8日目 悪くない、悪くないのに傷つく

「じゃあ、簡単に説明するぞ。MSA-Cについてだけ説明するからな、この病気の症状は小脳症状だ。小脳ってのは運動の調節をしていることろだ。その運動がうまく調節できなくなるとどうなるか、これは覚えてるか?」

「はい、失調症状、手を動かしているときに震えたり一定のリズムで体を動かすことができなくなります」


京極がこれは分かると言わんばかりに答える。

白石さんの病気は要するにどうなるのか、体は動くのは動くが思うように動かなくなる病気だ。2004年に映画で取り上げられたこともあるが、何もないところでつまずいたり、ふらふらしたりすることろから始まる。

病気が進行してくれば歩くことができなくなり車いすでの生活になり次第に・・・・


「京極、意外と覚えてたじゃないか。これならわざわざ復習なんてしなくても良かったな、というか京極は学生時代ペーパーの成績よかったんじゃなかったか?」

「えーと、自信なくて」


えへへ、と頬をかく京極。


「分かってるのに復習なんて偉そうなこといって悪かったな」


これじゃ良くない、面倒な先輩まっしぐらだな。気をつけよ、気がついたら京極から「先輩ずらするのやめてもらえます?そのぐらいわかってますよ」なんて言われかねん。


「い、いえ!西城先輩いつもわかりやすく教えてくださるので、それより私の方こそ先輩に甘えちゃってすみません!」


うん、京極に限ってそんな冷たいこと言うわけないな。俺が逆の立場だったら言ってたかもしれんが

ん?そう考えると俺ってやなやつなのか?まさか、そんなわけないな


「謝るのはこっちの方だ、ついついなんでも分からない呈で話してしまって悪いな、それに話口調も困難だから上からに聞こえるかもしれないが他意はないから気にしないでくれ」


俺の口調はどうも上からに聞こえるらしくよく学生時代は、上から目線が腹立つなんて言われたが、その時は俺もわかかったから、テストで結果を出してその同級生に「俺が上なんじゃない、君たちが下だから俺の言葉が上から言われたように感じるんだ」と言い切ることがあったな。いまじゃ黒歴史だが、誰だって尖ってた時はあると信じたい

まあ、社会人になってそんな調子だと仕事にならないし、それに上には上がいることも分かってるから意識的に気を付けようとはしているんだがまだまだだな


「先輩、そんなに気にしなくても大丈夫です!

あ、や、やっぱりちょっと」

「ん?やっぱりちょっと、どうしたんだ?ああ、言い方がきつかったか?すまんな、これから気を付ける、もしこの先もそんなことあったら遠慮なくいってくれすぐに治すからな。っとそろそろ京極も仕事終わらせて帰れよ、俺はこれで帰るから。じゃあまた明日な」

「へ?あ、はい、お疲れ様でした!

(ううー、ほんとはあの流れでご飯に誘いたかったのに・・・あれじゃ先輩攻めたみたいになってるし、私何やってるんだろ・・・)」


ご飯に誘う口実として何とかつなげようとした京極と、後輩に言われた一言に傷ついて居ても立っても居られなくなった西城

共にちょっぴり傷ついて今日は帰るのだった。

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