第86話根深い闇




フロルの知らせで、帝国での結婚の披露宴までの警護依頼があったらしい。

帝国の第1皇子とバレッタ様が結婚する日が近づいていた。

明日が出発の日で、俺も同行させられる。


俺をあたかも警報機みたいな扱いだ。

襲撃の際に、俺がいち早く知らせていたから仕方ない。

まあ、金で雇われる身だ我慢する。その雇われる事が切っ掛けで交渉も出来たのだ。



そしてフロルの話だと、ロメロ執行官と交渉人との関係は順調であった。

交渉人も魔王の話を、のっけからすることは無かった。

貿易交渉を進めて良い関係を作って、信頼関係を作ってから話すタイミングを計るらしい。


そして、その商売品は俺と被ることになる。

向こうは国の貿易で規模がでかい。

俺なんか、豆粒程の商売で徐々にマニアックな商品も扱う必要がありそうだ。


服関係は、大丈夫だと思う。


後はコアな酒を揃えるか・・・

それなら、ポーションが良いな。あれなら真似されないから大丈夫だ。



俺は、あの屋敷で手に入れた毒関係の解毒剤も従魔に作らせた。

全部を出せば、帝国に睨まれるかも知れないので、メジャーな解毒剤を販売しよう。


特に有名な毒蜘蛛どくぐもの解毒剤は、ここでは作られていない。

結構な数の死人が出ているはずで、噛まれて10日後に死ぬので【10日殺し】とも言われている。


後は小出しに商品を発表しよう。

色々考えて夜が明けてしまった。仕方なく俺は先発隊と合流。

あわただしく準備が終わると、隊長が出発の合図をする。



ダークレイ城塞都市は、賑わっていた。

道脇には見送る民衆がいて、バレッタ様を人目見ようとしている。

その民衆の中を俺達が向かっていた。

そして俺を指差している。俺は恥ずかしかった。

俺の服装がこの隊で浮いていたからだ。

しまったと悔やんでも仕方ない。あの隊長の近くで下を向いてとぼとぼと歩くしかない。



出発して3時間後だろう。

道行く中で、やはり見張っている人物を発見。

ドロスに念話を送って始末するように指示。

アッと言う間に背後に回り、首をひねって殺してから土魔法で地中に埋めている。

手際が良すぎて、俺も驚くしかなかった。


フロルは、ダークレイ公爵とバレッタ様の近くで影に潜んでいる。

もしもの時に2人を守ってくれる。

遠くの方では、Jr.ホーネットが飛び回って警戒している。

まさに厳重に守っている積もりだった。



なにやら嫌な予感がして、遠くの景色を見ていた。

その瞬間に、でかい火球が飛んでくる。


一瞬、ひやりとしたが、結界が間に合った。

結界内に収めて消滅させる。


その光景を見ていた先発隊も驚く。

騎乗用のトカゲが「グアァ・ギャウ」とうるさく鳴いている。

隊員がなだめるのが必死だ。



その間にJr.ホーネット達が飛んでゆき、50人の魔法使いと兵士達40人を眠らせた。

多分、この50人が共同作業であの火球を作り出したのだろう。

俺はそのことを隊長に伝えてた。

100人近くが急いで向かい、捕縛したようだった。


帝国も根深い闇を抱えているようだ。



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