第52話神戸での買い物




フロルと一緒に、ゲートを通って我が家にやってきた。

すると丁度、従魔がサラダを食べている最中であった。

実ったまま腐らせるのがもったいないので、好きなだけ食べても良いと言ったのが切っ掛けであった。

主に食べるのがゴーレム系で、今でもライとチューゴらが食べている。


植物系の従魔は、共食いになるのか食べようとはしない。

何でも食べるギーギンさえ食べない。


そして食べ終わったライが、見事に実ったスイカをゴーレムらに50玉を運ばせ、俺の前に置いて行った。

幾らなんでも食えないし、俺はスイカが余り好きでない。

子供の時は必死に食べていたのに、高校を卒業してから全然食べていない。

商業ギルドに売れないかと考え、取り敢えずアイテムボックスに収納。



そして、薬製作の小屋に入るとゴーレム2体が薬Ⅳ(HP・MP回復4倍)を作り終えて棚に並べている。

この薬はピポンから取れる葉で作られた物で、この2体に作り方を2日も費やして教え込んだ。

そして薬の瓶は、チューゴが土魔法を使って地中から作り出した物。

当初、チューゴの個性が出ることが分からなかったので、大きさや形が違い薬を売る場合は不都合になると考えた。

なので、今では1体のチューゴに任せているので安心だ。

溜まった薬Ⅳの半分を異世界に売る為、400本程を収納。



俺はフロルを影に潜ませ、ゲートを開きあのビルの屋上にやって来た。

階段を使って1階まで下りて外に出た。


行き交う人々に活気があり、フラワーロードを南に向かっていき、お目当ての店に入った。

中古の無線機を6台を購入。そんなに買ってどうするんだと言われたが笑って誤魔化した。

積めたバックを重たそうに持ち上げ店を出て、ビルに入り見られないよう収納。


今度は元町の香辛料の店に入り、スーパーで買った瓶詰め胡椒を探すが無かった。

仕方なく似た物を3箱買い、台車を借りて店を出て死角に入り収納。


すぐ返すと怪しまれるので、近場のカフェに入ってレーコ(アイスコーヒー)を頼んだ。

まだまだ外は暑かったので、きたレーコを1口で半分以上飲んでしまい、一気に汗が噴出する破目になった。

ようやく汗も少し引いたので店を出て、台車を返し終わると今後の事を考え、台車が必要だと思った。



あっちこっち探し回り、見つけた店に入り店内を見て回る。

何台もあるリアカーから、折り畳み式のアルミ製リヤカーを選んだ。

折り畳み式が使いやすそうだと、思ったのが選んだ理由。

重さは11キログラムで片手で楽々持てる。

荷台寸法(mm)760×525。

1台23,900円もしたが2台を購入。

そしてアルミ大型四輪自在キャリー・ノーパンクタイヤも良さそうだ。

660×960×880で伸縮フレーム最大時:920×1050×880で大きさを変えられる。

こいつの売りは大型ノーパンクタイヤ搭載で悪路に強い。

荷馬車の後に引張っても壊れない程の頑丈そうだが、念の為、後で【強化】でも掛けておこう。

値段は14,900円だったのでこれも購入。

アルミ大型四輪自在キャリーに、折り畳み式リアカーを載せて人目のつかない所で収納。


ブラブラと店を見ると中古の家電が並んでいた。

何気に見ていて、蓄音機も売り出され、案外高い値段に驚く。

そして中古のレコードプレイヤーとステレオスピーカー付きが赤文字で1万円と表示。

これは公爵のお土産に良いかも知れない。

たしか5軒先にレコードが安く売っていた筈、そこにもいってレコードも買って置こう。




我が家に帰って、屋根のソーラーパネルをはがして収納してゆく。

水力発電があるので、お役御免になったこのパネルで次の物に役立てる為、必要になった。

ついでにギーギンが根を生やせるように、レンガで土が盛れるように枠を作る。

土には腐葉土と化学肥料を混ぜて、屋根一杯に盛っておくとギーギンの根がニョキニョキと這って来ている。

そして大きな口を開き唄いだした。


「ラ、ラララ、ラ、ラララ・・・・」


何処かで聞いたような思い出せない。

ギーギンは最近たどたどしく話せるようになり、今のように気分が良いと唄いだす。

これも進化して知能を持ったせいかも・・・


・  ・  ・  ・  ・  ・


「それで、大山幹事長の派閥への根回しは完了したのか?」


「あと2名が難色をしめしています」


「誰だ」


「岸本と小川です。危機的状況だと説明したのですが」


「子飼いの奴らか、なら大山の逮捕へ動け。バカな判断をしたと後悔させてやれ」


「そのように連絡しておきます。しかし証拠の動画を撮れたのがダメ押しになりました」


「公安に借りを作ってしまったな」


「その時に挙がった人物も、やっと公安が押さえたようです」


「それでは言い逃れもできないだろう。バカな息子を持つと大変だな」


「中国はどうしますか」


「今は自衛隊と自警団が行っている。事を公にすればどう出るか分からない状況に成りかねん。しばらくは監視強化をしておけ」


「それではその様に手配します」


「そうだ、中国の財産を洗いざらい調べておけ。どうせ不正をしている筈だ。もしもの時に凍結出来るよう準備も怠るな」


「成る程、分かりました。でしたら監視ついでに駐車違反の切符も切っておきますか」


「君も悪だな、治外法権だと駐車違反も無視して金も払わない奴らだ。警察も黙認していたが問答無用で切る、その嫌がらせも悪くない」


「はい」


「人づてに聞いたのだが覚醒者育成学校の開校が遅れるそうだな」


「建屋の完成が遅れまして人手不足だそうです。魔石特需で建設業界にも影響してます」


「成る程、景気が良いのは政治家としての成功だから仕方ないな」



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