第16話 お花見中編  ぴよピヨ 鳥娘はお好きですか?3


「か、かがみもち、だも……」

『ふぉおオオオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおふぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいえぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええす!!!!!!!!!!』


 観客の男性陣が沸騰した。

 男達は狂喜乱舞し踊り狂いそして女性陣にフルボッコにされた。

 死屍累々の中、たっちゃんは叫ぶ。


「こうなったらこっちも対抗してジークちゃんが」

「どう対抗する気ですか!」

「勝てないまでもあのホルスタインおっぱいに対抗できるのはジークちゃんのおっぱいしかないよ!」

「いや私のよりも明らかに向こうのが大きいでしょう!」

「それでもやらないよりはマシだよ! ほら何か乳芸を!」

「そんなものありません!」


 ジークちゃんの水平チョップが、たっちゃんの首を直撃。

 たっちゃんは咳き込みながら膝を折る。


「まったく……では、四番ジーク、行きます」


 ジークちゃんは、お弁当の中からニンジンの輪切りを数枚取り出す。


「バルムンク!」


 右手にバルムンクを召喚。

 空中に輪切りニンジン五枚を放り投げた。


「いりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃあああああああああ!」


 落ちて来たニンジンをキャッチ。

 ジークちゃんの綺麗な手には、五羽の可愛らしい赤兎がいた。


「わ、私にはこれがせいいっぱいです……」


 ジークちゃんの、自分の力不足を恥じるような仕草にお姉さん達とおばちゃん達は皆、


「あらあらー」

「可愛いわねぇ」


 と頬を綻ばせる。

 だが、


「おい、あれなんだ」

「飛んでる!?」


 町の人達が空を指差す。

 たっちゃん達も見上げると、鳥達の編隊が綺麗なコの字型になって飛んでいる。


「ぴーよぴよぴよ♪ みんな行くぴよ♪」


 ハーピーを先頭にして、編隊は楔型や鶴翼型などさまざまな形になって空を飛んだ。

 町のみんなの反応も上々。

 たっちゃんは悔しそうに歯を食いしばる。


「負けないんだから! こうなったらあたしは!」

「どうするんですか?」

「どうするのですか?」


 ジークちゃんとヘラちゃんに告げる。


「踊るわ!」

「「え?」」


 たっちゃんはスマホのボリュームを最大にして、今流行りの新曲を流した。


「よっしゃー♪ 躍るわよー♪」


 たっちゃんが踊り始めると、町のみんなは盛り上がった。

 たっちゃんは最近人気のアイドルグループの新曲を流していて、さらにその踊りのふりつけも完璧にマスターしていた。

 軽快な音楽に合わせて軽やかに踊るたっちゃん。

 リズム感もばっちりで音楽にノッている。

 身内のひいき目ではなくプロ顔負けのダンスで、ジークちゃんとヘラちゃんは、


『たっちゃんてこんなに踊れたの?』


 と、唖然としてしまった。

 ダンスが終わると、拍手とアンコールが鳴るほどだ。


「みんなありがとう♪ いやぁ、どうもどうも」


 たっちゃんは、嬉しそうに頭をかいてから笑顔をふりまいた。

 今度はエキドナが悔しそうに歯を食いしばる。


「く~、おのれ~」

「どうするですにゃエキドナ様?」

「たっちゃん大人気だも」


 不安そうなキマイラとミノタウロス。

 しかしエキドナは花で笑う。


「ふふん、いい気になるなよ! 私はこんな事もあろうかと他の人外ガールも呼んであるのだ!」

「え、エキドナ様これを予想していたのかにゃ?」

「も、エキドナ様最初から芸対決するつもりだったも?」

「そこはつっこむなっ!?」


 気を取り直して、エキドナは両手を上げた。


「さぁ現れろ! セイレーン!」

「わたくしの登場ですわーん♪」


 空を飛んでいたハーピーと一緒に現れたのは新たな鳥人美少女。

 ただしハーピーが背中、肩甲骨から翼が生えているのに対して、セイレーンは腰から翼が生えていた。


「あ、あなたは!?」

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