第26話 魅惑のクイズクイーン、スフィンクスさん2
「今日はカレーなのですぅ」
「マスター喜んでくれるかなぁ」
「マスターはカレーがお好きですので、きっと喜んでくれますよ」
昼過ぎの商店街を、たっちゃん達三人が仲良く買い物かごをブラ下げて歩く。
そこへいつもの連中が登場。
「フハハハハ。来たな英雄ガールズよ! いでよ最強獣人! スフィンクス!」
物陰からスフィンクスが飛び出して、メガネに手を添える。
「我が名はスフィンクス! 貴様らが人生最後に見る顔だ、覚えておくがいいにゃお!」
「にゃーたちも」
「いるも」
ヘラちゃんが一言、
「あー、キマイラの二番煎じですね」
「ぐぼろぁあああああっっ!」
スフィンクスが吐血。
「ぐは……味方ならともかく敵にまで、もうわたしは……わたしは…………」
「そ、そんなこと言わないでスフィンクスちゃんっ」
エキドナが手を叩く。
「がんばれがんばれスフィンクスっ。負けるな負けるなスフィンクスゥッ!」
「ぐ……ふはぁ…………」
KO寸前のボクサーのような足で立ち上がるスフィンクス。
たっちゃん達は傷ましいものを見る目でスフィンクスを包んであげた。
スフィンクスは腕で口元の血を拭う。
「ふっ、では行くにゃおよ英雄ガールズ。問題! 朝は四本あ」
「ヘラちゃんパーンチ!」
「あぶるべっぼぉおおおおおおおおおおおおおおお!」
ヘラちゃんの重いボディブロウが、スフィンクスの腹部を貫いた。
スフィンクスは一〇メートル以上カッ飛び、白目を向いて倒れた。
「あー、スフィンクスちゃーん! ちょっと何するのよ!」
「えー、だって隙だらけでしたし」
スフィンクスは血を吐きながら立ち上がる。
「ぐぼ……おぶぅ……も、問題にゃお……朝は四本足、昼は」
「ヘラちゃんパーンチ!」
「びびでばびでぶぅうううううううううううううううう!」
「ヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチヘラちゃんパーンチ!」
「おぶぅっ、ぐふぅっ、あべぇっ、がはぁっ、ふぶぁっ、どぶろぉっ、みぬばっ、ちぶらぁっ、みぬげっ、ぐぬばっ、でらぶっ!」
「ヘラちゃーん! パァアアアアアアンチ!」
「びにゅぱぁっ!」
ヘラちゃんのアッパーが、スフィンクスのアゴを直撃。
スフィンクスは車輪のように後ろへ高速回転しながら地面に叩きつけら……そうになってから、
「チャンス♪ ドレス裸王斬♪」
「あ~れ~!」
「ヘラちゃんパーンチ」
「ブラ裸王斬」
「はぎゅぬっ! いやぁん!」
「ヘラちゃんパーンチ」
「パンティ裸王斬」
「うぬべっ! だめぇっ!」
スフィンクスは、ヘラちゃんにフルボッコにされ、たっちゃんに服を一枚一枚切り裂かれていく。
そんな様子を見ながら、ジークちゃんは冷静にスマホでメールを打っていた。
「えーっと、マスターに。ちょっと、おくれ、ます、と」
商店街に全裸大の字で天を仰ぎ、ぴくぴくと痙攣するスフィンクス。
ヘラちゃんとたっちゃんは仕事をやりきったビジネスマンの顔をする。
「ふぅ、おわったのですよ」
「じゃ、一仕事終えたあとのスイーツでも食べに」
「ちょっと待ちなさい!」
キマイラとミノタウロスがスフィンクスを介抱する間、エキドナはたっちゃん達に猛抗議を始める。
「貴方達! 少しは良心の呵責というものを感じないの! スフィンクスは得意のクイズ攻撃で貴方達と戦おうとしているのにそれを!」
「えー、でもさぁ」
たっちゃん、ヘラちゃん、ジークちゃんは順に、
「スフィンクスってクイズに答えられなかった相手を食べるモンスターでしょ?」
「なんでわざわざ敵の攻撃を喰らわないといけないのですか?」
「貴方がたは私のバルムンクをおとなしく喰らってくれるんですか?」
「うわっ、正論だ!」
怯むエキドナに、たっちゃんは頭をかきながら。
「もう、しょうがないなぁエキドナは、本当にわがままなんだから、ほら、問題聞いてあげるから早く出しなよ。出したいんでしょ? も・ん・だ・い」
エキドナが悔しさのあまりハンカチを噛みちぎる。
「きぃいいいいいくやしぃいいいいい!」
「では問題です!」
スフィンクスが新しい服を着て、立ち直っていた。
「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足、これはな「人間でしょ」
たっちゃんの回答に時が止まること五秒。
スフィンクスは無言のままにどこからかロープを取り出した。
「……………………………………………………………………………………死のう」
「スフィンクスちゃーんっ!」
「エキドナ様、どこかにロープを吊るす場所は」
「だめだめだめぇっ!」
エキドナとスフィンクスが揉み合う中、たっちゃん達は呆れ顔で溜息をついた。
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