。

だが伸は容赦しない。

「し、伸君」

京子は泣きながら伸に顔を向けた。

「何だ」

伸は鞭打ちを止めた。

「お願い。許して」

「ダメだ」

「お願い。何でも言う事をききます。ですから、もう鞭打つのは許して」

「ふふ。そうか。じゃあ、鞭打ちは、止めてやるよ」

そう言って伸は鞭打ちを止めた。

伸は裁縫バサミを持ってきて京子に見せつけるようにチョキチョキ鳴らした。

「な、何をするの」

京子は恐る恐る聞いた。

伸は答えず、京子の長い黒髪をムズとつかんだ。

そしてハサミで挟んだ。

「や、やめてー。伸君」

京子は叫んだが、伸は容赦なくバサリと京子の美しい黒髪を切った。

そして、それを京子の前にポイと投げた。

「ああー」

京子は切られた自分の髪の毛を見て叫んだ。

京子はクスン、クスンと泣き出した。

伸はつづけて京子の髪の毛を切った。

京子は耐え切れなくなったように振り返って伸を見た。

「し、伸君。許して」

京子は涙ながらに訴えた。

「ふふ。お前はオレの言う事は何でも聞くと言ったじゃないか」

「言ったわ。でも怖いの。お願い。許して」

「いいじゃねえか。髪なんてまた生えてくるじゃないか。坊主頭にするわけじゃなし。ショートヘアーにしてやるよ」

伸はふてぶてしい口調で言った。

「わ、わかりました。た、耐えます」

そう言って京子はクスン、クスンと泣いた。

「わかったよ。髪はもう切らないでやるよ」

そう言って伸は切るのをやめた。

「あ、ありがとう。伸君」

京子は泣きながらペコペコ頭を下げた。

伸は胸と秘部を覆っている京子の両手をつかんでグイと背中に捻り上げた。

「あっ。な、何をするの」

京子はあわてて、とっさに言った。

しかし伸は黙って背中で京子の手首を重ね合わせ、手首を縛り上げた。

手の覆いがとられ、豊満な乳房と女の恥ずかしい所が顕わになった。

京子は後ろ手に縛られて裸の体を隠せず、恥ずかしそうにモジモジしている。

伸は縄をとって、先にわっかをつくり、京子の首に巻いた。

そして、わっかに縄を通した。

伸は椅子を持ってきて、縄の先を持って椅子の上に乗った。

「ほら。爪先立ちになりな」

「何をするの」

「いいから爪先立ちになるんだ」

伸に言われて京子は足首を伸ばし、爪先立ちになった。

伸は縄の先を天井の梁に結びつけた。

そして椅子から降りて、椅子をどけた。

「ああー」

京子はとっさに悲鳴を上げた。

天井の梁に結びつけられた縄はピンと張って余裕がない。

京子は爪先立ちで立ちつづけなくては首が絞まってしまう。

京子は足をプルプル震わせながら苦しい爪先立ちをしている。

一仕事おえた伸はドッカとソファーに座って京子を見た。

伸はグラスにワインを注ぎ、余裕で京子を見た。

「し、伸君。お願い。許して」

京子は体をプルプル震わせながら叫んだ。

だが伸はゆっくりワインを飲みながら、苦しむ京子を眺めている。

これほどみじめな事があろうか。

いつも教壇から教えている生徒に、丸裸で後ろ手に縛られ、爪先立ちで、ひたすら憐れみを乞うているのである。

裸の体を隠すどころではない。

バランスを崩して倒れてしまっては首が絞まってしまう。

京子は足首をピンと伸ばし、足をプルプル震わせながら体のバランスをとった。

京子はピンと足首を伸ばしてバランスをとった。

しかし京子は運動も苦手で筋力もバランス感覚も人並み以下である。

京子はハアハア喘ぎながら、全身からは汗が沸々と出てきた。

伸はそんな京子をワインを飲みながらドッカと机に足を載せて眺めている。

しばしたった。

京子の足がガクガク震えだした。

ヨロヨロよろめく体を京子は必死で足先だけで耐えている。

「し、伸君。もうだめ。お願い。許して」

だが、いよいよ京子は限界に達して伸に哀願した。

京子の体がよろめきだした。

伸はようやく、おもむろに立ち上がった。

そして椅子を二つ持ってきて、京子の両側に置いた。

そして足首の縄を解いた。

「ほら。両足をこの上にのせな。そうすれば、爪先立ちしなくてすむぜ。ただし、足が大きく開いちゃうけど、それでいいならな」

伸は不敵な口調で言った。

「あ、ありがとうございます。か、感謝します」

京子はハアハア喘ぎながら言った。

それは当然だろう。

爪先立ちでバランスを崩したら首が絞まって死んでしまう。

命にはかえられない。

「前向きと後ろ向きとどっちがいい」

伸が京子の乳首をピンと指先ではねて聞いた。

「う、後ろ向きにお願いします」

京子は顔を真っ赤にしながら言った。

それは当然の選択だろう。

前向きでは、あられもない姿になって恥ずかしい所が全て見られてしまう。

「よし。じゃあ、後ろを向きな」

言われて京子は踵を返し、クルリと後ろ向きになった。

尻がプルプル震えている。

伸は京子の爪先立ちの片足を持ち上げて片方の椅子の上に乗せ、ついでもう片方の足を持ち上げてもう一方の椅子の上に乗せた。

これで京子は爪先立ちから開放された。

しかし椅子と椅子との間の距離は1m以上あり、尻の割れ目がパックリ開いてしまっている。

足を目一杯広げてしまっているため、爪先立ちが無くなったとはいえ、足がプルプル震えている。

苦しくても、椅子の上で踏ん張ってバランスをとっていなければならない。

伸はソファーにもどって、ドッカと座った。

目前では後ろ向きの京子が離れた椅子に足を載せ、大きく足を開いている。

伸はグラスにワインを注いでゆとりで飲みながら、目前の京子を眺めた。

京子の尻の割れ目はパックリ開き、尻の穴が丸見えである。

「ふふ。ものすごい格好だぜ。尻の穴が丸見えだぜ」

伸はゆとりの口調でそんな揶揄をした。

言われて京子は意識が尻の穴に行き、羞恥心が起こって、

「ああー」

と叫んだ。

だが隠しようがない。

しばし伸は、椅子に足を載せ、大きく足を開いている京子をゆとりの表情で眺めていた。

「ふふ。今はどんな気持ちだ」

伸はふてぶてしい口調で言った。

「み、みじめです」

京子は後ろ手に縛られた指をギュッと握りしめながら言った。

伸はしばし足を大きく開いて踏ん張っている京子を眺めていた。

京子は足が疲れてきたとみえ、プルプル体を振るわせ出した。

伸はソファーから立ち上がると足を椅子に載せて踏ん張っている京子に近づいた。

「ひいー」

京子は悲鳴を上げた。

伸がティッシュペーパーを縒ってコヨリをつくり、丸出しになった京子の尻の穴にスッと先を触れたのである。

いきなり、敏感な所を刺激されて、京子はコヨリを避けようと尻の穴を締め、腰を上へ上げた。

だが、足を開いて踏ん張っていなくてはならない。

椅子から降りたら首が絞まってしまうのである。

京子は苦しげな表情で怯えている。

だが伸は容赦せず、一休みして京子が安心した頃、いきなりスッと京子の尻の割れ目をコヨリの先で擦った。

「ひいー」

京子は、その度に悲鳴を上げて、さっと尻を上げた。

だが足を踏ん張っていなくてはならない以上、避けようがない。

京子の体はプルプル震えだした。

京子は顔を後ろに回して伸の方へ向けた。

「お願い。伸君。許して」

京子は泣きそうな顔で伸に哀願した。

だが伸は黙ってニヤニヤ、京子を見ている。

「お願い。伸君。どんなにでもみじめになります。ですから、これだけは許して下さい」

京子は涙を浮かべながら訴えた。

「ふふ。そうか。じゃあ、今度は前向きになりな。恥ずかしい姿が丸見えになるけど、何もしないでやるよ」

どうだ、と純が問い詰めると京子は、

「な、なります」

と答えた。

「じゃあ、椅子から降りて前を向きな」

「は、はい」

京子はそっと椅子から降りて、爪先立ちになり、ゆっくり体を回して前を向いた。

乳房と恥ずかしい所が晒されて、京子は顔を赤くして、そむけた。

伸はニヤリと笑ってソファーにもどった。

そしてドッカと座ってワインを飲みだした。

晒し者の京子を酒の肴にして楽しむように。

京子は長時間、立ったままなので、疲れて、爪先立ちはガクガク震えておぼつかない。

京子の弱々しい体はすぐにフラつき出した。

「あ、ああー。伸君。助けて。お願い」

京子は体をプルプル震わせながら、必死にバランスをとりながら、叫んだ。

伸はおもむろに立ち上がって京子の右足をつかみ、右の椅子に乗せ、すぐに左足をつかみ、左の椅子に乗せた。

これで京子は爪先立ちから開放された。

しかし、その姿は言いようもない。

丸裸を後ろ手に縛られて、足を大きく開いて離れた椅子に足を載せて、踏ん張っているのである。

当然、女の恥ずかしい所は丸見えである。

「ふふ。ものすごい格好だぜ」

伸がふてぶてしい口調で言った。

「ああー。み、見ないで」

京子は激しい羞恥心から思わず叫んだ。

「恥ずかしいか」

「は、はい」

京子は顔を真っ赤にして、大きく開いた足を踏ん張って言った。

「じゃあ、見えないようにしてやるよ」

そう言うと伸は厚紙とハサミを持ってきて厚紙をチョキチョキ切り出した。

厚紙の色はピンクである。

京子は不安げな表情で伸が何をするのか見ていた。すぐに、

「できた」

と言って伸は切り抜いたものを京子に見せた。

切り抜かれた厚紙はハートの形をしていた。

「ふふ。これをお前の恥ずかしい所に貼ってやるよ。そうすれば恥ずかしい所は隠せるぜ。どうする」

伸はニヤついて言った。

「は、貼って。お願い」

京子は顔を真っ赤にして、あられもない要求をした。

それも無理はない。

貼れば、女の一番、恥ずかしい所は見られなくなれるのである。

どちらかの選択をせまられたら女としては、貼る方を選ぶしかない。

伸はニヤニヤ笑いながら京子の女の部分に、厚紙をピンクのハート型に切り抜いたものを当ててセロテープで四ヶ所、留めた。

これで京子の恥ずかしい所は何とか隠された。

伸は含み笑いしながら等身大の姿見のカガミを持ってきて、京子の前に立てた。

京子はとっさに恥ずかしそうに顔をそらした。

伸はソファーにドッカと座った。

「そら。カガミを見て自分の姿を見るんだ」

伸はグラスのワインを飲みながら言った。

しかし京子は顔を赤くしてそらしている。

伸は京子が命令に従わないので、業を煮やして怒鳴りつけた。

「おい。カガミを見ろ。見ないと、また尻の穴を責めるぞ」

伸に怒鳴りつけられて、京子はゆっくりカガミを見た。

「ああー」

京子は真っ赤になって声を上げた。

丸裸を後ろ手に縛られて、足を大きく開いて踏ん張っている、みじめな姿が京子の目に飛び込んできたからである。

女の恥ずかしい部分は厚紙で見えないが、ピンクのハート型の覆いが、そこだけ貼られている姿はみじめ極まりない。

だからといって取る事もできない。

どうにもならない状態である。

「ふふ。オレがいいと言うまでカガミから目をそらすなよ」

伸はタバコを吹かしながら言った。

「おい。京子。今、どんな気持ちだ」

伸が煙を吹いて言った。

「み、みじめです」

京子は声を震わせて言った。

「どうみじめなんだ」

「こんな格好を見られていることがです」

京子はかなしそうな顔で言った。

「こんな格好って、どんな格好のことだ。具体的に言え」

「は、裸で、小さな厚紙だけ貼られている格好がです」

「せっかく貼ってやった覆いが嫌なのか?」

伸は執拗に問い詰める。

京子は答えられない。

黙って唇を噛みしめている。

「そうか。せっかく貼ってやった覆いが嫌なのか。じゃあ、とってやるよ」

そう言って伸は京子の女の部分に貼ったピンク色のハートの覆いのセロテープの一つを剥がした。

伸はホクホクした顔で二つ目のセロテープを剥がそうとした。

その時。

「ああっ。やめてっ。伸君。とらないで」

京子は声を張り上げた。

「なんだ。この覆いが、みじめで嫌なんだろ?」

伸は居丈高に言った。

「し、伸君。お願い。いじめないで」

京子はつらそうな顔で言った。

「ふふ。この素晴らしい姿を写真に撮って、クラスの男のみんなに送ってやるよ」

そう言って伸はデジタルカメラを京子に向けた。

「ああっ。やめてっ。お願い。伸君」

京子はあわてふためいて叫んだ。

「写真に撮られるのはそんなに嫌か」

「は、はい」

「しかし、こんなにセクシーな姿は芸術だからな。じゃあ、マスクをかけてやるよ。そうすれば体は撮られても誰かはわからないだろ」

伸がそんな提案をしても京子はつらそうな顔で黙っている。

「じゃあ、マスクはいらないんだな」

そう言って伸はデジタルカメラを京子に向けた。

「ああっ。やめてっ。伸君」

「だってマスクはいらないんだろ」

「マ、マスクをお願いします」

京子は真っ赤になって言った。

「なんだ。かけてほしいんじゃないか。それなら初めからそう言いなよ」

そう言って伸は京子に風邪防止用のマスクをかけた。

目は見えるが、鼻から下の口と顎は隠されている。これでは誰だかは、わからない。

「何か言うことはないか」

伸は思わせ振りな口調で言った。

「か、感謝します」

京子はマスクの中から言った。

「これなら、誰だかわからないぜ。安心して、うんとセクシーなポーズをとりな」

そう言って伸は裸の京子を色々な角度から撮った。

パシャ、パシャ、パシャとシャッターがきられる音がした。

京子も裸の体は撮られても、それが自分である事は知られないため、抵抗せず、撮られるがままにまかせた。

「先生。誰だかは、わからないんだから、うんとセクシーなポーズをとりなよ。女はみんな、淫乱な気持ちももってるはずだよ」

伸はそんな事を言いながら写真を撮りまくった。

十分、撮ったので、伸は、ふー、と息をついて撮影をやめた。

「さあ、もう、おわりだ」

そう言って伸は京子のマスクをはずした。

京子は真っ赤になっている。

たとえ,自分とわからないとはいえ、恥ずかしい。

その時、伸はニヤリと笑った。

「記念に素顔がみえた写真も一枚とっておこう」

そう言って伸はデジタルカメラを京子に向けた。

京子は真っ青になった。

「や、やめて。やめて。お願い」

京子は大声を張り上げて叫んだ。

だが、伸は京子の訴えなど無視してパシャ、パシャと写真を撮った。

「ああー」

写真を撮られてし京子、京子はつらそうな悲鳴を上げた。

「ふふ。この顔の写った写真を添えておけば、マスクをした裸の女も先生だって、ことがわかるぜ。はじめのうち、マスクをした裸の女が誰だかわからなくて、知りたくて興奮するだろうが、最後に先生の顔の出てる写真もあれば、マスクの女が先生だとわかって、見る男達をよけい興奮させるぜ」

伸はふてぶてしい口調で言った。

そしてデジカメを操作して、写した写真を全部、自分のパソコンに送った。

はじめから、こうすることが伸の作戦だったのである。

京子はクスン、クスン、と泣いている。

涙がポロポロとこぼれ落ちた。

「これで、責めはおわりにしてやるよ」

そう言って伸は椅子を持ってきて、その上に乗り、天井の梁に留めてある吊るし縄を解いた。これで、京子は首絞めの危険から開放された。

だが京子は伸の許しがなければ、椅子から降りれないといった様子で、首の縄を外されても、椅子の上に乗っている。

「先生。降りなよ」

伸に言われて京子は椅子から降りた。

京子は丸裸を後ろ手に縛られた姿で、恥ずかしそうにモジモジしている。

女の部分はハート型の厚紙が貼られている。

「もうこれは必要ないだろ」

そう言って伸は厚紙を剥がした。

京子は隠す物、何一つない丸裸になって、恥ずかしそうにモジモジと膝を寄り合わせている。

「先生。服を着させてやるよ」

そう言って伸は京子のブラジャーをひろって、京子の胸に取りつけた。

京子は丸裸をブラジャーだけ身につけているというみじめ極まりない格好になった。

京子は後ろ手に縛られているため、純のすることに抵抗できない。

恥ずかしそうに膝を寄り合わせている。

「し、伸君。し、下もお願い」

伸が満足そうに眺めているので、京子は恥ずかしさに耐えられなくなって顔を真っ赤にして言った。

だが、伸は京子の訴えなど無視してデジカメを京子に向けた。

「ああっ。やめてっ」

京子は腿をピッタリ閉じ合わせて叫んだが、伸はおかまいなくシャッターを押した。

「ふふ。先生。わるいけど、やはり芸術的なものは貴重な国の財産だよ。先生の体は先生だけのものじゃないんだよ。貴重な国の財産のために、個人的な感情は我慢しな。だがパンティーは、履かせてやるよ」

伸はそう言って、今度は京子のパンティーをひろって、両足に通した。

「あ、ありがとう。伸君」

京子は伸の行為をやさしさと素直に解釈した。

それを見て伸はニヤッと笑った。

伸はスルスルとパンティーを引き上げていった。

だが膝を越した所で手を離した。

そしてデジカメをとって京子に向けた。

パンティーは、あたかも膝の上まで脱がされかかっているかのようである。

しかし、後ろ手に縛られて手が使えないため、どうする事も出来ない。

それは下着姿の女が後ろ手に縛られて、パンティーを脱がされかかってる格好だった。

「ああっ。伸君。やめてっ」

京子は叫んだが、どうしようもない。

パシャ、パシャ。

伸は数枚、みじめな姿の京子を写真に撮った。

そして自分のパソコンに送った。

伸は仕事をおえると、膝の上で中途半端に引っかかっている京子のパンティーをつかんで、引き上げた。

そしてパチンと音をさせて離した。

これで京子はブラジャーとパンティーをしっかり身につけた姿になった。

伸はつづけて、スカートも京子に履かせた。

そして後ろ手に縛っている縄を解いた。

しかし、あらゆる、みじめな事をされて京子は力無くガックリしている。

伸はブラウスを持ってきて京子に着せ、ボタンをはめて裾をスカートの中に入れた。

京子は人形のように、伸にされるがままに身を任せているといった様子である。

だが、これで京子は元通りの姿にもどった。

「おつかれさま」

そう言って伸は京子を横たえさせた。

「先生。疲れたでしょう。ゆっくり休んで下さい」

そう言って伸はグラスにワインを注いで京子に飲ませた。

京子は一心にゴクゴク飲んだ。

伸はニッコリ笑っている。

京子は、心の箍が外れたかのように、ワーンと泣き出して伸にしがみついた。

「伸君。教えて。先生が、お芝居なんて変な提案したから伸君に意地悪な気持ちを起こさせちゃったんでしょ。やさしい伸君に意地悪な性格を芽生えさせちゃったかと思うと、耐えられないの。意地悪な人にならないでね。責任はとります。女の人をいじめたいと思ったら、いつでも先生の所に来て。私にうんと意地悪して欲求を発散して。どんな意地悪されても先生、耐えます」

「先生。それは違います。お芝居だからじゃないんです。僕は生まれつき、女の人を虐め抜く事に興奮するサディストなんです。僕は女の人を虐めることによってしか、女の人を愛せないんです。先生が転任してきてから、ずっと想像で先生を虐めてました。今日、夢が叶って最高に幸せです。ありがとうごさいました」

京子は驚いて伸を見た。

「ええー。本当?信じられないわ。どうして伸君のような、やさしい子がそんな、怖い性格なの」

「性格と性癖は違うんです。安心して下さい。先生。僕は先生のせいで意地悪な人間になったりしません」

京子はほっとした表情になった。

「ああ。伸君。それを聞いて安心したわ」

「先生。ごめんなさい。さんざん、ひどい事をしちゃって。お詫びに僕を裸にして吊るして、うんと鞭打って下さい」

「そんな事できるわけないわ」

京子は強い口調で言った。

「先生。先生の腿の上に頭を乗せて横になっていいですか」

「いいわよ」

伸はニコリと笑って京子の太腿に頭を乗せて横たえた。

伸は京子の体をそっと触った。

「ああー。幸せだ。僕、こうやって先生に甘えたかったんです」

そう言って伸は目を閉じた。

長い時間の激しい緊張の連続で伸も疲れたのだろう。体の力が抜けダランとなり、クークーと小さな寝息が聞こえ始めた。

京子は何とも伸がいとおしくなって、そっと頭を撫でた。

あんな、酷い意地悪をした子を今、抱いていると思うとなにか可笑しくなった。

まだ甘えん坊なんだな、と思った。

「伸君。また私をいじめてね」

京子は寝ている伸の頭を撫でながら、そっと伸に向かって言った。


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女教師 浅野浩二 @daitou8

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