息白し通学路

凍て風にさらされた腿は

季節外れの白桃の様に

まばらな赤みを帯び始める


それでも折り目の数は

夏季と何一つ変わらない


勾配に差し掛かり

踏み込むペダル

腿に伝う冷やりとした痛み


白ら霧を吹き破って

駆けていく


見慣れた後ろ姿

その傍を通り過ぎる


おはよう


赤らんだ鼻に皺を寄せた彼女

丈の長いスカートをひらめかせた





あとがき

高校時代三年間、自転車と共に四季を駆け抜けてきましたが、冬の日がとても印象深いです。学校間近の所に雑木林があったのですが、そこは霧が深く、無事に抜ける事ができるか、とてもスリルがありました。時に迷い込んでしまうことを願ったり(体育がある日とか)

しかし、その霧を抜けた時、友の背を目にすると腿に感じた痛みが引くのです。

もう体感することの出来ない貴重な冬の日の思い出です。

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