第84話たこ焼きの修行中




たこ焼きが気に入ったみたいで、孤児院でたこ焼き屋をやるらしい。

勿論、道具は俺が寄付して、材料は適正価格で売ることになった。

タコは手に入り難いし、冷蔵庫が無いと無理だ。


なので魚肉ソーセージの、70グラム×4束の30セット10箱を持って来た。

1箱5850円で1本49円ぐらいになる。

タコの代用品にすることにした。

たこ焼き粉は、1kg572円を仕入れてきた。


■材料

たこ焼き粉 1kg(1袋)

卵 300g

水 3.5L



なのでたこ焼きの修行中だ。


「はい、クルッと回してひっくり返す。早くしないといびつなたこ焼きになるよ」


「カイト、はやくやってよーー」


「やってるよーー、みるとやるのでは違ってたよーー」


後ろでは、失敗作を待っている子供達がスタンバイしている。


そんな失敗作に、かつおだしを入れて、ソースを塗って俺は食っていた。

これって神戸の一部で食べられている物で、最近になってその事実を知って驚いた。

メジャーな食べ方だと思っていたからだ。


それにしても、少し味が薄い気がする。

昆布出しの粉を追加した方がいいかな・・・


まあ、明石焼きも旨いが、これも旨いだな~ぁ。


早速、俺の真似をして新しい食べ方に、子供達はチャレンジしている。


「これも、美味しいね」


「うま、うまだね。このスープも美味しい」


忘れていたマヨネーズを出した。

皿の上に出して上げると、付けて食べている。


「なに!この味は、不思議な味だけど美味しい」


喜んで食べる子供達に、癒される。

魔物相手の真剣な戦いの後だから、研ぎまされてすさんだ心にはしみてくる。



あ!トランシーバーから呼び出し音がしている。

せっかくなごんで居たのに、邪魔が入った。


「はい、どうぞ・・・はい、分かった」


通信担当のロビンからだ。

ダークレイ公爵の執行官が至急会いたいと言っている。

仕方ない、行くか・・・



「それでは、用事を思い出したので行きます」


「どうもありがとう御座います。今度いつ来てくれますか?」


「5日後に来ます」


「楽しみ待ってます」


世話役の若い女性が、笑顔で言ってくるので少し恥ずかしい。


「おにいちゃん、わたしも待ってるよ」


この子も、笑顔で言っている。

手を振って別れた。




屋敷の部屋に通されて、待つこと1時間。


「わたしは執行官のロメロ、君のことは色々と聞いているよ。君は何処の何者だ」


あれ、何か不味いことでもしたかな。


「冒険者と商売をやってます。日本から来ました」


「日本!聞いたことが無いな、何処にあるのだ」


「遠い所の国です・・・」


「わたしも、行けるかね」


「色々と条件がありますよ」


「君は食えない男だね、気に入った。君の事は色々と調べさせたよ。わたしが知らない物が君から販売されている。本格的に貿易をしないかね」


成る程、そんな話なのか・・・俺の国の代表と合わせるタイミングかも知れない。

政治的な話になるはずで、俺には到底そんな話に付いていけない。


「分かりました。わたしの国の代表と話をして報告をします。それまで待って下さい」


「話してくれるのか、分かった待ってる」


俺はお辞儀をしてから、部屋をでた。

日本政府にどう話せばいいかな・・・



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る