第9話
魔法球から出た光線は、一直線にカラスの男を狙った。
「勉強も運動も自信ないけど、女子力なら負けない!!!はず……なんだよねー」
「はず、など言うな!!!自分が一番だと思うのだ!!!」
「なんか会ったときから思ってたけどさ、マオウさんってめっちゃ熱い人だよね。ウケる」
「わ、笑っている場合かぁ!!……む」
風呂場だった場所からは、魔王とマオ以外はいなくなっていた。あの男は逃げたのだろう。魔王はホッと胸を撫で下ろす。
「癪だが、貴様のおかげで……」
そこまで言って気づく。自分はマオたち人間を支配すると思っていたのだ。魔界に帰って天使共に復讐をするために、手始めに人間界を襲うつもりだったのだ。なのに、結果的に人間の小娘の力を借りて人間界を守ってしまった。
「ぐっ……余は、何をっ」
「あー、壁どうしよっかなー。うーん……」
マオは先程の戦闘で粉々になった風呂場の壁の欠片を見つめている。
この小娘が使った『ジョシリョク』とやらは人間でも出せる強い自信を生み出すことが分かった。それがあれば魔力が出せない自分でもまた最強の地位を奪還出来るかもしれない。
「貴様ぁ!」
魔王がマオの胸ぐらを掴む。
「貴様の『ジョシリョク』とやらを、余が超えてやることに決めた!!!その力で人間界を支配し、忌々しい天使共に復讐をしてやる!!!」
かつて最強だった魔王に目の前でそんな宣言をされたマオははにかんで言った。
「よく分かんないけどー、天使ってたしかに女子力高そうだもんね。がんばれ」
ギャル魔王様!〜女子力を磨いて人間界を支配!?〜 まこちー @makoz0210
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