第51話フロルの進化




今夜のパーティで最後に婚約発表があり、バレッタ様が選ばれ居並ぶ貴族が騒然となった。

このパーティには、第2皇子が出席していなかったことも異例であり、貴族同士でも話題になっていた。

フロルから聞かされた内容は、どちらかが気にいらなかった場合はこの話はなしと約束されていた。

ダークレイ公爵も好き同士でない結婚を望んでいなかった。

年老いた時期に生まれた娘が、可愛かったのかも知れない。


早朝に隊長が屋敷に戻ってきて、俺は依頼終了になってしまった。

ダークレイに戻った時に今回の報酬が貰えるらしい。

このままあっさりと帰る訳にもいかない。

なので隊長に図書館の使用が出来ないか必死に頼んだら、一応頼んでみると確約が取れた。

なので王都の宿の名を言って、10日程滞在することを伝えて屋敷をお邪魔する。

これで晴れて異世界で自由に行動ができる。


予約していた宿で10日分を全額払い、部屋を見た後に行動を開始する。

早速仕入れた商品を商業ギルドに販売する為に、バックに商品を詰め込み出かけることにする。


やはり受付はミライさんが良いと思いその前に座る。


「あ、昨日のハジメさま、何か問題でもありましたか? 」


「いえ、今日は商品を持ってきました」


バックをテーブルに置き、一缶420グラムのブラックペッパーを取り出し8缶を置てゆく。

そして瓶詰めの塩漬け粒生こしょう一瓶100グラムを5瓶も置く。


「これは何でしょう」


「これはブラックペッパーです。このフタを開けると粉末のブラックペッパーが入ってます。もう1つは生胡椒の塩漬けになります」


「成る程、状態も香りも良いですね。この缶も良くできた物です。生胡椒ですか念の為、全品を検品します」


「はい、好きなだけやって下さい」


うしろのドアから数人がやってきて、缶と瓶を持って行ってしまう。

俺は、ここでは香辛料を販売して、ダークレイでは甘味系を販売することに決めた。


急にドアがガバッと開き、ドカドカと太ったおっさんがやってきて、


「生の胡椒の香りと癖になる辛さ、塩の旨味、サクサク、プチプチした食感と共に美味しく感じられる」


「ボーアさん落ち着いて下さい」


「ミライか、落ち着いてなど入れられない、あの生胡椒をもっと仕入れたい」


「どうでしょう、もっと仕入れられますか? 」


「それならば次回の金属の取引き時に持ってきましょう」


ブラックペッパー1缶が30000ドルカで売れ、元値は1600円で30万円-1600円=29万8400円の儲け。

瓶詰めは1瓶が40000ドルカで売れ、元値は3240円で40万円-3240円=39万6760円の儲け。

8缶238万7200円+5瓶198万3800円=総額437万100円の儲け。


俺は気分が向上してきた。

あれ程の高値で売れるとは思わなかった。

やはり海が領土に接していない為、香辛料の値段も高くなるらしい。


それとも、今回の婚約でダークレイからの輸入を企んでいるのか、俺はそんな気がしてならない。

何故なら、ダークレイの飛び地に海に面している領土があり、交易や塩作りが盛んであった。

そこからの年収はダークレイを更に発展させていた。


ならば結婚するまで、香辛料は高く売れるだろう。


俺は気分が良いので、冒険ギルドで銀の討伐依頼を近場から遠くの依頼も受けた。

フロルがLv9になり進化させる為の討伐依頼で、実際の戦いを見ておきたかった。


正門を出て、うっそうと茂る森の中へ入り、ブラックウルフが集団で潜んでいる所を強襲する。

もちろんフロルが単独で戦うよう指示している。

フロルは行き成り影に入り、影からワンパンで腹をぶち抜く。

そして影にその死体を取り込む、次々に取り込まれ数を減らすブラックウルフ。

突然のことでブラックウルフは混乱して逃げだした。

しかし影魔法によって影に拘束され逃げる事できない。

そして生きたまま影へ引きずり込まれ全滅。

俺に向かってきたブラックウルフは、ことごとく討伐した。


フロル 身長2メートル(土と影の中間)


Lv9


HP300

MP260


STR13+15 VIT9+15

DEF8+15  INT12+15

DEX16+15 AGI18+15


風魔法・影魔法・火魔法・雷魔法・水魔法


知らない内に魔法を3つも取得している。

異世界の魔物の魔石を多く取り込んだからなのだろう。

それしか考えようがなかった。


俺の結界にフロルも一緒に取り込み浮上する。

今から行くのは、ブラックスパイダーの生息地。

ここでは多くの人がブラックスパイダーの獲物になってしまっていた。

ただ歩いているだけで、見えない糸によって捕まる。

時には木の上から糸を吐き掛けられ捕まる者もいる。

動く音もなく気配も感じない、ブラックスパイダーは厄介で魔物であった。


そんなブラックスパイダーだが、眼下で討伐され続けていた。


そしてやっと進化した。


フロルⅡ 身長3メートル(土と影の中間)


Lv1


HP400

MP330


STR15+15 VIT10+15

DEF10+15 INT15+15

DEX19+15 AGI21+15


風魔法・影魔法・火魔法・雷魔法・水魔法・糸魔法(糸を自由に作り、そして操れる)



冒険ギルドのテーブルにバックからゴロゴロと魔石をかき出した。

ブラックウルフの魔石20個、ブラックスパイダーの魔石5個。

ブラックウルフの報酬20000ドルカ。

ブラックスパイダーの報酬50000ドルカ。

本当はもっと討伐したが、多くがフロルの腹に納まってしまい、わずかな魔石が残った。



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