7日目 的中した予感

検査の結果が出た。厳密にはMRIと呼ばれる脳の画像の検査が終わり俺と清水きよみず先生は話し合っていた。


「西城君、これは予想通りだね。流石の慧眼恐れ入るよ」

「嬉しくない的中ですけど」


予想通り、白石さんの脳には異常が見られた。


「そんなの当たり前だ、といいたいところだけど、こればっかりは野放しに放置するよりはいいでしょ。さてと、西城君の言う症状とMRIの結果を見るにMSA多系統萎縮症だと思うけど西城君の見解は?あ、あくまで一感想でいいからね」


前回に引き続きなんで清水きよみず先生が一言足しているかの理由だが、単純にリハビリのセラピストでは権限を越えている分野になるからだ。

理学療法士をはじめとするリハビリのセラピストには病気を診断することができない、病気を診断できるのは医者のみだからだ。その権限を越えてリハビリが意見した場合、プライドが高くない医者でさえ逆鱗に触れることがある。細かいところだがそう言った細部まで気にしておかないと一気に関係性の悪化につながる。清水先生は別にそんなこと気にしなくてもいいのにといわれるが、誰が聞いてるかもわからないしな

それに権限を越えたことに対して怒るのは別に悪いことじゃないと俺は思う、それは自分の仕事に責任を持ってることの裏返しだからな


「清水先生いつも配慮ありがとうございます。私も同意見です、おそらくMSAの中でもCだと思います。」

「MSA-Cかー、まあそうだよね。一応、可能性を消すために検査もしておくね」

「ありがとうございます」

「あ、それと本人にはまだ言っちゃだめだよ?それは、僕の仕事だからね!」


清水先生はウィンクしながら笑った。

中年のおっさんにウィンクされるのは気持ちいいものじゃないがこの程度、怒鳴り散らされることに比べたらどうってことない。俺の医者に対する体性はマックスなのだ

それにこの場合、一番大変な役目は清水先生だ。なにせ、「白石さんに実は病気が見つかりまして」って説明するんだからな。

説明を受ける方は当然つらいが、説明するほうもかなり辛い。


「先生いつもありがとうございます」

「まあ、このぐらいしか役に立たないからね。ほら、西城君そんな深刻そうな顔しないで、責任ぐらいはおうよ。でもまあ、気が重くないって言ったらうそになるけどね。」


俺も立ち会ったことが過去にあるが病気の説明をするのはかなり精神力が削られる、今回のような難病なら特にな


リハビリ室に戻ると後輩の京極きょうごくがカルテを書いていた。


「先輩どうでしたか?」

「ああ、残念ながら予想通りだったよ。MSA-Cだ」

「MSA-C・・・ですか」


ぽけーとした顔で繰り返した。


「よし、京極復習をしようか。MSA-Cは国家試験でも出たはずだが覚えてるか?」

「す、すみません」

「いや、別にいい。覚えてないならここでまた思い出せばいいしな、それに実際の臨床だと教科書と違うことも多々あるしな」


そういうとパァっと明るい顔をする。きっと覚えていないことを責められると思ったんだろうな、ん?それって俺が厳しいと思われてんのか?これは気を付けないとな

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