第80話会場での理念
1匹のJr.ホーネットが、俺の肩からあれですと伝えている。
これがそのホテルなのか、あっちこっちに覚醒者の気配が潜んでいる。
20階立ての高級ホテルで、俺は見上げてしまった。
それがいけなかったのか、2人の男女が駆け寄り俺の両手を掴もうとするが、別のJr.ホーネットがチクッチクッと刺してその場で眠らせた。
それに気付いた覚醒者は、既に配置していたJr.ホーネットによって眠らせた。
ドロスはドシドシと進み、中に入って行く。
「おい、待てよ」
俺も追い駆けるように入ると、警備を担当していた覚醒者は既に床に寝ている。
ドロスの肩のJr.ホーネットは、ハネを震わせて何かを伝えている。
そして、エレベーターのボタンを押していた。
「20階に既に集まっているって、はやく行きましょ」
「そうだな・・・」
ドロスは、俺の命令よりを自身の判断で行動するようになった。
人間に非常に似ているので、人間ぽくなったのか?
20階でエレベーターのドアが開くと、「フリーズ!!」と怒鳴られた。
居る事は知っていたが、怒鳴られるとは思ってもいなかったので、ドキッとして凍りついた。
しかし、Jr.ホーネット達は飛び出して、目に留まらない動きで覚醒者を刺してゆく。
53人の覚醒者を一瞬で眠らせた。
「ブーン、ブーン」とハネ音を鳴らして、自慢げにしている。
肩に掛けていたバッグから親のホーネットが、這い出してきた。
50センチ程の大きさで、「カチカチ」とJr.ホーネット達に何か言っている。
街中を親のホーネットを連れて行くのは目立つので、仕方なくバッグに隠した。
たぶん感覚的に、『まだ、仕事は終わってないよ』と叱っているようだ。
今では「ブーウン、ブーウン」とハネの運動をして、自由を満喫して飛び回っている。
ドロスは会場のドアを蹴り付けて、「フリーズ!!!」と怒鳴っている。
会場に居た全員が立ち上がり、こちらを見ている。
その数は400人も居ただろう。
壇上には引き締まった男がいて、脇には6人の男女が居た。
「お前は、共産党の残党か!」「生きて帰れると思うなーー」
「俺が殺してやる」
「待て!!話ぐらい聞こう」
殺気立っていたが、最後の言葉で落ち着いたようだ。
「俺は共産党でなく、日本人だ。俺はお前らがこれからこの国をどうするかが聞きたい」
「決まっている。自由主義な国を作って、人権・言論の自由・宗教の自由・自由市場でより良い国を目指す。これが俺達の理念だ」
「わたしは、あんなクソみたいな国は嫌いなの・・・だから頑張ったのよ」
「そうか、それなら何も言わないで俺はここを去る。外の連中は眠っているだけだから心配するな」
「突然来て、それだけか・・・」
俺はホーネットとJr.ホーネットを避難させて、ドロスを引き寄せた。
結界を張って、視界から消えた。
「奴は何処へ行った!!」
「本当に日本人なのか?」
「わたしの魅惑が、何故か魅惑出来なかったわ。なぜなの・・・」
「あれは、だだ者ではないぞ。威圧が凄かった!」
「お前も感じたか!」「まだまだ上には上が居るんだな」
「弱音を吐くな、まだまだやる事は一杯あるんだ」
「そうだな」
屋上で待ち合わせて、ゲートを開いた。
ホーネットらは入ってゆく。
「あれで、良かったの・・・」
「悪い奴らには見えなかった。信じてもいいんじゃないか・・・」
2人揃ってゲートを潜る。
従魔らが揃っていた。
何やら一段と強く成っていた。
お前らは、何処まで行って戦ったんだ。
シルバーゴーレムのライが、黄金色にキラキラと輝いている。
進化したのか?
ゴールドゴーレム・ライ
Lv1
HP600
MP500
STR34+15 VIT23+15
DEF21+15 INT20+15
DEX19+15 AGI25+15
雷魔法Ⅱ・亜空間魔法・光子魔法(反物質を光子化して撃ち出す)
天下無双
この体を売れば、どれ程の値段になるのかついつい考えてしまう。
勿論、売らないけど・・・
あれ?なにやらとんでもない魔法を増えている。
どれ程の威力か試すのも怖すぎる。
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