第2章 四獣合神
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─???
薄暗いその空間は、何かの研究施設だろうか。
「……本当に、その格好で行くの?」
紫色の長い髪をした、白衣姿の女性は一人の少女に問う。
「うん。この制服、パパに見せたかったから……」
黒いロングヘアの少女が着ているのは白いカッターシャツに灰色のベスト、黒いプリーツスカートという制服姿だ。本来なら、少女は来月から高校に進学する予定だった。しかし、エゲツナー帝国の襲来と、父の死。それが重なり、高校へ通う事も、父に制服姿を見せる事も叶わぬ事となる。
「ねえセリカ」
「なに?ママ」
セリカに次の質問をする母の目は哀しみを纏っている。
「ごめんなさい……あなたにこの役を任せてしまって」
悲哀と罪悪感に苛まれた母に対し、セリカは
「これは私にしか出来ん事なんでしょ?だったら私がやるしかないよ。それに……」
セリカは目の前にある、高さ15メートル程の黒い鋼鉄の巨人を見上げる。
「パパが遺して、ママが造ったこの子が一緒だもん!絶対大丈夫!!」
セリカは目一杯笑ってみせた。
『ナナさん、セリカちゃん、そろそろ時間ですよ』
通信機から流れる男の声に、了解と答えると、紫髪の女性─ナナは管制室へ、セリカはリフトで黒い巨人の胸元へ、それぞれ向かう。
「幻舞、乗るよ」
セリカが黒い巨人─幻舞に言うと、幻舞は胸のコクピットハッチを開く。セリカはそこへ飛び込むと、前後一席ずつある操縦席の後方側に座った。
『セリカ』
幻舞のコクピット内に母、ナナの声が響く。
『もう、後戻りは出来ないわ。……行きなさい、あなたはこれから四つの世界を巡り、三人のあなた、三機のロボットを連れ、最後の世界で来満英雄に会いなさい。そして、エゲツナー帝国を止めるのよ!』
母の声は泣いていた。
「うん…行ってきます……」
セリカの流した涙の量は母のそれと同じかそれ以上だろう。
通信を終え、セリカは手元のタッチパネルを事前に言われた通り操る。
「エゲツニウム・ドライブ、起動!!」
セリカの声に応え、幻舞のモニターに、【了解】の表示が現れる。すると、穴の空いた天井の更に、遙か上、夜空に漆黒の穴が開く。
「行こう、幻舞!」
幻舞は背部と足裏のスラスターから紫色の粒子を吹き出し、飛翔する。空高く舞い上がり、空に穿たれた穴へ飛び込むと同時に穴は閉じ、空は元に戻る。
「……必ず帰ってくるのよ、
ナナは夜空を見上げ、呟いた。
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