第3話 おじさんの彼女染候補
そういえば紹介していなかったのだが、俺には一つ年上の友人がいる。言ってしまうと未来の幼馴染候補というやつだろうか。
その彼女が今日ウチにやって来ると小耳に挟みまして。えぇ、一切楽しみになんてしておりませんとも。この大人である私が、幼子に興味を抱くことなんて一切ございませんし、ましてやこの身を許すことなどございません。
「どうした、翔紀〜蝶ネクタイなんて着けて今日はやけにオシャレしてるんだなぁ」
「どうしてもそれ着けるって言って聞かなかったのよ〜。きっと
…ふ、普段着じゃボケぇ!こんな蝶ネクタイなんてちょっとした大人の寝巻きみたいなもんやろが!茶化すんちゃうで!
「なるほどな〜、じゃあ俺は仕事行ってくるから。行ってらっしゃいのチュっ」
「んもぉ、アナタったら…しょーくんも見てるのに…チュっ♡」
……見てられへんわ。そろそろ佳奈ちゃん来る頃やろ。大人としてレディをお迎えする準備でもするか。もちろん、気は進まないがな。
・ ・ ・
「ママは洗濯物干してくるから二人で仲良く遊んでてね」
「しょーきとあそんどく!」
「うん、佳奈ちゃんいつもありがとね」
そう言ってママンが佳奈ちゃんの頭を撫でているのを見ると、とても微笑ましく感じた。
これは親公認の幼馴染カップルになれるんやないか⁉︎佳奈ちゃんはまだまだ幼いけど年とったらなかなかの上玉になる思うんや!可愛らしいまん丸の澄んだ瞳に絹のように透き通った白い肌。幼いながらも少し大人びた雰囲気もある。
ま、ワイの未来の彼女としてはまだまだ及第点ってとこやけどな。
ママンの姿が見えなくなると同時に佳奈ちゃんは大きくため息をついてあぐらをかいた。
「はぁ〜、めんどくさ。なんで私が他人の子の面倒を見ないといけないのかなぁ…」
——え?
あまりにも衝撃的な発言で俺は言葉を失ってしまった。そんな俺の気も知らずに彼女は続けた。
「…そもそも前世でも子どもできたことないっての。というかまともに恋愛が続いたことなんてないのに。そうだ、アンタ将来私のカレシにしてあげようか?ご両親は美男美女だしアンタも結構なイケメンに育つんじゃない?」
えっと、佳奈ちゃん今前世って言った…?ということは佳奈ちゃんも記憶を持ったまま生まれ変わったわけで…?将来俺のことを彼氏にしてくれるって言った…?お断りします‼︎
そんな上から目線な人は嫌やで!ワイだって初めてはそんな下心のないピュアな恋愛がしたいんや!
じっと俺のことを見つめてくる彼女から目を逸らすが、やはりモテた経験のない男からすると女性から熱視線を送られるというのはなかなか貴重なことで——。そこまで言うならいつかカレシになったってもええよぉ‼︎
「ただし、浮気は絶対に許さないし、私以外の女の子と喋ったり、メールしたりしてたら刺すから⭐︎もちろん、ちょっとでも他の女の子を見たらその両目エグるからね⭐︎」
彼女は笑みを浮かべながら、迷うことなく親指を下に向けた。佳奈ちゃんいったい前世で何があったんや⁉︎
ふふふふふふ、と奇妙な笑い声を洩らす彼女の姿は前世の鬼畜上司と重なって見えた。
あの人にはほんま苦しめられたもんやで…。
だが、この状況をママンに見られてしまってはいけないと思い、暴走した彼女を止めるために隙を見て膝の上へとダイブをしてやった。
どうやっ!ワイのダイブ、
「え、なにそのドヤ顔、めっちゃ気持ち悪いんだけど。……でも案外赤ちゃんって可愛いものね」
母性本能のくすぐりかたは、しっかり身につけてますからなぁ!ワイが愛しくてしゃあないでしょう!
「早く大きくなって既成事実作って、専業主婦として私を養ってね。…っと、こんなこと誰かに聞かれたらマズいわよね」
……いや、しっかりと聞いてまっせ、佳奈ちゃん。そのロリボイスでそんな怖いこと言うのやめてぇな…。
そう思いつつもやはり、優しく俺を撫でる手はとても温かくて心地が良かった。
アカンほんまに…この身体は…不便やで…。
こうして眠りについた俺が目を覚まし、佳奈ちゃんは既に帰ったと、ママンから聞いた時は己の未熟な身体を恨んだ。
おい田中、そんな哀れみの目を向けるなや。本気で悲しくなるやろ。ほらお手、お座り。
手を出してやると、田中は即座に反応した。相変わらず物分かりの良いやつや。前世からそうだったらよかったんやが。
「ほんと、しょーくんはマルと仲良しさんねぇ。そうやって二人で遊んでるところ見てるとなんだか和むわねぇ」
頬を緩ませながらママンは顔を赤らめた。
——腐女子発見⁉︎
それから俺はしばらく田中に近づかないようにした。すまんな、田中…
「しょーくんとマルもしかして喧嘩しちゃったの?最近あんまり遊んでないね〜。よしっ!それじゃあ仲直りのために二人とも一緒にお風呂入ろっか!」
そう言い終わる前にママンは、俺の服のボタンを一つ、また一つと外し始めた。慣れた手つきで脱がされていく俺の抵抗も力及ばず、気がつけば残されたのはオムツ一枚だけとなってしまっていた。
こんなん誰も望んどらん!やめるんやママン!やめるんや…っ!あぁ…っ、そこは…あかんっ……‼︎
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