第77話報酬




どうやら魔王は、中国のゲート付近に強力な魔物を揃え出している。


その為、偵察がてら中国にやって来た。

結界内から覗く形で、近場に陣取っているが、ソイツはゲート前を巨大な体で軽やかに歩いている。


ゴリラを巨大にした魔物で、身長は10メートルを越えているだろう。

突然、ドラミングをして周りにその音を響かせている。


ゴリラのドラミングは怒っているのでなく、遊びたいときによくドラミングをするそうだ。

ただ歩き回るだけだから、暇で仕方ないのだろう。


ゲートから徐々に離れると、次の魔物に遭遇。

ソイツも巨大なナメクジで、動いていると微かに体の輪郭がモザイクの様に見え、止まると周りの景色と同化して見えなくなる。

俺は気配探知でどうにか確認できるが、そんな隠密性をもった体で、動きも非常に遅い。


それ以外だと、後6体の巨大魔物の気配がしていて、魔王の本気モードが感じられる。

ここは一旦、我が家に引き返すことにする。


その為、ゲートを開いた。


我が家に戻ると、早速ドロスを連れて神戸へ向かう。


例のビルから結界を展開して浮上。

そのまま2人してJR三宮駅へ向かい、人ごみをかわしながら三宮南の、ポートライナーへ上がる階段横に到着。

廊下に並ぶコインロッカー上部に、テープが張られているのを発見。

テープごと収納。鍵の番号を確認すると、そのロッカーを鑑定して中の物ごと収納。

そのままロッカーから離れる。やはり新しい監視カメラが何台か設置されていた。


人が居ない所で結界を解除。

調査チームとドロスが会った時に、監視していた小型ドローンを、俺は偶然発見していた。

その為、メッセージで報酬の一部として、1億円を支払う覚え書きと小型ドローンを要求。

報酬を貰うにも訳がある。この手の事はタダで行なうと変に疑われる。

しかし、小型ドローンはどうしても欲しい。


今日、返事があったので受け取りに来ていた。

魔王の監視に使えないかと、メッセージにも伝えていたので、上手く手に入れることができたので安心する。


「ドロス、せっかく神戸へ来たから買い物でもしようか?」


「ドロスは、新しい布が欲しい」


「そうか、なら買いに行こう」


言われるまま布を買って、満足顔のドロス。

俺は酒類や香辛料とコーヒー豆やなどを、ドシドシと買い収納。

すっかり常連になったので、俺の対応も親切になった気がする。



用事が済んだので我が家へ戻る為ゲートを開く。


箱を開けると、英語で説明文が書かれているが、スキルのお陰で読める。

どうやら飛行時間は30分が限度で、それでも高性能なドローンに違いはない。

鑑定して内部構造を調べる。


成る程、そうかそんな構造なのか、雷魔法と【操作】使って魔改造を施す。

3時間も飛行時間が延びて、使い勝手が良くなり、モニター付き操作器も魔改造を施す。

そして、更に電気量が少なくなり5時間も飛行時間が延びた。


試しに家の中を探索させよう。


「おお、危ない!これがこれで、こうなるのか、徐々に上手くなったぞ」


思っていたより扱いが上達したので、いつでも魔王へ使えるだろう。



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