第78話未熟な調査団




レッドアントを舐めていた。

こんなに大量に出てくるとは、近場の魔物が弱かったから調子に乗り過ぎた。

これなら、ミサキも連れてくればよかった。


肩で息をしながら、力一杯に立ち向かった。

レッドアントの目に剣突き立てた。

仰け反った瞬間に、細い首をおもいっきり切断。

頭部が呆気なく落ちると、胴体もドサッと地面に落ちた。

やっと仕留めた。



全員の顔を見ると、疲れ切っている。

これは、隊長の俺の責任だ。考えが甘かった。


レッドアントの影からフロルが、そしてレッドアントを引き込む。

抵抗することなく一瞬で息絶えた。

『なんだあの人間は、もうへばったのか?主人と同じ人間なのに情け無い。見殺しにすると主人は悲しむだろう』


あれ!急に数が減りだした。助かった。


「皆!!少なくなった。もう少し頑張ってくれ」


最後の力を振り絞って戦った。

全滅するかと考えたが勝てた。

魔石を回収すると、急いでこの場を離れた。


「すっかり舐めてたわ」


「そうだな、事前にもっと魔物について調べるべきだった。こっちには魔物の情報って有るのかな」


「あるに決まってるわ。私達より付き合いが長いし、色々なスキル持ちが居るわよ」




どうやらフロルからの報告では、無事に宿へ到着したようだ。

そして6名が既に、魔物の討伐依頼を受けて報酬を貰ったそうだ。

主だった者は、カメラで動画を撮りまくっていると伝えられた。



「先生、見て下さい。あそこにネコ耳の女性が、信じられませんね」


「これこれシム君、周りから見られてるぞ。おのぼりさんを見る目で笑われてるぞ」


商業ギルドで紹介された店で、渡された金で買い物している。

そして、ここの魔道具に興奮して買いまくっている。


「成る程、魔石にはこんな使い道があるのか?これは大発見だ」


「先生、そんなに使って大丈夫ですか?私達の生活費ですよ」


「シム君、生活費を我慢できるが、この大発見が我慢できるかね、情けない」


やはり、悪い奴らに目を付けられた。

そんな奴は手当たり次第、フロルは影へ取り込んで始末している。


『もうチョッと注意してほしいな~あ。無防備な行動は謹んでほしいぜ。俺様の分離体が知らせてくれなかったら、今頃どうなっていたか・・・』



・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・



新しく購入した倉庫の鍵を開けて中に入ると、既にからっぽだ。

もうそんなに売れてたのか?


「何々、色々と注文が書かれてるな。え!そんな柄ってあったか?探すだけ探すが見つかるかな」


棚に神戸で買って来た布ロールを、ドシドシと置いてゆく。

最近はサテン系が売れていて、沢山仕入れている。

そして、今まで仕入れていない和柄も30本程も仕入れた。

気に入ってくれると嬉しいのだが・・・

最後にファッション雑誌を5冊を置く。



今度は、日本酒をケースごと置いて、次は洋酒を置いて、秘蔵のポーションも置いてゆく。

ドシドシ物を置いて、最後に鍵を3つ掛けて防犯スイッチをオンにする。

最後はあの約束の仕事だ。





賑やかな人通りの中で、小さな子供達が働いていた。


「おいしい、おいしいスイカですよ」


「じゃーこのスイカね」


「ありがとうございます。ミリー、縄袋を取ってくれ」


「はい」


カイトは、網目状の袋にスイカを入れて手渡した。

かいがいらしくカイトは、働いている。

これなら、手間賃をもっと上げてもいいかな。



なにげに、縄袋を持ってよく考えてた物だと思う。

網目状だから、どんなサイズのスイカでもぶら下げることが出来る。

ここでは、大きな皮袋を持って買い物をする。

なので、この手のスイカみたいな大きな物は、欲しいが皮袋に入らないと買わない。


やはり、スイカがよく売れている。

我が家のスイカは腐り難いが、主に俺しか食べないから余って仕方なかった。

一時は、従魔も食べてたが、飽きたのか最近食べない。


やはり、果物系げ売れ筋だ。

野菜はまあまあで、ドレッシングの売れゆきが半端ない。

あんなに大量に持ってきたのに、残りわずかだ。

やはり瓶タイプのドレッシングを安い値にし過ぎたか?


簡単な計算も出来るようになった。

なので、この子達には助かっている。



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